これからも後ろめたい事は隠していこう(小心者)
「すまん。少しマシになった。助かる」
「なあに、生徒を守るのは先生の仕事であり義務ってな、気にすんな」
カッコ良すぎるシェスしゃまぁ‼︎一生ついて行きます!
「さて、と。悪いが少し外すぞ。なんかあったらジアスに頼みな」
そう言って病室?の隅に佇む騎士さんを指差す。おや、騎士さんはジアスって言うのか。カッコいい名前だな。と思ったら小さく手を振ってきた。
ありゃ?親しみ易いタイプ?
あ、そうだ。ここが病室なら先生に一つ聞きたい事がある。
「先生、一つ聞きたいんだが医者とかはいないのか?」
目を覚まして視界に入るのはジアスっていう騎士さんとシェスのみ。ナースもいなけりゃ医師もいない。病室なのか少々疑うところだ。医務室って言ってたぐらいだから病室だと思うんだが。(案内中に聞いた)
「ああ、新人だしな。知らないか。ここヴァルハラと向こうの世界では怪我をしないんだ。しても少し時間があれば再生するし死ねばリスポーンする。精神や心の怪我や病気だって他よりは少し遅いが大体が1時間位で治る。壊れてたら別だがな。だからここを使うことはほとんど無いし医者がいらないんだ。まさしく寝たら直る、だな」
あっ、なるほどな。理解。
「そうなのか。引き止めて悪いな」
「気にすんな。んじゃ、お大事にな」
「ありがとう先生」
「……おう(シェス呼びは一時的なものだったか、先生より名前の方が固っ苦しくなくて良かったんだがな、まあ先生は私が言い出した事なんだが)」
ん?少し間があったな……まあいいか。
返事を返した後、シェスは病室を出て行く。後に残るのはジアスと俺なんだが……
気まずい。コレに尽きる……が!二人っきり!だったら俺はコミュ障じゃねんだよ!
「あー、ジアスさん?少し話しませんか?やっぱり寝てばっかりだと暇なので……」
「了解です!」
固っ苦しんだよ‼︎普通は話し合いで了解ですなんて単語でねんだよ!俺たちゃ上司と部下か!
ふー……落ち着くのじゃ。誰かと話すと興奮気味になるのは某の悪い所でござるな。(誰?)
ふむ……正直この世界に関してあれこれ聞くのも良いが会話としては弾まんな。聞いて答えてじゃ会話は盛り上がらない。相手のどうでも良い事を聞いて少しずつ踏み込んで行こう。
「ジアスさんはいつも門番を?」
「ええ、交代を入れながらではありますが。就寝時間や食事の時間、入浴時間を除く殆どの時間を門番に充てています。ありがたい事です」
え。ありがたいんだ……?よく分からない。働かなくて良いなら無職も厭わない精神の俺としては理解できない世界だ。
にしても……マジか。日常生活の何気ない事を聞いていくつもりだったがいきなり俺のデッキが崩れたな。この騎士さん人生を門番に捧げてやがる……!ま、まあいい。それなら臨機応変に対応していくまでよ。
「という事は日がな一日中門番を?」
「ええ」
「えーと、たまに街に出てみたいなどは思ったりしませんか?」
「そうですね、たま〜〜にあるかもしれませんね。ですが不満はありませんよ、門番は高貴なる殿の、家を…身の安全を守れる、素晴らしい役職ですから」
嘘つけ!それで不満がたまらない事なんてあるわけねんだよ!街に出たいってたまにとはいえ思ってるんだからな!
とはいえ言わんがな。まあこいつの人生の一部に俺が変に水をさす必要も無いしな。俺がそう思っていてもジアスにとっては違うのかもしれないし。
「ジアスさんは門番という事ですが、不審者がいたりしたらどう対処するんですか?」
コレはほんの少し踏み込んだ発言だが……下手したら俺が門番の対処を聞いて犯罪グループに横流しするかもしれないなど考えると、こういうのは教えるのに躊躇する筈だ。そう、コレはこの人の俺に対する好感度や印象を確かめる完璧な問いなのだ!
「まあ袋叩きですね。逃げられないようにまず囲う感じです。不審者か判断できてない場合は呼びかけ問い詰めます」
いや即答且つフルオープンスギィ!なんでぇ⁉︎
「お、おおう。なかなか容赦が無いですね。私に教えて良かったんですか?一応部外者ですけど……」
さあ!どんな理由だ!一眼惚れか!一目惚れなのか⁉︎
「蛍吹様はあのシェス様の弟子さんだとか……であれば私は信用します」
まさかの先生の日頃の行いだったー‼︎そりゃ間違いねーわ!あの先生カリスマあるもんな!分かるゼェー?
でも俺弟子って言われるような事全くして無いけどね。
「まあ先生と出会ってそんなに経ってないですけどね」
「いえいえ、それにそれだけではありませんよ。蛍吹様の人柄も一部ながらシェス様から伺っております。曰く、前向きな心に折れない意思を持っており、図太い神経さながら勇者の様だと。因みに先程その話題を出していた時に蛍吹様がいないのに気付きました」
そう言いジアスは申し訳無さそうに苦笑した。(様に感じた)
いや誰だよそいつ……先生?あんたちゃんと綺麗な目付いてる?
前向きな心はまあ百歩譲って分かるよ?それを売りにしたからね?でも折れない意思ってなんだ?図太い神経ってなんだ?意味が分からんzoy!
「お、おう。なかなかの過分な評価をいただいているようで……嬉しいような違和感たっぷりなようなって感じです」
過大評価すぎるわ!俺どんな勇ましい英雄なんだよ!掠りもしてねえよ!先生の語る俺に会ってみてえよ!
「おや、謙虚さも持ち合わせていると……本当の勇者様みたいですね」
節子それ謙虚やない……本心や。
俺の偽らざる思い……それは、評価が俺の元を離れて独り立ちしとるって事や…
よし、先生戻ってきたらこの件について根掘り葉掘り問いただそう。
あっ、そういえば
「そういえば言ってませんでしたね」
文脈も無くいきなりそう言い出す。思考がそのまま出ちった。
「え?え〜と……何がでしょうか?」
当たり前だがジアスは中身の見えない発言に困惑する。
「あの、俺が迷子になった時の話です」
このタイミングで思い出したのだ。あの輝く剣を、禍々しい本を、あの悍ましい未知の生物を。特に気になるのは禍部屋に置いてあった禍々本である。あの声について詳しく聞きたいなとふと思ったのである。
「えっ?迷子ですか?」
しかし俺は一つある事を忘れていた。そう、何故か素直に迷子になっていた事を言わずにトイレに行っていたという言い訳をしていた事を……
ここから始まる滑稽な会話をお楽しみください。〜〜♪
「え?はい」
「は、はあ……迷子の話ですか?」
「はい、そこで気になる物を見つけまして、それについて知っていたら詳しく教えて欲しいんです」
「はあ、それは構いませんが……それってどういう物だったんですか?」
「えーとですね。一冊の本なんですけど」
「本?」
「ええ、なんだか禍々しいというか……闇を詰め込んだというか……そんな感じの本で」
「なるほど、それは魔導書ではありませんか?」
「魔導書?」
「はい、多分ですが魔導書だと思います。魔導書というのは魔という魔があらゆる形で詰め込まれた概念体で、一種の魔物とも言えるようなものです」
「あ、なるほど……そういう事か……」
「にしても驚きました」
「へ?」
「蛍吹様は新人様と聞いていますが……蛍吹様の世界にもこちらと似たような物があるのですね、そういう話は聞いたことがありませんので少し驚きました」
「……?……あっ(察し)、いえいえそういう訳では無いんですよ〜、そうでは無くてですねあの……」
「はい?」
「えーと、そう?あのビルが…じゃなくて、でっかい建物が並んでるあの世界で見つけたものでして……」
「はあ……そうなのですね、そのような話も聞いたことはありませんが……」
「ジアスさんは好きな食べ物なんですか?」
「肉です」
「あ!私もですよ!焼き鳥が好きなんですがジアスさんは何の肉が好きですか⁉︎」
「え〜〜と、私は……」
ああ……今思い出したよ……トイレ行ってたにしたのをな!危うくバレるところだったしそれを亡き過去にしようとしたのもバレるトコだったぜ!
危ねえ……さっきはなんか賞賛の嵐だったからな。なんかイメージにそぐわなくて変に落胆されるのも嫌だし、これからも後ろめたい事は隠していこう。
そうして結局一番聞きたかった謎の声については魔物のような物という情報しか聞き出せないのであった……
因みにジアスとは敬語を外して話す位には仲良くなった。
見てくれてありがとうございます!
今日出来れば正午12時くらいにもう1話投稿します。
主人公がかつてない程にキャラ崩壊します。それが嫌な人は見ないことをオススメします。
大丈夫、見なくてもあんまり支障無いくらいの内容にしますから、ね?(満面の笑み)




