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大好きだ クラリッサSide

 カイル王子の唇が私の唇に重なった。


 私は愛する人に触れられて、のけぞって甘い声をあげる。


 彼が服を脱ぎ捨てた。鍛えあげられた腹筋と胸筋が見えた時、私は思わず震えてしまった。


 ずっとずっと大好きな人の初めての人になるのだ。蕩けてしまうような興奮を感じて、私は口づけを自分から求めてしまった。 


「愛している、カイル。キスをして……」



 私を見下ろすカイル王子の青い瞳は煌めくような興奮を感じているようだ。いつの間にか、名前をそのまま呼んでいることに私は気づいていない。



 そのままもつれるように私たちの体はベッドに沈み込んだ。


 私は自分の何もかもを彼のものにして欲しかった。体はエミリーでも、心は完全にクラリッサだった。


 人知れず、腹筋を鍛えたので少しは引き締まり、綺麗に見えると信じたい。私はカイル王子に抱きしめて欲しかったのだ。


 カイル王子がぞくっとするほど艶めかしい視線で私を見つめる。


「可愛いぃ……なんて可愛いぃんだ……」


 私は恥ずかしさのあまりに逃げようとしてしまった。


 途中、気遣ってくれる心配そうなカイル王子の声がして、私はうなずいた。思ったより、大丈夫だ。


 今日、私はどうしても、カイル王子を受け入れたい。


 だって、このチャンスを逃したら。

 メイドの私にはもう……。

 2度とこんな機会はないかも。



 イザベルの事が頭をよぎった。私を親子揃って忌み嫌う目線が頭に浮かぶ。


 イザベルと彼女の父親のパース子爵はきっと私を排除しようとするだろう。


 そうなったらきっと後悔する。


 私はカイル王子を抱き寄せて、夢中で口づけをした。私の彼を見上げる視線と私を見下ろすカイル王子の視線は絡み合い、切なそうに私を見下ろすカイル王子は「でも……」と悩む様子だ。



「いいの。きっと大丈夫」


 私は微笑んだ。


 私は夢中で彼を受け入れた。


 カイル王子の青い瞳は私を見つめて今にも泣きそうだった。


「大丈夫よ、カイル」


 彼が私の横に横たわっている間、私はついに結ばれたという思いでいっぱいだった。


「愛してる。エミリー、大好きだ。今日はありがとう」


 私は彼にそうささやかれて抱きしめられて、まるでふわふわと夢の中にいるようだった。



 ついに、大好きな人と結ばれた。



 クラリッサである自分が命を懸けて守ったカイル王子とついに結ばれた。


 私は泣いた。

 嬉しくて嬉しくて……。


 私たちは口づけをして、しばらくうとうととしていた。



 17歳と18歳だった私たちは、18歳のメイドと38歳で、思いを遂げたのだ。



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