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13thスティント

俺らが参戦しているクラスはP2で、規定上マシンには100L積むことが出来る。本当は99L位使い、ギリギリまで引っ張りたいところなのだが、一応余裕を持たして95Lでピットすることになった。ピットインまでの間、ピット作業の各担当も決めておく。

「……さんが入れるから本田君は……」

「……野水君が車内のコンピューターを……」

ルーティンの作業そのものはいつもやってる人達が中心ではあるのだが、トラブルでガレージに入れた場合の手順を確認しておく。絶対入れることになるだろうし……。


スタートから約二十分、そんなことを話しているとGTクラスと混ざり始める。

ちなみに今の各クラスの上位陣は以下のペース


P1

予選1.45台

決勝1.50台


P2

予選1.49台

決勝1.53台


GTP

予選2.02台

決勝2.05台


GTA

予選2.05台

決勝2.09台


ただ下位クラスに追いつくのは、当然そのクラスの最下位だからもっと遅いチームだ。今回ならGTAの最下位。それが以下のタイム


GTA下位陣営

決勝2.13台


尚俺達

予選1.51.462

決勝2.00(今のところ)


俺達とは約11秒差、11週で追いつく計算だ。もちろんオープニングラップのタイムや其の他の要因もあるため、毎回これ通りではない。


そこで監督が無線を飛ばす。

「当てずにちゃんと抜けよ。カートと違って別クラスだからな。タイミング読んで抜く場所決めと

けよ」

「わかりました」

光も返すが、大丈夫か? まあ抜く行為そのものはいつもやってる筈だからな。……同クラスのバトルだけど。


って言ったそばから引っかかってるよ……。ちなみに今前半のS字通過中。

「お、やっと抜いた。デリー手前か」

やっぱいつもと抜き方違うからやりにくいのかな? ここのコース狭いし。すると美山さんが無線を借りて

「ライトでパッシングすんのもう少し前からやったほうがええな。知らせるのは早め早めにな。そしたら相手も準備しやすい。兎に角決めた場所で抜きたいって雰囲気を出すんや」

「そんなのどうやって出すんですか!?」

「向こうもプロや、アマもいるけど……。ミラーの距離でどのへんで抜きたいか分かる。んでパッシングやってくれたら向こうもそれの準備ができる。そして抜くときは前のウインカー見て、決める。勿論タイミングにもよるけどな」

「わかりました。やってみます」


混ざり始めてからのペースが以下

2.00~2.02

さっきよりタイムがバラついてるのは、光が慣れてない為である。逆に言えば、慣れてないにもかかわらず2秒しか違わないとも言える。いや、2秒は結構でかいんだけどね?


十六週目

「そろそろP1が来るぞ」

監督が無線で光に警告する。ってあいつ抜かされ方わかるのか!? 抜くのとは違うぞ!?

「今度は逆にウインカー使えば良いんですよね?」

「あぁ。こっちからもある程度状況は伝えるが、最後は自分でミラー見てタイミングをよく計れよ」

「了解」

さすがにこれは知ってたか。まあ、親御さんに教えてもらったんだろうな。GTAの時の逆でもあるし。ただ、これ以上はやりながら慣れるしかないか。

「先頭はどのへんですか?」

「デリーあたりです」

今度は部長が光に情報を送る。


「そういえばGTPの予選とほぼ同じタイムとか……」

「仕方ないですよ光さん」

「でもどんどん抜かれるのもなんか癪!」

いよいよ全クラス混ざっての展開となる。光が何か言ってるが気にしない。俺達が遅いのは最初からわかってたんだから。まあP2のワークスだと場合によったらP1に勝つ事もあるけど、そんなの稀だからな。

「ドゥマンでは絶対同じスピードで走るんだから!」

おいおい……


最初の三十分が過ぎたが、今のところトラブルは出ていない。すると監督が

「P1は早いチームだとそろそろ入るか?」

とピットクルーと話している。P1はタンクが小さいし、燃費が良くないから(ただし以前話したように使える量は多い)早いチームは20周くらいで入るところもある。それでも三十分……いや四十分近くは経っている。あのタイムで四十分走るってやっぱプロはすげー。

「え? 皆満タンってわけじゃないんですか?」

野水が疑問を投げかけるが、美山さんがそれに答え、

「それはチーム戦略によるなー。軽い方がタイム出るし、ピット混んで詰まるのが嫌な場合もあるし」

「タイムが出やすいのと関係が? 給油とかで結局後々帳尻合わせないといけないですけど……」

部長の質問もご尤も、だけど今度は関さんが

「前が開いてるだろ? その間に一気にいこうって事だ。混走状態でタイム上げるのは難しいし、抜くのは大変だからな」

「あ、それで混ざり始めに合わせてピットに入ったりとかするんですね!」

部長も成る程と頷いている。二人とも合点がいったようだ。

「まあ、そういうこっちゃ。本当はそれだけやないけど、それが大きなの理由の一つかな?」

そういうチームは例外として、他のP1は皆30週ほどで、P2は40週ほどでピットに入るようだ。まあ、こっちはあまり関係無いが……

「野水、後どのくらいで基準の燃料になる?

「余裕もって1l=1.9kmで計算してますから、予定の95Lまで後12週です」


「テレ見ると大体2km/lか……P1並かよ。タイムはGTP予選並なのに……」

俺もつい呟くが、まあ初の実戦だしな。……近頃は最初から速くないと勝てないらしいが今は考えないことにしよう。

「さっきも言ったけどこのペースだと32週だね。33週だと98Lでギリギリ。それにしても下手なP1より短いみたい」

うるせー!

「それを今後どうするかはおまえら次第だよ」

いや先生、顧問なんだから少しは手伝いを

「その分析は終わってからだな」

監督が言い、そしてこちらに振り返って

「一先ず2番手は美山、頼むぞ」

「りょーかい、さっきの打ち合わせ通りということで」

そんな遣り取りをしつつ、二番手の美山さんが準備に入った。

「早め早めにな」の部分本当は「早めへ(に似た繰り返し記号)にな」

にしたかったのですが、「へ(に似た繰り返し記号)」の出し方わからなかったので不本意ながら同じ文字を繰り返ししました。


ピットの思惑は実際どうなんでしょう? 一応それらしい事書いてみましたが……。

やっぱ有料入ろうかな? そしたら裏事情もわかりそう……。

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