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また会う日まで  作者: 七瀬結羽
始まりの音
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3


「やほやほ〜、大人気の星優乃ほしゆうのちゃんだよ〜☆翼、思ってたより元気そうだね〜」

「わぁ、久しぶり!!戻って来てたんだ!」

「4日くらい前にはここに戻ってたんだけどね〜、ここでも調べたいことあったから。で、それを終わらせて第二の我が家に帰って来たのだー!!」

「うう、ごめんね、優乃ばっかりに調査任せちゃって。私も行きたいんだけど、なんでか許可してくれないんだよね」

「あははっ、リーダーは翼のことが大事だもんねぇ。それに、私の方が楽に動けるから、気にしないでいーよ!」


突如として翼の家にやってきたのは星優乃。

翼よりかは年上(しかし年齢は頑なに教えようとしない)だが、リリーフに入った時期が同じであり、また、翼の異能を抑えるのに協力してくれたこともあり、それ以降仲が良い。

翼とは違い、リリーフのリーダーから許可が出ているため、よく遠出をしている。

優乃の遠出の理由は翼への協力でもあり、また、自分の目的のためでもある。


「今回はどうだったの?何か成果はあった?」

「んー、エクストラの入り方は未だわからずだよ。反応高くて行けるところは全部行ったんだけど…ハズレだった。迷える強い異能者だったり迷ってない強い異能者だった」

「迷える強い異能者は本部に届けてきたの?」

「一応ね。けど、あの様子だということ聞かなさそう」

「それはリーダーに任せるしかないよ。で、私に情報的なお土産って?」

「ふっふっふー。よくぞ聞いてくれました!……って、あれー、今気づいたけど緑君は??」

「あぁ…なんかね、調子悪いみたいで。今は休ませてる。ごめんね、夜には出てこれると思うから」

「むぅ…できれば緑君が一緒にいてくれた方がいいんだよね。くうぅ、今すぐ話したいけど夜まで我慢やでっ…」

「ごめんね。そうだ、エクストラの反応高いところの共通点は?」

「今回も無しだよ。あれ、なんなんだろうね。本当にあるのか疑いたくなるレベルだよ。あるって信じてるけど」

「あはは…ここまで探してもないとそう思っちゃうよねぇ…」


優乃の遠出は、全てエクストラに関することである。

もう少し詳しく言えば、エクストラへの入り方である。

エクストラはなぜかはわからないが、こちらの世界に干渉してくる(有力な説の候補の一つにこちらの世界に異能者や異能を送り込むため…と言われているが、検証もできていないので真偽はわからない)。

干渉してきた際に、必ずエクストラは何らかの痕跡が残ってしまうのだ。

一般人にはもちろんわからない。異能者ですら、かなり大きな力を持っていないとわからない。

だが、優乃はその痕跡をはっきりと認識することができる。しかしそれは異能ではない。


そう、星優乃は異能者ではない。

では、なぜ?となるが、理由はこれもわからない。

ただ、リリーフのリーダー曰く「極稀に一般人でも異能のような力を持つ奴はいる。そういうやつは、そのへんの異能者よりよっぽど強いんだ」らしい。

−−とにかく!優乃はなかなか貴重な人材であり、エクストラの痕跡を探し当てることができる。

しかし、エクストラの痕跡というのは異能の原点の痕跡ということでもあり、強い異能者がいればエクストラの痕跡と全く同じ反応を持つのだ。

しかも、最悪なことに、エクストラの痕跡は一定時間経つと消えてしまう。なので、なかなかエクストラの痕跡は見つからないのである。

そして、そのせいでエクストラへの入り方は未だ不明なのである。


「はぁーあ、じゃあ、久しぶりにお湯に浸かりたいな。入ってもいい?」

「うん、いいよ。あ、ねぇ、優乃ー」

「んー?」

「優乃ってこの時期帰ってくるの珍しいよね?」

「まぁ、そだねー。この時期はかなり忙しくなるから。どうかしたの?」

「優乃がずっと出たい出たいって言ってたリリーフ内でのお祭り『桜祭り』来週あるよ?」

「えっ、ほんとぉ!!!?」

「うん、明後日までに参加表明すれば出られるよ〜」

「やったぁ!!!ずーーっと出たかったよ〜!!!!!!」


桜祭りというのは、リリーフ内の団員が参加し、簡単に言えばバトルをする。

リリーフ内には異能持ちもいれば一般人もいるが、一般人は体術などをかなり鍛えているので油断はならない。そして、異能者は異能を使うことが許されている(傷を負わせる程度なら良いが、殺すのは禁止されている)。

つまりはリリーフ内の乱闘をする大会である。

出場者が多いため、三日間にわたって行われる。


「あれぇ、翼は出ないの?」

「私なんかが出たって即負けでしょうが」

「何言ってるの〜、体術とかじゃリリーフNo. 1じゃん」

「他のみんなはそれ以上にすごい異能使ってくるんだよ?ムリムリ」

「えぇー…嘘の異能はかなり強いじゃーん。なんで出ないのさ」

「それとこれは別問題なの。それに、嘘は予め用意しておけば最大限の威力を発揮できるけど桜祭りみたいな大会じゃ雑魚能力も良いところだよ」


翼が持つ異能は『嘘』である。

対象の物を別のものに見せたり、存在するものを消したり(酸素等は消せない)、かなりの力を使えば相手の記憶を変えることも可能である。

翼は何度も使っているが、どう考えても戦闘向きじゃないだろうと言うことで桜祭りには参加しない。もちろん、別の理由もあるからだが。


「それに、桜祭り期間中が一番楽だから。あいつに会うのだったり、いろんな調査ができるの」

「………今も、会ってるの?」

「しょうがないでしょ。あいつがくれる情報は悔しいけど全部本物なんだもの。今日も行く予定」

「………そ。…ま、私はお風呂入るね」

「うん。晩御飯いいタイミングで食べられるようにするね」

「ヨロシク〜」

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