第二話
彼女に拾われてから数年経った。その間に私の心の傷は癒え、笑顔になれるようになった。
そして今・・・。
「こら、ベル!服は脱いだら畳んでっていつも言ってるよね!」
私を拾ったからか、村に腰を落ち着けたベルフェゴール・・・ベルと私は一緒に暮らしていた。
「あー・・・。フォーリンド、後、よろしく〜」
「しないよ!?ほら、家事を手伝って!」
私はソファで寝そべっていたベルを無理矢理引っ張り起こした。
「もぉ〜・・・。少しぐらい寝させてくれても良いじゃん」
「もう既にお昼なんだけど・・・」
私は腰に手を当てながら呆れて溜息を吐いた。
「ベルは本当に〝魔王〟なの?」
「いや、同じ天満能力を持つ人がたまたま魔王を名乗る人だらけだったってだけで、私は別に魔王じゃないもーん」
ベルは唇を尖らしてついとそっぽを向いた。
「・・・本当にベルは長生きしてるの?」
「そりゃまぁ、元とは言え、これでも神託の巫女ですから」
ふふんと自慢気に胸を張るベルはとても子供っぽかった。
私はベルの態度にやれやれと思いながらも、彼女がくれたこの幸せと言う物がいつまでも続くと思っていた。それなのに・・・
「大変だ!あの魔獣が・・・ジェヴォーダンが迫って来ているらしい!」
「・・・・・・え?」
またあの悪夢が私から平和を奪おうとするらしい。