『そうだそうだ!!』(幻聴)
何故トイレでこんなに書き込んでしまったんだ……でもTSの定番ですし大事な描写ですよね!
サブタイトル変えました
俺はトイレ前で立ち尽くしている。理由は単純かつ明快。
ん?いやいや、男子トイレと女子トイレどちらに入るかで悩んでる訳では無いですよ?勿論それもあるけど。
俺はトイレ前に来て四つの標識を目にした。
一番左から順に挙げていこう。
女子マークの標識
男子マークの標識
車椅子マークの標識
そして“新人用”と大きく文字で書かれている標識
……多分俺みたいなのは新人用ってやつに入るべきなんだろうけどなぁ。もう標識から不穏な空気プンプンに漂ってるんだけど……
いや、もう我慢は限界のギリギリまで来てる。迷ってる暇は無い、でも嫌な予感するなぁ……
女体化した時の厠の対処法ってなんだ?
他の選択肢をぶった斬って新人用のトイレに入る。
そこでまず驚くのは狭さだ。
“目の前に個室が一個しか無い”というツッコミ所もあるが、そこに歩いて行くまでの短い通路の左手側に手洗い場があるだけ、という問題ありまくりな造りに対して製作者に真正面から
「これ一人ずつしか利用できないんだけど」
とクレームを入れたくなってくる。
というかこれ一つしか無いんだったら態々仕切らなくて良いのでは?
……まあ、それ以外に特に変わった事はない。
だがまだ不安感は消えない、というのも一つの懸念材料があるからだ。
なんで……個室の扉が閉まっているんだよ…
普通トイレの個室のドアってのは開いてるもんだ、なぜなら閉まっていると中に人がいるかいないか一目見ただけじゃ分からないから。
それなのに個室の扉は開いていない、それは利用者がいるから閉まっているのでは?と思う人もいるかもしれないが、というか俺もそれだったらまだ安心出来たんだが……残念ながら人の気配はしない。
なんだろう……個室のドアを開けずに戻って女子トイレに行った方が良い気がしてきた。が、生憎俺は女子がどうやってトイレしているのかを知らない。
しかしなぁ……中が見えないモノって結構怖えよ。パンドラの箱って言葉があるくらいだぜ?
腹ァ括るかぁ……
諦めてドアを開ける、そこにはーーーーーー
純金らしき物で作られた黄金の便器に子供が使うには大きすぎるおまるが設置されている最悪極まった光景があったーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ジアス」
「おかえりなさい……俯いてどうしたんですか?危ないからちゃんと顔を上げて歩いて下さいね?」
「なぜ便器が純金なんだ?」
「う〜ん……純金?」
「もう一つ、一人じゃ解消出来なかった疑問。なぜおまる?」
「……おまる?」
「ふー……いや、なんでもない。忘れる事にするよ」
「そうですか……」
……一番嫌だったのはおまるの使い心地を大人の俺が知ってしまった事だ。
そんなの老後になってからで良いんだよ……老後はオムツか。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ふぃー!諸君!お遊びはここまでだ!
私春雨蛍吹、只今依頼されている《我が主の説明会への参加》を遂行致す!
意見のある者はおるか!
\いません!/\我々は一心同体!ここで止まれません!/\『そうだそうだ!』/(幻聴)
よし!任務開始だ‼︎
「じゃあ行ってくる」
「ええ。頑張ってきて下さい」
この玉座の間前には監視?見張りや守衛騎士がいる。
他の所にはいなかったのにな〜、王様(我が主?)がいるところだし当たり前か。
まあ俺の勘違いで無ければさっきまでいなかったがな!俺がトイレに行ってる間に何があったんだ……
周りの目があるために敬語を使っているジアスから鼓舞を受ける。
頑張るってなんだ……?まあ礼儀正しくしなきゃいけない場だし、もしや気疲れとかを心配してくれているのか。
「ああ、じゃあまたな」
気遣いに感謝だな。というかほんの少し切なくなってくるな。
多分だけどジアスとはあんまり関わる事は無くなる気がする。
門番に人生捧げてるし、俺この城に今回の一回くらいしか来ない、というか来れない気がするし、門番の仕事を邪魔するのも憚られるから……うん。あんまり会えない気がする。
ジアスと過ごした短い時間がとても濃くて会えなくなるという事実に切なく……なる訳じゃ無いけども。
なんかさ〜、親切にされ慣れて無いというかね?俺って生前あんまりこういう人との触れ合いが無かったもんだからさ……地味に優しい(断定)ジアスとの別れが切なくなっちってなぁ〜……
だが別れた後というのはどうにも再会しづらい。俺だけかな?
やはり別れでちゃんと礼とか言っとかないとな……
「ジアスの事は頼りになる姉みたいに感じたよ、助けてくれてありがとう。元気でな」
「え、ええ。そう言っていただけて嬉しいんですが、というか今世の別れってわけでもないのにセリフが不穏というか、多分帰りも案内……」
なんかジアスが言ってくれているがどうにも気恥ずかしい。発言の途中ではあるが玉座の間の豪勢な扉を開ける。
このオシャンな文様が描かれている生前の一般家並みの大きさの扉を見ただけで、あ!我が主っつーヤツやべえ!って思ったわ。
ちゃんと礼儀よくしないとな。
扉が開く。
そこにも、やはり異世界と思えるような光景が広がっていた。
壁には美しき文様、所々に掛かる赤いカーテン、窓が貼られている壁から差し込む太陽の光。
目の前には白亜の聖堂にあるような真っ白の柱二本、見上げた先に何故かあるステンドグラス、神秘的なステンドグラスの光を映えさす玉座には神秘的で中性的な少女?少年?が魅惑的に、又は不遜に足を組み座っている。
そして玉座まで伸びる真っ赤な敷物が敷かれていた。
「ふむ」
玉座に座る少年にも見えるし少女にも見える謎の人物が声を出す。
まるで透き通るような、鈴を鳴らすような綺麗な声だった。
俺は察する、コイツが……皆が言う、
ーーーー我が主なのだろう。
「近うよる事を許そう。春雨蛍吹なる者よ」
見てくれてありがとうございます!




