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マッチョと女子高生シリーズ

マッチョ男と女子高生2(超短編小話)

作者: まよにこぴ

 …そういやあんまり近所付き合いした事なかったな。

 ふんはっ!ふんはっ!と鍛練している隣人を見ながらサキコは思う。親は多分、町内会やらの付き合いも含めて挨拶なりしていたのだろうが、自分は全く興味が無かった。

 こんな変な、ある意味面白い逸材が居るとは知らなかったのだ。太陽の光を浴びながら、真っ赤なビキニパンツ一枚で鍛えまくるおっさんなんてなかなかお目にかかるものではない。

「おっさん」

「んっ?」

 縮毛矯正のがっつりかかったストレートな髪を掻きむしりながら、サキコは男に声をかけた。

 彼の引き締まり過ぎる臀部がキュッとなった。


 …きめぇ…。


 彼には申し訳ないがそう思う。

「何て名前なん?ほら、隣なのにあんま知らねーなって」

「ああ!田中だよ。田中」

 ふん!と掛け声とともに、またもや引き締まる臀部。サキコはつい顔を背けた。

「あ、そ」

「意外に普通だろぉ?」

 どうせ話す毎に尻がキュッと引き締まるんだろな…と思い、チラ見したら案の定引き締まっていた。

 あんまり見るのは恥女っぽいから見ないようにしよう、と決めるが、やはり一旦気になってしまうとどうしようもない。

「服着ねぇの?」

「この格好だと気持ちが違うんだよ」

 脱ぐのはジムでやれよ…とげんなりする。ここにうら若い乙女が居るというのに、目の毒である。現に今、いちいち引き締まる尻の方につい目がいってしまうのだ。

 友達と一緒なら面白がるだろうが、一人だと居たたまれない気持ちしか生まれてこない。

「ここ住宅街だし、いつ誰に見られっかわかんねーよ?」

「なあに、大丈夫さ…っふんんっ!!」

 向かい側にも似たような高さのマンションがあるのだ。

 本人が気にしないなら別にいいのだが、マンションのベランダで黒光りのマッチョが鼻息荒くしながらポージングしている様子を、何も知らない人間が見たらどういう気持ちになるだろう。

 サキコはマッチョ男田中の気が済むまで黙る事にした。


 それから数分後。

 そろそろネイル新しくしようかなー、とベランダの椅子で寛いでいたその時、隣の田中の部屋から呼び出しのチャイムが鳴った。はいはい、とポージングを止めた彼は応対に出ていく。

 携帯を弄るサキコの耳に、訪ねてきた来客の声が飛び込んできた。

「ああ、すみません。●●警察のもんですがね。向かいのマンションの住人から、裸で踊ってる不審者が居ると聞いたもんで様子を見に来たんですよ」

「えっ!?踊ってるって…いや、これは」

「あんた何してんの?」

「日課なんですよ!鍛えてるの!」

「鍛えるのは勝手だけどねぇ…全裸になる必要あるの?あんた、休日の真っ昼間で見てくれと言わんばかりにベランダでする事ないでしょ?まず服を着なさい」

 慌てる田中の声に、サキコはついベランダから覗きこんだ。

 ほらぁ、やっぱり変だと思われてんだよ…。

 必死で説明している田中の声を、彼女はついつい面白半分で盗み聞きをしていた。

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