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異世界転生したコンビニが世界を救う  作者: もしものべりすと


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第九章 定時配送の開始

遠征から戻った創太は、すぐに新しいプロジェクトに取りかかった。


「定時配送システムを構築する」


集まった幹部たちに、創太は宣言した。


「定時配送?」


リーナが首を傾げた。


「コンビニの基本だ」


創太は説明した。


「決まった時間に、決まった場所に、物資を届ける。それを繰り返すことで、安定した供給体制が作れる」


「でも、運搬手段は?」


カイルが聞いた。


「馬車は、まだ準備できていない」


「人力でやる。最初は非効率でもいい。仕組みを作ることが大事だ」


創太は地図を広げた。


「まず、中継地点を設置する。ここと、ここと、ここ」


三つの地点を指した。


「この店から各中継地点まで、それぞれ片道五キロ。一日で往復できる距離だ」


「中継地点に物資を置いて、そこから先は別のチームが運ぶ……」


カイルが理解した。


「リレー形式、か」


「そうだ。各中継地点から、さらに周辺の集落へ配送する。そうすれば、一日で広い範囲をカバーできる」


「なるほど……」


リーナも頷いた。


「狩猟チームのルートと組み合わせれば、効率的に動ける」


「そういうことだ」


創太は満足げに頷いた。


「各部門、連携して動いてくれ」


定時配送システムは、一週間かけて構築された。


中継地点は、簡易的な小屋と貯蔵庫を備えた「ステーション」として整備された。


配送チームは、毎朝決まった時間に出発し、決まったルートを巡回する。


「店長、報告だ」


配送チーム長を任されたドワーフの若者——ボルクといった——が、帰還報告をした。


「今日の配送、全ルート完了した」


「問題は?」


「特にない。各集落への物資は、予定通り届けた」


「よし。よくやった」


創太は頷いた。


「明日も、同じルートを頼む」


「了解」


ボルクは去って行った。


創太はストアコンピュータに向かい、配送データを入力した。


誰が、いつ、何を、どこへ届けたか。全てを記録する。


「マネージャー、このデータを分析してくれ」


『承知しました。配送効率と需要パターンを分析します』


数分後、画面にグラフが表示された。


「北東の集落への需要が、他より高いな」


『はい。人口に対して、食料の消費量が多い傾向にあります。栄養状態の改善が進んでいる証拠かもしれません』


「いいことだ。そっちへの配送量を増やそう」


『了解しました。発注計画を修正します』


創太は椅子の背にもたれかかった。


定時配送。需要予測。在庫調整。


現実世界のコンビニでやっていたことと、本質的には同じだ。


でも、ここでは——


「人の命がかかってる」


重みが、全く違う。


『店長』


マネージャーの声が響いた。


『お疲れのようです。少し休息を取ることをお勧めします』


「……ああ、そうだな」


創太は立ち上がった。


「少し、外の空気を吸ってくる」


店の外に出ると、夕暮れの空が広がっていた。


オレンジ色と紫色が混ざり合う、美しいグラデーション。


「きれいだな」


ふと、リーナが隣にいることに気づいた。


「……お前もいたのか」


「ああ。少し休憩」


二人は並んで、夕焼けを眺めた。


「店長」


「なんだ」


「最近、働きすぎだ」


「……そうか?」


「そうだ。目の下にクマができてる」


「……」


確かに、最近は睡眠時間が削られている。やることが多すぎて、休む暇がない。


「体を壊したら、元も子もないぞ」


「わかってる」


「わかってないから言ってる」


リーナは呆れたように溜息をついた。


「あんたは、自分のことになると鈍感だな」


「よく言われる」


「……もう」


リーナは小さく笑った。


「今夜は、早く寝ろ。私が見張りを代わる」


「……いいのか?」


「いい。たまには、あんたにも甘えさせてやる」


「甘えてるのはお前だろ」


「うるさい」


二人は、また並んで夕焼けを見つめた。


静かな、穏やかな時間だった。


「……ありがとう」


創太は小さく呟いた。


「え?」


「いや、なんでもない」


リーナは不思議そうな顔をしたが、それ以上追及しなかった。


夕焼けが、ゆっくりと夜の闇に溶けていった。

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