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 意識が戻ると一面に広がる星空が目に飛び込んできた。

 死因となった隕石といい、どうも最近星と縁が深い。

 閑話休題。

 どうやら俺は石か何かの上に横たわっているようだ。

 辺りが暗すぎて手元は見えないが、五体満足ではあるらしい。


「…冷た」


 とにかく寒い。

 どうやら俺は服を着ていないらしい。

 背中に伝わる温度から逃げるように立ち上がる。

 周りを見てみれば、不思議なことに星々は頭上だけでなく足元にも広がっていた。


「これは…」


 宇宙空間…?

 しかししっかりと地面を踏みしめている感覚はある。

 なにより呼吸ができている。


『転生は無事に完了したみたいだね』


 と、さっきまで聞いていた声がまた聞こえた。

 周りを見回しては見るものの、やはり何者の姿も見えない。


『私の声は君しか聞こえていないはず。それにこれは私の声を残しているだけで、一方通行の説明になっちゃうから返事はしなくていいよ。君にしか聞こえない声に対して返事なんかしてたら周りの人に変な人だと思われちゃうからね』


 その声の持ち主がふふ、と笑う。

 しかし…周りに人の姿なんか見えない。むしろ人どころか何も見えない。


『時間がなくてきっと何一つ説明できてないと思う。まずはごめん』


 本当に謝るのが好きだな…。


『まず、私の名前はアスレル。今君がいる世界を作った神だよ』


 創造神…ときたか。

 まあ確かにさっきの真っ白の世界を作り出し、しかも死人を転生させるような力を持っているのだ。

 何かとてつもない存在だと薄々予想はしていたが、しかし神か。


『私が君を呼んだのは、この世界を私から奪った神から世界を救うため』

『まさかあの子が裏切るなんて思わなかったんだけど…とにかく、なんだかんだあって私はその神によってこの世界から追放されることになった』

『きっとあの子はよくないこと、そう、とてもよくないことを企んでる。君にはそれを阻止して欲しい』

『あの子は私を亜空間に追放したと思って油断してると思うけど、油断の隙をついて君を呼ぶことができた』

『私の全盛期には遠く及ばないけど、残った力の全てを君に譲る』

『君の人生だから無理強いはできない。けれど、どうかあの子の企みを阻止して欲しい』

『お願い、私の世界を救って――』


 待って、思ったより何百倍も重い。





 あの後も声は続いた。

 とりあえず一回まとめてみようと思う。


 ・この世界を作った創造神、アスレルによって転生させられた。

 ・理由はアスレルの下位にあたる神?が裏切ったため。

 ・俺はアスレルの力をごく一部受け継いでいる。

 ・敵は裏切った神。名前は知らん

 ・現状、俺の敵として考えられるのは裏切った神を信奉する人間。

 ・アスレルのペットがいたら保護して欲しい。

 ・中央にある都に行けばおそらく情報を得られる。なお言語についてはアスレルの力を受け継いでいるため大丈夫だということ。というかあのメッセージを理解できた時点で大丈夫のようだ。

 ・おそらく全裸だろうけど、そこは仮にもアスレルの力を受け継いでいるため、服を創造したらよいとのこと。

 ・都の中心の塔の最上階にはアスレルのみが開けられる部屋があり、そこにはアスレルの遺産が保管されている。それを活用して欲しいとのこと。


 さて、ざっとこんなもんだが――


「どう考えてもおかしい点がいくつかあるんだよな…」


 まず、最初に言っていた他の人間に会話は聞こえないどうこうの部分だが、周りには人っ子1人いない。

 そして裏切ったとのことらしい神についてだが…せめて名前くらいは教えてくれよ。ていうか神を殺す?って大丈夫なのか…?

 まあいい。

 極めつけはペットについてだ。

 一体どんなペットかは知らんが、いわゆる神獣とか言われる存在じゃないのか?

 創造神のペットがチワワとか想像もできん。

 ていうか、見たところでペットかどうかも判断できなさそうだが。


「まあ何はともあれ、まずは服を作ってみるか」


 しかし、どうすればいいのか…。

 とりあえず寒さをしのげるようなジャケットとシャツ、ジーンズを想像してみる。


「…まじか」


 瞬間、全身を気だるさが襲うとともに前方でトサッと音がした。

 暗くてよく見えないが…手探りで探ってみれば確かに今想像したもののようだ。

 暗さに不快感を感じつつも袖を通す。

 皆どうやって生活してるんだ?

 もっと明るければいいのに。

 そう考えた途端、視界に光が飛び込んできた。


「なんでもありだな…」


 どうやら感覚的に周りが明るくなったのではなく、視界自体が明るくなったようだ。

 自分でも何を言ってるのかわからんが、夜目が強化されたと考えればわかりやすいだろうか。

 今回も同様に体力が奪われるような感覚を覚えるが、服を作ったときほどではない。


 視界が明るくなったため、改めて辺りを観察する。

 目に飛び込んできたのは一面の金属の群れだった。

 周りの全てを金属の建築物が覆い尽くしている。

 先程まで星だと思っていたものは、どうやらそれらが点々と放つ機会的な明かりのようだ。土や草、木、そして生物は見渡す限りどこにも見えない。

 上を見上げてみれば、遥か彼方に同じような金属の天井が見えた。

 天井まで一体何キロあるのか…。

 俺は金属でできた建築物が渓谷のように両脇にそびえ立つ通路のような場所にいた。

 下に目をやれば、ところどころにある隙間からさらに下にも空間があることがわかる。


 そして正面に目をやると、同じく何キロあるかもわからないほど遠くに、俺の両脇に屹立する建築物よりもさらに高くそびえ立つ建築群が目に入る。

 まるで都のように見えるその建築群の中央を見てみると、その建築群の中でも群を抜いて高い建築物――塔のようなものを見つけた。


「ひとまず目的地は決まったな」


 とりあえず目的地を目指しつつ、アスレルから受け継いだという能力についていろいろ確認してみよう。

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