ビャアウマイィィィ!
無理でした。キリキリお腹痛い。
ただいま私、城の廊下を爆走中でございます。なぜかって?HAHAHA!
決まってるだろ!病室に戻るためだよ!ジアス帰って来てると思うし。
言い訳はお腹下してたで確定!さっきトイレに行くために離脱してたって嘘ついてたし、内容的には結局行けてなかったしな、通るでしょ。
俺はあの後約三分ほどあの魔導書の魔物?に呼びかけていたが返答は返ってこなかった。悲しみ。
そして俺っち病室を抜け出してきたし、禍部屋から飛び出して爆走してる訳よ。
爆走……してるんだがな?なんかさ。
「ハァ!ハァ!…足……速いな!」
そう、自分の足がクソ速いのだ。ちょっと怖くなるくらい。
どうにも一歩一歩の歩幅はあまり変わらないようなのだが、回転がクッソ速え。なにこれ?おかしくない?扇風機かよ。
今の俺の状況といたしましてはー、そうですね……車と大体同じ速度で走るやべえ奴って感じですかね。
誰もがやった事あると思うんだけど、人生で一度は歩道で車と競走しようとするじゃん?(お前だけだ)
まあ結果は分かりきってるんだけどさ?多分今の俺なら並走出来ると思うわ。そんくらい速い!(小学生)
今ね、時速で言うなら45km位は出てるんじゃねえかな?スマン適当に言った。
にしてもなんでこんなに足が速くなってんだ?
…もしや、能力に目覚めたのでは……?
いやいやでも…………
考えながら走る事およそ五分程。
よし来た!遠目に病室見える!後は駆け込む様に入室するだけ……あれ?俺は走った後どうやって止まってたっけ?
……そうだ。少しずつ歩幅を狭めていた気がしないでもない。よし、少しずつ…スキップするように軽く跳ねながら勢いを減らしていって……
ビターーン‼︎ゴキ‼︎
「へぶ⁉︎ゴッへ‼︎」
忘れてたわ。病室前まで来てたんだった。
おバカさんな俺は勢いそのまま壁に激突してしまう。
「いだいんでずげど……」
上手く喋れんわ。
ピョンピョン軽く跳ねながら壁にぶつかったので壁にぶつかった時足は宙に浮いていた。まあつまり壁に体が張り付いていた。当然落ちる。
ガン‼︎
「あだっ!」
尻餅をついて手で支えようと思ったのだがなぜか手が動かなかった。
踵から不完全着地した後、バランスを崩して後ろ向きに倒れる。
体が上手く動かせない所為で、というか尻餅も付けなかったせいで尻、肩、頭の順番で体を床に打ってしまう。特に頭が痛いです。先生?痛みは無くなったはずですよね?
そして俺は力強く閉ざした瞼を……開かないまま十秒ほど数える。
ん?なんでかって?
いやー……多分だけどね〜……
今全身の骨砕けとるわ。
なんか激突事変な音してたしな?さっき手をつこうと思って動かそうと脳内で体に命令しても腕は動かなかったし。本当になんでかは知らないけど俺がぶつかっても壁はビクともしなかったからな。
不動の壁に自動車と殆ど同じ速度でぶつかったらまあ……無事とは全く思えんのよ。
いーち…にーい…〜〜…じゅう!と幼稚に十秒数える。
俺!開眼!
そして目に入ってくるのはなんともない自分の体……
そういえば女体化してるんだった。なんともってこたぁねえな。
まあ目立った怪我はない、だが俺は少し驚く。壁に何もついてない綺麗な状態という異常な光景に服も新品のように綺麗なままだったからだ。
いやいや……こんなもんなのか?考えてみよう。平面とはいえ車並みの速度でぶつかったんだぞ?
轢かれた並の衝撃が体に走って血の一滴も出なかったのか?
そもそも正面から壁にぶつかったのだから顔は勿論鼻は潰れていたと思うし鼻血とか……キリないか。
なんか分からんが無事だったし血も出なかった。これでいいや。
立ち上がり病室に入る。だがジアスの姿は無い。あら?
あっれー、おっかしーな〜……俺十五分か二十分くらい不在だった筈なんだけどなぁ。
もしやジアスはトイレが長いのか?それかポンポン痛くなっちゃったのかな?
ん〜〜……
「ねえ?」
「ッ⁉︎」
ウヴォオオオオ⁉︎
後ろになんかいるぅ!もしかして動いたら死ぬ奴これ⁉︎助けてくださいお願い!俺まだなんも悪いことしてま……したわ。ガラスケース壊して(器物破損)魔導書盗もうとして(強盗未遂)、まあ情状酌量の余地ありだな。多分。
「蛍吹さん?もう起きて大丈夫?」
ん?この声とこの少し砕けた感じで喋りかけてくれる感じは……
振り返って確認する。
「……ジアスか」
「はい。なんか用だった?」
そこには頭から足までを鎧で覆う騎士がいた。これ声聞けなかったら誰か解からんな。
「いやなにも、遅いなと思っただけだ。もう体は大丈夫だから、玉座の間?に案内してくれないか?」
「良いの?シェス様がいないようだけど?」
良いんだよ。シェスから聞いた話だと今から夜まで説明されるんだろ?だったら早く行ったほうがいい。
俺の経験によると上の人に悪印象を持たれるのはバツだからな。我が主っつー奴がどんなのか知らないけど待たされてあまり良い顔する人はいないだろう。
「良い。体調が良くなるまで待たせてしまったしな。俺の都合で物事を掻き回す訳にはいかない。」
「(それって今の判断の事だと思うけど……まあシェス様もなぜかいないし……)はあ、そう……分かったけど」
そういって入ってきたドアを引き返す、と思いきや。
「玉座の間の前まで案内ね」
ジアスは近付いて俺の手を握って自分の体へ引き寄せる。ん?ジアスさん?なにしてはりますの?
「でもやっぱり時間がかかるし、ここはダッシュでいきましょう!」
そして俺をお姫様抱っこして、猛スピードで走り出す!
「ビャアァァァアア速いィィィ!?」
その速度はやはり車並み、さっきの俺よりは遅い。が、そういう問題ではない。
今俺は抱っこされてる状態なのだ。それなのに猛ダッシュでいきなり駆け出すのだから心臓に悪いなんてレベルでは無い。
きっとさっきの時点でこの速度を経験して無ければ俺はみっともなく泣き叫ぶか即気絶していたかもしれない。不幸中の幸いってか?クソが。
てか使い方違うな不幸中の幸い。
「ふむ。このペースであれば三分程でしょうか」
とジアスが独り言をこぼす。いや独り言ではないかもしれないが言い返す事はできない。恐怖で口が引き攣りそうだ。
というか絶対嘘だろ。俺があの禍部屋から帰るのに五分は要したんだぞ。今よりも速く走っていたしな。一度目の案内であそこを通っていた筈だし別の近道は無いと思うし。絶対嘘だ。
ーーーー三分後ーーーー
「着いたよ……て、泣いてる?」
泣いてねえよ!ざけんな!舞った埃が目に入ってうるうるしちまっただけだ!
というかヤバすぎだろあのルート!
「ま、窓から飛び出て階を移すのはちょいとアドベンチャーしすぎだ……」
「あ、ごめんなさい。怖かった?」
ハァ⁉︎
「違う、そうじゃなくて……落としかけただろう、階の移動中に」
「あ、ごめんね?」
あれは生きた心地がしなかった、気付いたら脚を掴まれてて俺は宙ぶらりんになっていた、あの時の恐怖といったら……おしっこ漏らせるぞ。
……あ!
「なあジアス」
「ん?どうしたの?」
「トイレはどこだ?」
俺っち今になって大ピンチだぞい☆
見てくれてありがとうございます!
これね蛍吹はね、ほたるぶきって読みます。言いましたっけ?




