水の〇吸・弐の型・水車!
え?いつもと作風が違う?いつもと同じだよ(盛大なネタバレ)
前回のアラビア!
「この世界にいる人は時間軸すら超えるほどの逸材しか選ばれていなかった可能性が微レ存……?つまり俺も逸ざ(ry」
シェス「ハァ!」剣「うわーー!!!」
蛍吹「剣ダイーーーン!!??」
ジャーンケーンポン!
LOSE!
俺の勝ち!なんで負けたか明日までに考えといてください( ¨̮ )そしたら何かが見えてくるはずです。
ほな、いただきます。
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蛍吹は正眼の構えのまま、油断なく前を見据える。
あまりの集中力故に、体は過敏に神経を研ぎ澄まし。
肌はこの高濃度に密度の高い場所に思わずピリピリする程の感覚を覚える。
視覚は映る光景の全ての動きを見逃さず、その聴覚は、身を打つ『風』とも呼べぬ程に僅かな、空気の揺らぐ音すら聞き逃さず。
その研ぎ澄まされた意識を向ける先はただ1人。
シェス
その立ち姿は、リラックスしているように見える。
蛍吹とは違い、何も持たぬ手は両方とも構えもせず降ろされているし、片手はなんの意味もなく……いや、先程石を上にあげた後からずっとブラブラと揺れている。
視線はこちらを向いてこそいるものの、意識は戦闘には向いておらず、どちらかと言うなら観察者の眼差しだ。
構えはなく、直立不動。
その意識は戦闘には向いておらず、それどころかリラックスさえしている。
だが、解けない。
蛍吹は、構えを解けない。
蛍吹は、集中を絶やせない。
シェスの目の前に立ち、構え、意識を戦闘のそれモドキに切り替えた瞬間、世界が変わった。
一時目を離せば、一時隙を見せれば。
一度気を緩めれば、一度息を入れれば。
――――食われる。
おかしな話だ。
シェスが蛍吹を食うはずがない。
シェスが蛍吹を意味無く殺す筈がない。
そも、戦う前に決めている。
戦うと言っても軽く。臀を地に付けばお終い。
やるのは模擬戦。殺し合いじゃない。
なのに、だというのに。
恐れてしまう。怖がってしまう。
身構えてしまう。警戒してしまう。
体の全神経がこう言う。
コレは、自分という存在を指先一つで粉々にできる者だと。
そして――――
――――蛍吹は小さく笑う
いや、『鼻で笑った』という方が正しいだろう。
この、今にも震えそうな体を。
この身を苛む恐怖を。
無害の虎を警戒し、全神経が過敏になるような弱き己を。
この場の全てを蛍吹は鼻で笑った。
何をビクビクしている。
何を警戒している。
なに――――弱者に甘んじてやがる。
怯えている?
恐れている?
食われてしまう?
巫山戯るな!
巫山戯るな無礼るな馬鹿にするな!!
蛍吹は激怒する。
蛍吹は許しはしない。
弱き己を。弱者である己を。
故に抗おう。
己の恐怖に立ち向かい、絶対強者にすら牙を剥こう。
そこには、【大胆不敵】と言うに相応しき蛍吹がいた。
(ふぁ〜~~~~~~wwww怖すぎて笑えてくるんだがーー!!!助けて助け亭!マジで怖しゅぎ!助けてえー〇ん!!)
――――訳ではなかった。
当たり前である。
人がそんなに急に180度変わられると、驚きを通り越して恐怖すら感じる。
それに、変わるとしても
(あ〜あ〜!どーおしましょー!高く振り上げたこの、う〜で~!私ーのー!お月様ー!さかさーまのお月様ー!)
こいつに関しては、先程のように変わることなど未来永劫無いだろう。
演技である。
いや、言うなれば演技の設定のようなモノである。
大胆不敵な蛍吹の性格設定である。
なぜそこまでするのか。なぜそこまで拘るのか。シェスという味方を得た蛍吹はもはや演技を続けなくても良いのではないか。
傍目から見ればこう思うだろう。
今更臆病な自分がバレたところで、シェスは関わりを断つ事なんて無いだろう。
なんだかんだで面倒を見てくれるだろう。シェスならば。
だが、前述した通り、蛍吹には一種の呪いがかかっている。
その呪いとはなにか?
何故まだ大胆不敵な蛍吹という虚像を演じるのか?
理由は至って単純だ。
この元男!やめ時を失っているのである!
いつやめようか悩んでたら機会を失ったという、ありがちなパターンでもない!
もはや、蛍吹にとって
こ の せ か い で 演 技 を 続 け る の が あ た り ま え に な っ て い る の だ !
やめるなんて思考は生まれない。(多分)
もはやこれ(演技)は、日常のルーティーン。
休日のサラリーマンが朝起きて、もう一度寝ようとしてしまうのと同じだ。
つまりは通常勤務。
演技は、長く続ければ続けるほど設定はねじ曲がり、いずれ破綻しバレるのである。
故に、緻密な設定を練る必要があった。
【大胆不敵な蛍吹】
簡潔に一言で説明
:百獣の王を擬人化したような性格
こんな感じ。
緻密な設定である。
ガバガバではない。
(羊が一匹!羊が二匹!羊が……いつになったら落ちてくんの石ィ!?もう放りあげてから30秒は経ってるよ!?シェス飛ばしスギィ!)
…いや、やはりガバガバかもしれない。
(お、蛍吹の奴。なんか空気が……なるほど、な。フフ、イイもん持ってるじゃないか)
一方、シェスは蛍吹の変化に反応していた。
先程までの、どこか尻込みしていた雰囲気は消え去り、その表情や纏う空気がとても鋭くなったのを感じた。
……実際には、ハリネズミが強敵と出会った時、背中の毛である針を逆立て自分を大きく見せようとする生態と全く同じなのだが、シェスの解釈は異なっていた。
(……実戦となったら昂るタイプ、か)
普段温厚な人種の人間が、車を運転する際にハンドルを握る際、酷く性格が変わったようになる現象があるという事例がある。
これは「普段自分が見てる世界」が、車を運転する際に変わる様に感じるから、とかなんとかうんぬんかんぬん理由はあるが、それは一先ず置いておく。
シェスは、蛍吹が戦闘になると性質が変わるようになる特性がある、と思っているのだ。
勿論そんな事は無い。
何度も繰り返し言うが演技である。
だがシェスにはそうには見えなかったようだ。
(いざ実戦となったらへっぴり腰になっちまうヤツらも腐るほどいたからな……)
シェスは人にしては膨大な時間を、この世界で生きてきた。
その間、シェスは弟子や生徒というものを取ったことは無かったが、友からの頼まれ事でコーチや教官役をした事は稀にある。
故に、シェスはいろんな新人の指導をし、様々な種類の新人を見てきたのである。
戦闘という行為が、想像と違い苦である事もあるという、甘い夢を砕かれ逃げた新人を見た。
戦いの流れを掴むのが得意と大言を吐く新人が、戦う前の睨み合いで潰れたのを見た。
新人でオドオドしたナヨっちいのが、戦いとなると狂戦士が如き強さを魅せつけるのをみた。
故に、シェスの脳内にはそんな幾つものパターンが記憶されており、新人の気質をその経験と知識で当てはめる習性があった。
どうやらシェスは蛍吹を、戦闘というハンドルを握れば気質も何もかもが変わる暴走特急車だと思ったようだ。
(フフフフッ、訓練の日々が楽しみだ)
人というのは昂れば昂るほど、気合いもやる気も上がるものなのだ。
そういった人種は総じて、練習にも特訓にも修行にも身が入る。
よほど才能がない限り、そういった練習量の違いというのは大きい。
シェスは、未来の自分の弟子がグングン強くなるのを想像し、小さくではあるがこの師事という行為に楽しみを見出したのだった。
体が発熱し、燃えている
比喩ではあるが、気持ちの面では嘘ではない。
蛍吹はあまりの恐怖により、極限の集中力を会得していた。
夜中にホラーなビデオを見たあと、感覚が鋭くなり、小さな音も聞き逃さなくなるようなあの状態である。
蛍吹はもはや、耳を通る風の音に死の危険すら感じ始めていた。その時。
――――遠くから、何かの重い音が聞こえた。
いや、重い音というにはあまりに軽く、軽い音というにはあまりに強く。
しかし、この状況においては何よりも大事になる重要な音。
弾ける精神!破裂しそうになる小さな豆腐メンタル!
そして!ビクッ!!!!と大きく衝撃を受けた蛍吹は!弾けた精神と共に張り詰めた思考と体を吹き飛ばした!
そして――――
――――蛍吹はシェスの髪をなん房か、神速の如き速さで切り落とし、シェスの背後に何が何だか分からぬまま、ふわっと着地した。
蛍吹が謎の現象に思考停止していると、耳が謎の小さな音を拾う。
「……ククッ!」
体感では久しぶりに聞くその気味の悪い笑い声は、酷く寒気がするモノだった。
見てくれてありがとうございます!
え?何これ勘違い物かよって?
その通りです……勘違いギャグ物です。少なくともワイの中ではね!
|´-`)チラッ
……勘違いタグ入れてなくて草w
次回は戦闘シーン!
(描ける訳ねぇよ……)




