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吸血鬼は人間の君に何度も恋をする  作者: 黒姫 百合


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30/52

帆波はもっと反省しろ~

「それじゃーポテチとかチョコ開けようー。ジュースもくんでくんで」


 天音の号令により、男子会が始まった。

 最初はお菓子を食べながら他愛もない会話から始まった。


 どの教科が好きとか、先輩になった実感とかあるとか。

 あの先生が好き、嫌い、教え方が上手いとか下手とも愚痴りあった。


「いや~、初めて男子会したけど楽しいね~」

「そうですね。何気にこれが初めてですよね」


 初めて開催した男子会に天音も帆波も楽しんでいた。


「楽しいですか静香」

「うん、とっても楽しいの」


 帆波の質問に静香は嘘偽りのない答えを返した。

 二人の言うとおり男子だけで集まってはしゃぐのは楽しい。


「なんかまたやりたいよね、男子会」


 静香が次回の提案をしてしまうぐらいお泊り会は楽しかった。


「そうだね~。またやるのも良いかも」


 天音も結構ノリノリだった。

 男子会は楽しいが、でも今日はただワイワイするために集まったわけではないということはなんとなく察していた。


 帆波も天音もいつも通りだが、なにか様子を伺っている。


 そのせいでいつもより、ノリというか会話がぎこちない。


「二人とも今日はこんな会を開いてくれてありがとね。きっと月ちゃんのことでしょ」

「ゲフンゲフン」

「……」


 これ以上二人に気を使わせるのは悪いと思い、静香は今日の本題に入る。

 天音は分かりやすいぐらい動揺し、帆波は罰の悪そうな表情を浮かべながら目を伏せる。


「……かなり落ち込んでいましたから。でもそれだけではありません。これは静香だけの問題ではありません。私たち三人の問題でもありますから」


 帆波自身も月の心情に気づけなかったことに関して負い目を感じていた。


 男の娘と女の子。


 あまりにも近い存在なのにそれ故に遠い存在。


 静香たちのグループは男子三に女子一という、友達グループの中ではかなり珍しいグループだろう。


 基本男女グループだと同性がそれぞれ二人以上いるグループがほとんどだ。


 なぜかは分からないが、二人以上同性がいればお泊りとかする時にハブられることもないし、色々と都合が良いことの方が多い。


 だが一人だと自分以外が全員異性になるため、気疲れも起こしやすい。

 きっと月は口に出さなかっただけで少しずつそういうストレスをためていたのだろう。


 それに静香は、いや静香たちは全く気づけなかった。

 こんなことも気づけないでなにが友達だ。


「月ちゃん、もしかして私たちといて気疲れしてたのかな。もしかして居心地悪かったのかな。楽しかったのは私たちだけだったのかな」

「別にそんなことはないと思うよ。私たちと一緒にいる月はとても楽しそうだったよ」


 自己嫌悪に陥っていた静香に天音が優しく話しかける。

 その声はいつも聞いているような間延びした声ではなく、凛とした声だった。


「月ちゃんはずっと私たちといて寂しかったのかな?」


 この月の言葉が静香の心に一番深く突き刺さった。

 静香は月と友達になれて良かったと思っているし、月と一緒にいて楽しかった。


 でも月は静香たちといてもどこか心の距離を感じており、寂しいと言った。


「私、なにも気づいてあげられなかった。私、友達失格だ」

「静香は悪くない。もちろん月も。ただ私たちはすれ違っているだけ」


 後悔の念に苛まれる静香の背中を天音は優しくさする。

 今日の天音はいつもと違って大人な感じがする。


「多分、私もいけなかったんです。私も月のことを必要以上に女の子と扱っていたのかもしれません。それが月にとっては距離を感じて嫌だったことに私も気づくことができませんでした。私も同罪です」

「そうだーそうだー。帆波はもっと反省しろ~」

「なんで私だけ煽るんですか。静香のように慰めないんですか」

「ふ~ん、慰めてほしいんだ~帆波ちゃんは~」

「べ、別に、そんなことはありません」


 空気に呑み込まれたのか帆波も懺悔を始める。

 確かに帆波は月を女の子扱いしていた。


 でもそれは月のことを気遣ってやっていたことだ。

 でもそれが、月にとって心の距離を感じさせる原因になったのもまた事実だ。


 帆波の懺悔を聞いた天音は静香の時と違って帆波を煽る。


 煽られた帆波は拗ね、また天音にからかわれる。


「帆波も別に悪くはないよ。ただお互いすれ違っているだけだから。きっと月も本心で友達にならなない方が良かったなんて言ってないよ。だって私たち、毎日笑い合ってたでしょ」


 天音は帆波の頭を優しく抱き寄せる。


 今日の天音はいつもより大人だ。


 いつもは子供っぽいのに、今の天音はまるで静香より何倍も大人な雰囲気を醸し出していた。


「きっと月も自分の感情を持て余しているのでしょう。大丈夫、私たちはバラバラにはならないよ」


 天音は優しい声音で話しながら静香も抱き寄せる。

 この中で誰よりも小さい体なのに、今だけは誰よりも大きかった。


「だって静香は月とバラバラにはなりたくないんでしょ」

「もちろんだよ。私はずっと月ちゃんと友達でいたい」

「帆波は?」

「もちろん、私もです。私も月と友達でいたいです」


 天音に同じ質問をされた静香と帆波はキッパリと自分の意見を言う。


 そんなこと確認されるまでもない。


 だって月は大事な友達の一人だから。

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