ただ小説を読んでいる。
ただ思春期の男子が書いた漫画です
貴方ならどんなシナリオを書くだろうか。
貴女ならどんなストーリーを書くだろうか。
どんな最後を書くだろうか。
私なら絶対に「行きたい」と書くだろう。
……と、小説のページが終わった。
「なんだ、この小説」
誰もいない図書室。校庭側の窓から風が吹き、カーテンが揺らぐ。窓から差し込む太陽の光が、室内を明るく照らしていた。
11月の秋。夏という暑い季節が過ぎ、とても心地よい風が吹き抜ける。
誰もいない図書室で、今日もまた本を開く。これが僕の日常だ。「面白い」「感動」「悲しい」「かっこいい」。小説にはいろんなジャンルがあり、読んでいて飽きることがない。
今日読んでいるのは『貴方の目線で』という小説だ。ある少女が作家を目指し、親や親戚から酷いことを言われても、それでも夢を諦めずに進む物語。
平日の昼休み、僕は毎日図書室に通っては、この本を読んでいた。
その時、図書室のドアが開いた。
音を立てないよう、ゆっくりと少女が入ってくる。
僕以外の人が図書室に来るなんて初めてのことで、僕は呆然としてしまった。
少女は周りを確認しながら、静かに入ってくる。僕はいつも、人が来ない部屋の隅の机で本棚に囲まれて本を読んでいたため、少女は僕の存在に気づかない様子だった。
僕はなぜか、反射的に身を隠してしまった。
少女は僕がさっきまでいた本棚に近づくと、手に持っていた本をゆっくりと棚に戻した。
(僕以外にも本を借りていく人がいるんだ)
そんなことを思いながら観察していると、少女は再び周囲を気にしながら、素早く静かに図書室を出て行った。
初めて見る他人に驚いて隠れてしまったものの、僕は少女が返した本が気になり、その本棚へ近づいた。
そこには、さっきまで少女が持っていた本が収められていた。
だが、違和感があった。僕は入学してから6ヶ月間、毎日この図書室に通っている。けれど、その小説はあまりにも綺麗で、今まで一度も見かけたことがなかったのだ。
僕はゆっくりとその小説に手を伸ばした。タイトルは『その日まで』。
作者の名前を見た瞬間、僕は息をのんだ。
さっきまで読んでいた『貴方の目線で』と同じ作者だったのだ。
驚きながらも本を手に取り、ページを開く。
「生きたい」
冒頭に記されたその言葉は、まるで命の終わりを予感させるかのような重みを持っていた。
その時――さっきの少女がまた戻ってきた。
僕は突然のことに対応できず、その場でフリーズしてしまう。
少女と、僕の目が合った。
視線が交差した瞬間、しんと静まり返ったような静寂が流れる。
風で揺れるカーテンの揺らぎ、校庭から微かに聞こえる男子たちの楽しそうな声、そして図書室に響く時計の針の音――そのすべてが、妙に鮮明に耳に届いた。
沈黙を破り、少女がぽつりと口を開いた。
「その本――」
僕は動揺のあまり、早口で弁明した。
「ご、ごめん! さっきまで本を読んでいたら君が入ってきて……本を棚に戻すのを見てたんだ。僕以外に人が来るのが初めてだったから、どんな本を借りていたのか気になっちゃって……」
図書室で誰かと会話をするなんて、これが初めてだった。
「その本、見た?」
少女はまっすぐ僕を見つめて尋ねてきた。まるで自分が書いた作品について、読者の感想を確かめているかのような眼差しだった。
「あ、少しだけ……。最初の『生きたい』ってところだけ見たよ」
少女はゆっくりと歩み寄り、僕の目の前で足を止めた。
「ねぇ。確か君の名前って――」
僕は少し緊張しながら答えた。
「……一年の、工藤読見」
僕の名前を聞くと、少女は少しだけ体を後ろに引き、凛とした声で言った。
「私の名前は、柏木美来!」
こうして、僕たちは出会ってしまったのだ。
読んでいただきありがとうございます!こんなどこにでもありそうな小説を読んでくれていたら嬉しいです。
趣味でやっているので続きは出るかはわからないかもしれないけど人気が出たら続き書いてみます




