前へ目次 次へ 34/57 『存在意義』 止めなければならない、と思う。 継承した記憶の通りならば、彼らはきっとそんな事を望まないだろう。 どんな最期を迎えたとしても、あの陽だまりのような彼らならきっと主《あるじ》の幸せを願うだろうから。 まずは主の周りをうろつくあいつを排除しなければ。 あいつは主に気付かれないよう巧妙にこちらを邪魔してくるのだ。煩わしいことこの上ない。 『彼ら』の記憶を有する私だけがきっと主を止められる。 その為に――私は主の模造品として生まれたのだ。