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プロローグ

数年前、人類は異能に目覚めた。目覚めたとは言っても、当時はほんの一部の人間だけが異能を使えるようになっただけだった。

異能力クラウン】。俗に言う能力の事。火を操ったり生き物を使役したりと、様々な力が存在する。

現在この世界の人口はおよそ120億人。その2分の1が異能者だ。

俺は、天宮あまみや 郁夜いくや。今日から高校生になる。一応能力者だ。俺の能力は少し特殊だ。ヘッドホンを肌身離さず持っている。特技は・・・。耳が良い。(これ特技なのか・・・?)

俺が通うのは、ウェールデッド学園。能力者の集う学園だ。

1人暮らしの俺は、誰もいない自宅を後にした。

登校中、見知った顔を発見した。

「何だお前も一緒か。」

「まぁそう言うなって。」

苦笑いしながら答えたのは、俺の親友。片瀬かたせ じん。茶髪のイケメンだ。

「なぁ郁夜。お前能力の事・・・。」

「・・・。」

俺が無言なのを悟って、それ以上刃は何も言わなかった。

気だるい入学式を終え、クラス分けがあった。刃はとなりのクラスになった。ちなみに俺はAクラス。

今日は授業が無かった。教室では、自己紹介などで結構盛り上がっていた。

俺が1人で窓の外を眺めていると、1人の女子生徒が声を掛けてきた。

「どうして1人でいるの?」

「特に意味は無いないな・・・。」

藍色を帯びた長い黒髪を揺らしながら彼女は語り始めた。

「私は、華芽原かがはら 白亜はくあ。私にはね尊敬する人がいるのよ。」

「尊敬?」

「うん。会ったことはないし、顔も知らない。」

「その人を?顔も知らないのに?」

「そう。噂を聞いたの。悪い人たちをやっつけて、颯爽と姿をくらます。何だか素敵じゃない?その人はね・・・。【ノイズ】って呼ばれてた。」

・・・。【ノイズ】。

「どうかな・・・。悪い人間を倒して、姿をくらます・・・。ただの自己満足だよ・・・。」

そう呟いた。誰かに対してではなく。ただ呟いた・・・。

しかし彼女は不快な言葉として受け取ってしまったらしい。

「何よ・・・。あなたに何が分かるって言うの・・・。必死で頑張っている人にそんな言い方って・・・。最低・・・。」

そう言い残し、去ってしまった。

言い過ぎたかな・・・。


悲しかった。尊敬する人を侮辱されたような気がした。

私、華芽原 白亜は幼い頃に能力に目覚めた。いつも周りから尊敬の目で見られ、それが心地よく感じ、不安でもあった。

だから私は心から縋れる何かを探した。家族は優しいし。皆大好きだった。けれど尊敬と敬愛は違う。

中学生になり、様々な情報を手に出来るようになったある日、遂に見つけた。尊敬できる人物を。

噂では、悪人を退治し、痕跡1つ残さず消える謎の中学生。ほぼ全国で彼の存在が知れ渡った。

ところが3年間。とうとうその存在は明らかにされなかった。

それでも信じていた。このウェールデット学園に入れば、彼に会えると。

翌日の登校中。とある男子生徒たちが話しかけてきた。

「えっと。華芽原さんだっけ?少しいいかな?」

「何かしら?」

「昨日さ、あの変な男と話してたよね?」

・・・。

「あれ?だんまりかよ。まったく、初日から男漁りかよ。でも相手を選んだほうがいいぜ。あんな地味なヘッドホン野郎より俺たちとさ・・・。」

「ふざけないで!」

関係ない。あんな男・・・。

「私はただ話していただけよ。尊敬する人について・・・。」

そう言った。すると男子生徒たちは、

「ギャハハハハッ!」

腹を抱えて笑い出した。

「いやいやすまん。尊敬って。ブッ・・・。」

笑われた私は頭にきて、思わず手が出てしまった。

パチンッ・・・。

甲高い音が鳴り響いた。

咄嗟に出た平手打ち。

「このクソアマッ!おいお前ら、やっちまうぞ!」

すると、男子生徒たちが襲い掛かってきた。

「きゃっ・・・!いや・・・。助けて・・・。」

迫る男子生徒たち・・・。

「ノイズ・・・。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

少しして、そっと抱き抱えられるような感覚を覚えた。

「呼んだか・・・?」

そこにいたのは、昨日の男子生徒だった。

「・・・。何で・・・?」

「何だお前。あぁ、昨日その女と話してた・・・。誰だ?」

「モブキャラ扱いかよ・・・。」

すると、

「おい君たち。何をしている。」

教師が駆けつけた。

「君たち。私闘は校内でやりたまえ。」

校内はありなんだ・・・。とは誰もつっ込まなかった。


くそ・・・。面倒くさいことになった。まさか不良グループとの模擬戦をやることになるとは・・・。

校庭で準備体操をしている俺に、刃が声を掛けてきた。

「どうしてこうなったんだ?」

「知るか・・・。」

「能力の事・・・。」

「しょうがないだろ。なる様になるさ。」

しばらくして、例の男子生徒たち・・・。あれ?1人明らかに違うのがいるんですけど・・・。

「おい。どいつだ?調子に乗ってるクソガキってのは。」

俺の倍くらいの体を持つ巨漢が姿を現した。何こいつ。ボスですか?

「俺だけど・・・。」

「ん?何だ?ずいぶんなひよっこじゃねーか。」

「あんたが相手してくれんのか?」

「まぁ、俺が出るまでもねぇだろうがな。報酬が気になる。」

「報酬?」

「勝った方があの華ヶ原ってのを自由に出来るんだろう?」

それを聞いた彼女の表情が羞恥と憎悪に変わった。

くそ・・・。もうやるしかねーじゃん・・・。

そして俺は口を開く、

「3秒だ・・・。」

「あん?」

「3秒で決めてやるよ。」

「このクソガキっ!なめやがって!」

そして模擬戦が始まった。

タイムスタート・・・。

1,ヘッドホンを耳元に装着する。

2,ズボンのポケットからケースを取り出し、中のカプセルドラッグを口に一錠含む。

3,噛むのと同時に指を鳴らす。

そして決着が着いた。

巨漢の鳩尾に俺の蹴りがクリティカルヒットしている。

「バカ・・・な。」

男は倒れた。

ギャラリーは何が起こったのか理解できずに黙りこくっている。

終わったな・・・。

振り返ろうとした瞬間、体が動かなくなった。

「しまった!」

そう、別の男子生徒が能力を使ったのだ。

「卑怯・・・、だぞ。」

「卑怯?それならお前は?訳の分からない力を使いやがって!」

はぁ・・・。仕方が無い。

今度は指を2回鳴らした。一回目で敵の目の前へ、二回目で敵の背後に回った。

そして首に手刀で止めをさした。男子生徒は気絶した。

すると残った男子生徒が、驚愕の表情を浮かべながら叫んだ。

「聞いた事がある。とある名門異能中学で序列1位で通過した天才がいると・・・。黒髪に、地味な雰囲気。いつもヘッドホンを身に着け、音を操る能力者。【死を招く雑音ノイズ】・・・。」












どうも、前作と同時進行でやっていきます。

1話をお楽しみに。

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