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吸血鬼は人間の君に何度も恋をする  作者: 黒姫 百合


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23/52

う……ううん。助けてくれてありがとう

 あれから数日。メアリーはさまざまな部活を体験した。

 運動部は男女別になるため、華道部や書道部、写真部や吹奏楽、文芸部など男女合同でやる部活を見学した。


 だが、心惹かれるものがなかったらしく結局メアリーはどの部活にも入部しなかった。


「おはよう静香」

「おはようございますメアリーさん」


 いつも通りの朝。


 そしていつもどおりのやり取り。

 メアリーが転校してから今日まで毎日、メアリーは静香のお迎えに来ていた。


 何回見ても制服の胸元が悲鳴を上げている。


「おや、静香は我の胸元が気になるのか?」

「べ、別に気になってなんかありましぇん」


 妙なところで勘が鋭いメアリーは静香の視線に気づく。

 図星を突かれた静香は後ろめたさや居心地が悪いこともあり、言葉を噛んでしまう。


「ほぉ~、静香も男だな~」


 メアリーはなぜか嬉しそうにニヤニヤしている。


 少し心外である。


「静香になら見せてやっても良いぞ」

「もう~からかわないでください」


 胸元を近づけてメアリーがおちょくってくる。

 胸の谷間から香る甘い匂いに、少しだけドキッとする。


 女の子に免疫がない静香は頬を赤くして抗議する。


 おっぱいはずるい。


 そんな武器使われたら、静香だって反応に困る。


「そう言えばメアリーさんってどこに住んでいるんですか」


 話の主導権をメアリーから奪うため、メアリーはわざと話題を変える。

 メアリーが言うには隣町に住んでいるらしい。


 てっきり、同じ町に住んでいると思っていた静香は内心驚いた。


「隣町って結構遠くないですか?」

「そうでもないぞ。電車で二駅分だし、それに空を飛べ……いやなんでもない。そんな遠い距離ではなかろう。……お前に会えなかった三百年の方がよほど遠かったしな」


 最後の方メアリーがなにか言ったような気がするが声が小さくて静香は聞き取ることができなかった。


 たまに見せるメアリーの寂寥感が漂った顔が気になったが、静香は踏み込むことができなかった。


 その後、学校に到着し帆波や天音、月とも合流する。


「いつもメアリーと静香は一緒に登校してるよね~。もしかしてワンナイト~」

「「「?」」」

「なっ、なに変なことを言っているんですかー。そんなわけないじゃないですかー。まだ二人は高校生ですよ」


 天音の性的からかいに、意味の通じなかった静香とメアリーと月はポカンと頭を傾げる。


 この中で一人意味の通じた帆波は顔を真っ赤にして天音を説教する。


「帆波ちゃんだけ意味が通じる……帆波のエッチッ」

「ふざけるなー。あと、天音は私のことを帆波ちゃんと言わないでください。気持ち悪いです」


 ウインクしながらからかう天音に帆波の雷が落ちるも効果はいまひとつのようだ。


「ワンナイトってなに?」

「我も分からぬ。そんな言葉があるのだな」

「直訳すると一つの夜って意味だけど、そういう意味じゃないよね」


 天音と帆波がじゃれ合っている横で、静香たちは三人でワンナイトの意味を推察しようとしたものの、結局答えに辿り着くことができなかった。


「それでさ~昨日ネットでこの化粧水見つけたんだけどさ~」

「それ、知ってる~。結構広告流れてくるよね~……あっ」

「きゃっ」


 静香たちの背後を陽キャな女の子たちが通りすぎようとした瞬間、その陽キャの女の子の一人が月とぶつかる。


「月ちゃんっ」


 静香は咄嗟に転倒しそうな月を支えようとしたがそれが裏目に出た。


「ごめんね。大丈夫」


 ぶつかった陽キャの女の子が心配そうに月に話しかける。


 でも静香も月もそれどころではなかった。


 静香の両手に広がる柔らかい感触。


 男の娘にはない柔らかさ。


 つまり、月の慎ましい胸が静香の両手に収まっていた。


 すぐ目の前には顔を赤くしている月。


 月の両手は静香の両肩に添えられている。


「なっ……」

「おぉ~……」

「?」


 帆波が絶句し、天音はニヤニヤしながら二人を眺め、メアリーはこの状況についていけていない。


「転ばなくて良かった~」

「マジでごめん。次はちゃんと見て歩くから」


 陽キャの女の子たちは月たちに怪我がないと分かるや否や、その場から立ち去る。


「ご、ごめん」

「う……ううん。助けてくれてありがとう」


 時間にすれば数秒の出来事でも、静香の体感では何時間にも感じた。


 静香はすぐさま月の胸から手を離し、謝罪する。


 その時、恥ずかしさのあまり月と目線を合わせることができなかった。


 月も動揺しているせいで、顔が赤い。

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