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吸血鬼は人間の君に何度も恋をする  作者: 黒姫 百合


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22/52

……私、どうしちゃったんだろう

「それ分かるかも。夜の学校ってなんだかテンションが上がるよね」

「それは私も同感です。柄にもなくワクワクしちゃいました」

「普通はそうなのか。全然なにも感じなかったのだが」


 月も帆波も非日常的な夜の学校に高揚している。


 自称吸血鬼のメアリーは特になにも感じていなかった。


「おぉ~、帆波ちゃんも夜の学校には興奮するんだ~」

「キモい呼び方しないでください。それとこれは興奮ではなく高揚です。私だって気分が高揚する時ぐらいあります」


 珍しく気分が高揚している帆波を天音はニタニタしながらからかい、帆波はいつも通り反論する。


 天音の言葉のチョイスを見る限り、煽っているのは明白である。

 二人のじゃれ合いを見ていると、微笑ましくて思わず頬が緩んでしまう。


「……今の静香はとても幸せそうだな」

「? なにか言いましたかメアリーさん」

「高校生というのも悪くはないなと思ってな」


 隣でメアリーがなにか呟いたことは分かっていたが、言葉を聞き取れなかった静香はメアリーに聞き返す。


 どうしてメアリーがそんなことを思ったのか分からないが、どこか達観している口ぶりだった。


「……」


 そんな四人を見ながら月は静かに俯く。


 しかし、四人はそのことに気づいてはいなかった。


 まるで夜の学校がその事実を呑み込んだかのように。




 家に帰った月は夜ご飯を食べ終えた後、お風呂に入り身をさっぱりした後に自室のベッドへとダイブした。


「……どうして私は男の娘じゃないんだろう……」


 自然と月の口から言葉が漏れた。

 別に女の子であることに違和感はない。


 ただ、どうしても見えない壁みたいなものを感じてしまう。

 静香や帆波や天音の間では大丈夫なことなのに、月の時はダメな時がある。


 例えば、天音にスキンシップでハグされたりすることがあるが、別に月は嫌悪感などはない。


 むしろ、友達だと思われている感じがして嬉しい。


 でも帆波は男の娘が女の子に抱き着くのは迷惑だと考えているらしく、抱き着く天音を注意する。


 帆波だって月のことを心配して言っていることは分かっている。


 でもそこに男女の壁を感じてしまう。


 きっと帆波だって天音が静香にハグしても注意なんてしないだろう。


 そう思うとモヤモヤしてしまう。


「……やっぱり異性だから静香ちゃんも帆波ちゃんも気を使ってるのかな……」


 天音は別として、やはり静香や帆波は月が女の子ということもあり気を使っている感じは伝わってくる。


 そのたびに自分が女の子であることが嫌になる。

 もし、男の娘だったら着替えやトイレに一緒に行ったり、スキンシップだって今以上にできたかもしれない。


 高校に入る前は、別に友達なんて必要ないと月は思っていた。

 誰とも関わらずに高校生活を過ごし、高校卒業という資格を取得する。


 でも静香と友達になり、帆波や天音と友達の輪が広がるにつれてそれは月にとって、とても大切なものへとなった。


「……私、どうしちゃったんだろう」


 月と静香、帆波、天音に横たわる見えない壁。


 その壁が月にとってはあまりにも大きく、寂しかった。

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