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12thスティント

 シグナルが赤から青に変わり、全車一気に加速していく。ピットスタートの為、こちらはそのクラスの全車が通過してからピットを出る。

「ローリングスタート(※)真横で視たの初めてだ。テレビだと大抵正面からだからわからなかったけど、各車あんなに牽制してたんだ」

ローリングスタートはよーい、ドン! で皆一斉に加速するのではなく、先頭のマシンがペースをある程度コントロール出来る。そこで加速や減速でいくぞ! とかまだ? とか互いに牽制するのだ。

そしてスタート。耐久選手権とはいっても、ここ最近はスプリントのように激しいバトルか結構ある。スタートもそうだ、全車、全開で加速して行く。

ピットスタートの俺達はGTAクラスまで含め、全社スタートを切った後、ピットレーン出口で待機していたマシンを発進させる。それ用のシグナルがちゃんとピットにはあるのだ!


それを確認して俺たちは監督達の元に集まる。モニター越しだけどマシンがレースの本戦で走るのは感慨深い……。暫く皆で見入ってしまう。が、流石に監督が

「少し走ったが一応周回重ねてるな。そろそろこのレースについて話し合うぞ」

名残惜しいが現実に戻る。

「まず最初に謝らないとな。ちゃんとピット作業出来るか確認しなかったのは監督である俺の責任だ。すまんが、ミーティングでも言ったとおり走りながら戦略を考えることにする」

皆を集め監督が話す。

「何分こんなスポンサーの要求初めてだからな、いや、それもプロとしては言い訳か」

そりゃ戸惑いますとも。えぇ

そしてまずマシンの状態等を再確認し、それを元に役割を決めていく。

「ピットストップは時間掛けてもいいから、とにかく慎重にいこう。慣れないマシンで無理して、ガソリン溢して引火とか洒落にならないしな」

監督がそう云い、ピット要員の人たちも頷く。そして今度は俺たちの番、このレースの目標を決めていく。


「では次はエンジン部分だが、まずはエンジンマッピング(※1)をお復習いしよう。野水、説明頼む」

「はい、まずは今のところ5段階です。数字が小さいほどパワー重視で、マップ1が予選用、壊れたやつですね。今後要改良です。で、5がセーフティーカーって言うんですか? それ向けですので、実質2から4の3段ですね」

それを聞き小端が

「そういえばかなり極端に振ってるよね。今後はもう少し増やしてほしいな。あと長距離だと予選あんまり関係無いから、予選用まではいらないんじゃない?」

「まあそうだが、今はそれはおいておこう」

確かにスプリントだと予選の順位が決勝にかなり影響するけど、耐久レースだと結局は自分のペースが重要だから、そこまで前じゃなくてもいいのかも。

そして監督が次へ進める。

「一先ず、満遍なくデーター取りたいですね。何週かごとにマップ変えて、ペースはその中でなるべくプッシュですかね?」

(え!? いやいや関さん! 常に全開かよ!)と一瞬思ったが口にはしない。先ほども言ったが「スプリント」レースと言われてるからだ。あれ? 耐久は何処行った?

とはいえ監督が

「いや、長くいから今回はそこまでプッシュしなくていい」

今回は、ね……


「1スティント何周いく気や?」

「リッター1.9で回れば、99lまで使って32週で一回ですね」

野水が電卓叩きながら答える。

「使う量はもう少し減らすとして、それ維持して55秒台でいけそうか?」

「無理ちゃうか? 思ったより燃費悪そうやしな。ほら、またアフターファイヤー(※2)吹いた」

「乗ってみないと断言できませんが、俺も同意見です」

皆の話を聞く内、段々テンション下がって来たぞ……

「ちゃんとタイム計算出来ないのはきついなー。いつも出来るのが当たり前だったから」

うぅっ……

「ま、楽しみましょーや、次のスティント俺やから無線で実況したる。無線切らずに耳の穴かっぽじってよく聴けよ? な? お前ら!」

な! で勢いよく振り向きつつ美山が云う。

「「はい!」」

皆同時に姿勢を正す。何でこういうのって音頭取らなくてもリズム合うのかね?。

「……それがあればですけどね」

テンションについていけないのか、将又呆れてるのか、関さんが壁にすがって腕組みしつつ溜息を吐く

「そこは野暮やでー」

一同「「あははは……」」

そして何事もなくミーティングは終わる。いや、本当はレース前にやるんだけどね?


今回から用語説明はこちらに書きます。


※ローリングスタート:フォーメーションラップ後、静止せず動作状態でスタートする方法。

※1エンジンマッピング:エンジンはコンピューター(ECU)によって燃料噴射量や点火時期等を制御しているが、それを行う際のコンピューターのセッティングのこと。

※2アフターファイアー:本来エンジン気筒内で燃焼を終えていなければならないガスが、何らかの原因で未燃焼のまま排出され、高温の排気管等に触れ燃焼し、排気管から炎を出す現象のこと。


あのマシンでこのタイムを出せるのか? とかの突っ込みは無しでw

恐らくタイヤが合ってたんでしょうw

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