こっちの方が可愛くね?
(おい軟弱男!いい加減起きろ!早く起きてくれ!)
「つまり!ワシが思うにお前さんは周りを威圧しすぎなんじゃよ!」
「いや、そんなこと言われてもだな…どうしろと?我の圧に貴様らが萎縮してしまっているだけであろう!」
「しとらんわ!2杯目ゆくぞ!」
「どうした蛍吹〜!」
「なんでもないよ!」
場所は居酒屋。
城に入る前に約束していた【終わったら飲み行こう】という通りに、何の変哲もない居酒屋にシェスとinした蛍吹。
…ではなく魔神ちゃん。
なにがトリガーだったのか分からないが、どうやらあの軟弱男は体を乗っ取られたまま気絶か放心か、意識を落としてしまったようだ。
意識が無いまま変われはしないので、魔神ちゃんが代わりに酒飲みをする事になったのだが……
これが酷い。
服をはだけさせた人が喧しく酒飲みする。
まあ異世界の居酒屋なら普通かもしれない。
魔神ちゃんもこれだけなら寧ろ楽しめただろう。
だが、
新人、魔神ちゃんのタダならぬオーラ、可愛らしい外見、それによるシェスとの親子感。
目立たないのは少々無理があった。
居酒屋に、キィ…という音と共にシェスと入る魔神ちゃん。
入口付近の席に着いていた客は横目にチラッと来客を確認し、物珍しそうに目を見開く。
魔神ちゃんとシェスがカウンター近くの席に座る頃には店にいるほとんどの客の視線を掻っ攫っていた。
まあ、後はお察しの通りである。
「嬢ちゃん見ねえ顔だな!」
「ねえねえ!二人はどういう関係なの?」
「おい二人共!ちょっと近いぞ離れろ!ちっこいほうが怒ってるオーラ出してるから!」
「なんじゃお主!新入りか!ワシとチキンレースせんか?手加減してやるぞ!」
「…新人にしてはなんか凄みがあるような…」
「おぉ!新人様だ!」
「あら?随分と可愛らしいお客様ねぇ?」
「可愛い〜!な、撫でても良いですか!?」
こんな感じ。
その後、勢いのままに流され、話したり酒飲みチキンレースしたりしていたのだ。
「あの新人様お姉ちゃんには口調が柔らかくなるんだ……萌える!」
「おい聞こえているからな貴様!子供だと思って舐めていると痛い目見させて…ング!」
「ほれ10杯目じゃはよ飲め!」
「ング!ン……ぷはぁ!このクソジジイ女が!」
「アイツ酒飲んでる時は人格変わるタイプなのか?」
【悲報】魔神ちゃん、いじられキャラになる。
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