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悪役サイドになった  作者: ファーラウェイ
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お前災害だろ

遅くなって申し訳ない!




「近うよる事を許そう。春雨蛍吹なる者よ」



組んだ両手を片手を外す事で崩し、胸位まで上げた手の人差し指をクイッと曲げて、来いと示唆する我が主らしき人物。



ん?どこまで行って良いんだろう?

というかその前に訊きたい事が一つあるんだが


「この扉は閉めなくていいのk……宜しいんですか?」


俺のすぐ後ろには中途半端に開かれた扉が閉じられる事なく在る。

これでは会話などが漏れ漏れなのではと思わなくもない。まあそれで特に困ることも無いけどさ、俺二人っきりじゃないと他人と上手く話せない特性持ってるからなぁ。


問うと後ろから慌てた様な声が聞こえてくる。ジアスじゃない、見張りの人のかな?


「すみません!今すぐに閉めます!」


その後どこか引きずるようなギギギッ!という重い音と共に扉が閉まる。

ん?そんな二人掛かりでやらなきゃいけない位重かったかな……いや、でも確かにこういう格式ばった所の扉って二人で閉めるのがセオリーまであるかもな。


そして玉座に視線を移すと、少し不機嫌そうにしている謎の人物。


…暗に早く来いって言ってるのかな?

そうだなぁ、玉座の前に俺と謎の人物を区切る為だけに存在するような階段があるんだけど、それの前まで行こうかな?


出来るだけ綺麗な歩き方……具体的にはモデル歩きを意識しながら転けないように気をつけて歩く。背筋は伸ばして…手は少しブラブラするくらいで、後は我が主?の目を見つめる。

初対面の人相手はその人の目を真っ直ぐに見つめる事が大事って俺のじっちゃが言ってた!


「そこで良い、止まれ」


階段まで後ちょっとという所で我が主?から静止の声がかかる。

そこで良いって言われましたけども……ここで止まって俺は何をすれば?


「さて……はぁ…春雨蛍吹よ、訊きたい事を述べよ。この我直々に質問に答えてやる」


発言の途中で気怠げに溜息を出しながらそう言う我が主らしき奴。

ん?というか聞いていた話と違うような……?

あれ?歴史は?長ったらしい歴史の話は?なんで俺がここにいるのかの説明は?



「すまな……すみません。少々知人から聞いていたお話と違うようなのですが、あの謎の世界やそこでなぜ戦うのか等の説明を受けると言われていたんだけ……ですけど違いましたか?」


うん。俺の記憶が正しければ質問形式なんかでは無く説明を半強制で聞かされるって言われてたはず……半強制は嘘かも。


そう発言すると不機嫌ヅラを一層深くした我が主?が返答する。


「チッ……よかろう、ではまず《無神の世界》から話すとしよう」


本当に何故か口頭一番に舌打ちをかまして無神の世界という謎の単語を出す我が主らしき人物。勿論比較的短気な蛍吹はキレる(心の中で)



……チッ、舌打ちしてんじゃ無えよクソ野郎がぁ!第一見下してんじゃ無えぞゴミィ‼︎

説明責任っていう言葉も知らねえ赤ん坊並みの知能のクセによ!何様のつもりだ青二才ィ‼︎男か知んねえけどよ!



こんな感じで。

心の中では荒れまくりな蛍吹。だが表面には出さない、これが日常運転だからだ。いつもの事だから表に出さないのもいつもの事、朝飯前なのである。因みに余程落ち着かない状況でも無い限り冷めるのも早い。


「ふむ……いや、まず自分語りから始めるか。その方が順序良く話せる」


なんで最初からそうしないんだよ!お前ホントに我が主って言われるくらいスゴい奴なのか⁉︎ポンコツ臭がするぞ⁉︎


「自己紹介だ、私は『亜神』、肉体を捨てきれない神の紛い物と呼ばれる存在だ」


おう。急に自虐ネタぶち込んできたな。俺もお前は神様じゃなく紛い物だと思うぜ。

アレ?ちょっと待って亜神?コイツ神様?こんな奴が⁉︎


「ある朝気が付いたら普通の人間から『亜神』になっていた」


比喩とか言い回しとかじゃなくて本当に自分語りなんだ。興味ないんだけど?

というかどういう状況だよ、朝起きたら神様になってるって……え?コイツ元人間?人間から神様になれるの⁉︎ちょっとだけ興味出てきた!


「それからは気儘に宇宙をさすらい虚無な時間を過ごしていた」


え?神界を渡るとかワープで星を移動とかじゃなくて宇宙を旅?体が凍るとか血液が沸騰しだすとか……あ、神様に常識は当てはまらないか。

辞書にも書いてるしな。人知を超越した存在って。

あ、俺今跪いた方が良いのかな?ずっと棒立ちしてるんだけど?


「気儘に人を助け、気儘に星を救い、気儘に略奪をし、気儘に世界を支配した」


え、やば!コイツ…!片手間で世界救ったり支配したりしてやがる…!

というか倫理観に欠けてンなぁ。友達には欲しくないタイプだね。

あと虚無な時間とは?真っ赤な嘘じゃん。お前災害だろ。


「気付けば私は膨大な力を手に入れていた、畏敬と感謝と信仰、恐怖と絶望と憎悪。いろんな形で送られる自分への想いが神としての格を上げ続けた」


お前天災だな!いやもうその域に収まらんわ!ていうかもしかしてコイツヤベエ奴なの?

…媚びへつらっとくか?今やり始めるとワザとらしいか。


「そうして日々を過ごしていた時、私はある星とある物を見つけたのだ」


あ、オチ読めたわ。やべ、ブン殴りてえ気持ち2割、魔法に会わしてくれて感謝8割くらいで感情が揺れている!


「地球、その星にある創作物という物をな」


アレ?じゃああの人類滅亡都市みたいなあの世界はもしかして……お前…やったな?


「私は閃いたのだ、あの創作物…“本”を読み漁っている時にな。この異世界とやらを一から創り出してやろうと」


いやこの人…神?やべえよぉ。世界を作ることも出来るって……どこの異世界漫画ですかこのやろー!

ていうかなんで神様がラノベ読んでんだよ……


ていうかそれよりも訊きたい事が一つ出来た。


「すまない。一つ訊きたいんだが」


「ふん、なんだ」


チィ〜〜!ブン殴りてえあの不機嫌ヅラァ!


「あの謎の……いや、地球の滅亡した後みたいなあの世界はお前がやったのか?」


もしそうなんだとしたら俺一発くらいは殴っても良いと思うんだ。


「ふむ?そうだな、創ったかと言うことであればイエスだな」


フッ……と蛍吹の顔から色が消える。


その言葉に相手から見えないように剣を抜こうとする。


……別に蛍吹は地球に思い入れがあるわけではない。きっとこんな状況でも無ければそんな事しようとも思わないだろう。精々が不快な気持ちになるだけだ。


自分の家族が、自分の家が、自分の気になっていた人が、自分が心を癒された綺麗な景色が、色んなものが壊されたとしても、薄情かもしれないがそれは蛍吹にとっては命を賭ける理由足り得ない。


だが死んでも復活するというこの死の価値観が薄い異常な状況はストッパーを容易く壊してしまう。故に不快という気持ちそのままに突っ込もうと思ったのだ。


死んで生き返るならその面ぶった斬ってから死んでやるよ。と静かに決意する……が


「だが別に地球を滅ぼした訳ではないと言っておこうか」


という言葉にその考えは霧散する。


ん?どういう事だ?じゃああの世界はなんだ?


「じゃああの滅亡した都市はなんなんだ?」


疑問をストレートに我が主?にぶつける。


「あの地球を模した世界は私が創った、地球が滅亡したような姿でな」


ふぃー……まあ、よかったっちゃよかったかなぁ。地球が滅んでたら俺がコイツを斬ろうとして殺されてたぜ。にしても…………何故?

なんで滅亡させた感じに創った?


「何故滅んだ姿で創ったんだ?」


「ふむ?ミスっただけだ、ホントはSFチックな世界にするつもりだった」


コイツ…………本当にポンコツなのか?

見てくれてありがとうございます!


我が主の呼び方欄


[我らが主、我が主、我が主っつーヤツ、謎の人物、少女か少年か分からない人物、我が主らしき人物、我が主?、お前、コイツ、ゴミィ!、青二才ィ!、ポンコツ]

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