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第四話

《グオオオオオオオオオオオオンッ!》


私達が出発した村からそこまで離れていない隣村にそいつは・・・ジェヴォーダンは居た。

紅く燃える村、そして、漂う人肉の焼け焦げた匂い。そこから、ジェヴォーダンがどれだけの被害を出したのかがよく分かる。


「先手必勝、ぶっ放すよ!」


ベルはそう言って、杖をジェヴォーダンへと向けると、光魔法の『ライトニングブラスト』を放った。

しかし、


《グオア゛オンッ!》


ジェヴォーダンが一吠えして、どす黒い炎を吐いて打ち消した。


「やっぱ、災厄の魔物の一体に数えられる事はあるね」

「けど、はいそうですかと負けを認める事は出来ないよ!」


私はそう言って剣を大きく振りかぶると、ジェヴォーダンの左眼へと投擲した。


ザシュッ!!


《グルゥオア゛ァ゛ァ゛ン!?》


狙い違わずジェヴォーダンの左眼にしっかりと刺さった剣。ジェヴォーダンは左眼に走る激痛に、悲鳴のような轟音を撒き散らした。


「やっるぅ〜。んじゃ、今度は私だ!『ライトニングレイン』!」


ベルが唱えると、幾筋の雷の槍が光の線を残して、ジェヴォーダンへと突き刺さっていく。ジェヴォーダンの体から溢れる鮮血は、雷の熱量で蒸発させられていた。


これなら押し切れる!・・・と、私は内心歓喜した。それと同時に、この程度のものなのかと疑問に感じた。







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







ジェヴォーダンへと幾度と無く、何度も何度も攻撃を叩き込んだ。が、ジェヴォーダンは一切倒れるそぶりを見せない。


「・・・全く、厄介だねぇ」


そんなジェヴォーダンへと向けて、ボソリとこぼれたベルの呟きに私は思い切り同意したい。何故なら、


「まさか再生するなんてね・・・」


そう、私達がジェヴォーダンの体に刻み込んだ傷が、瞬く間に癒えていったのだ。


「流石は、災厄の魔物の一体・・・と言った所なんだろう」


ベルは苦々しげにそう言った。しかし、それもそうだろう。

こちらは何時間も激戦を続けて、ボロボロなのに対し、ジェヴォーダンは回復したばっかりでピンピンとしているのだ。


「心臓を狙って魔法を打ったんだけど・・・。どういうわけか死なないんだよねぇ」


ベルは荒い息を吐きながら、そう零した。身に纏う法衣は、激戦によって土やチリに汚れ、ベルも私もお互いに満身創痍だった。


「一体、何が効くんだか・・・」


ベルはそう呟きながら、悠然と、私達を無視して次の村へと向かうジェヴォーダンの後ろ姿を睨むのだった。

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