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9thスティント

 デビュー戦は以前も言った通り三重県にある伊勢湾サーキットで開かれる伊勢1,000kmだ。JRCCの一戦として開催されるこのレースに、スポット参戦する。


 あの後オーバーホールしたり走行テストしたりやっと届いた耐火スーツに一喜一憂したりしたが(最後のは余計だな。でも嬉しかったんだもん! それまで体操服だったし)、結局岡山の試験の時と同じ状態で出場となった。美山さんのチームが他のレースに参戦してた事もあり、サーキットでの全開テストはあの時の一回しか出来なかった。

 移動日前日、レース前最後の整備を行う、こればっかりやってるな……。自分で設計しておいてなんだけど、もっと信頼性上げて簡単な整備で終わらせたいよ。


 水曜日の朝に出発し、トランポにマシンを載せ高速を移動する。夕方に現地に到着。即、機材をピットに搬入して明日へ向けて準備する。とは言っても、流石に主要な機器はチームの物のためいくら俺達主導と言っても触らせてもらえない。この時は単に雑用係だ。


 木曜日は車検にあてられる。レースで車検? と思うかもしれないが、規定通りの車かどうかここで調べるのである。尚開催中はマシンの保管は基本的に運営側が行う。これは不正防止の為である。もちろん修理等は許されている。そうそう、型式名はS(坂ノ上)H(高校)PプロトタイプC(car)1(通し番号)だ。

「これを高校生が造ったのか?」

「信じられん……」

検査官の人達が調べつつ口々に感嘆の声を上げる。

「ふ、ふ〜ん。そうでしょうそうでしょう!」

光がドヤ顔で胸を張る。いや、お前自身が造ったんじゃないだろう。

「高橋さんは乗ってただけだよね」

「何よ野水! 誰のおかげで走行データー取れたと思ってんのよ!」

「美山さんと関さん」

「な! あたしが一番多く乗ってるでしょうが!」

あの二人が言い合ってる、珍しい組み合わせだな。と言うよりも野水よ、あんま光をからかうな、面倒くさい。

「義正、あんた今内心馬鹿にしたでしょ?」

「そ、そんな事ないぞ?」

何で分かったんだよ!

「……結果言って良いですかね?」

「あ。はい。すいませんうちの後輩が。ではどうぞ」

監督や部長が結果を聞いている。部長の表情からすると問題無かったようだ。よかった〜

「たく、こんな所でやりあうな。車検も立派な本番だぞ」

……はい。


 金曜日のスケジュールは午前二時間、午後三時間の練習走行。この時にデーターを集め、セッティングを決め、又ドライバーにコースに慣れてもらう。


「じゃあ行くでー」

練習走行が始まった。各車とも慎重にピットから滑り出して行く。

「ピット、ダンパーが……」

「美山、次は……」

「そろそろ……」

何とか予定を消化して行く、今のところマシンを労ってるのもあってかトラブルは出ていない。しかし遅い為確実にコース上で邪魔になっている。動くシケインである。

「伊勢湾楽しいね! 流石世界中でもトップクラスって言われるだけあるわ」

世界選手権のドライバーが毎年楽しみにしてるらしいからな。

「そう言ってられるのも今のうちだぞ。俺達はあくまで仕事なんだからな」

「まあまあ関、楽しめるうちに楽しむのも大事やで。コースも其の方が覚えるしな」

確かに苦痛だったら逆に忘れたくなるもんな。

「両方とも気持ちは分かるが。で、どうだった?」

監督の一言で皆が仕事モードになる。プロの切り替えすげー

「基本的には前回の岡山と同じですね。まあ変える事が出来なかったらしいので仕方ないですが」

「せやな。ただ、ここだとやっぱカナードだけでも欲しいな。今からでも無理か?」

ダウンフォースを少なめに設定したのは他のチームにもあるから良かったが、うちは足りなさすぎた。

「……付けたら空気抵抗が増えるからやっぱり嫌」

「せやけど、ある程度ないと路面への押しつけが甘くてタイヤに熱が入らんからなー。ってその——やっぱり——は岡山の事か?」

由良さんが頷く

「しかし負担の関係でただでさえ(アクセルが)踏めないのに、空力の影響でさらに踏める区間が短い。実際タイムも上がらない」

「まあ造ってないんなら仕方ないか」

こうして今回の基本セッティングは決まっていった。

最初の投稿から一年経ってやっと一戦目かよ……

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