表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第一話



ザァー…………


その日は雨が降っていた。突然現れた獣に村のみんなが殺された。私だけが運良く生き残ってしまった。


ザッザッ


「・・・これは酷い」


足音と共に女の人の声が近づいて来た。


「ッ!?まさか生き残りがいたなんて」


顔を上げると柔らかそうな金髪と空のような青い瞳の女性がいた。


「・・・誰?」


ボンヤリとした頭で私は尋ねた。


「私?私は、ベルフェゴール。旅の神官・・・みたいなものかな。君は?」

「私は・・・フォーリシア、フォーリシア・グランド。もう、家族も誰もいない。みんな、死んじゃった」


私がそう言うと、ベルフェゴールは少し顔を歪めて、「そう」とだけ答えた。


「・・・何処にも行く場所が無いなら、私と一緒に来ないかしら?」

「一緒に・・・?」


私はまだ、ボンヤリとしたままの状態で聞き返した。


「そう、私と一緒に」

「・・・別にいい」

「え?」

「もう、私には何も無いから」


私の言葉に、ベルフェゴールは呆れたように溜息を吐くと、私を立ち上がらせた。


「なら、私が貴方に新しいものを沢山あげる。・・・うん!それはとてもいい考えでしょう!」



彼女は一人で満足したように頷くと、私に向かって微笑みながら言った。


「じゃあ、最初にあげるなら、愛称がいいと思うの。だから私はこれから貴方のことをこう呼ぶね!」


彼女はとても美しい笑顔を浮かべながら言う。


「フォーリンド!貴方の名前のフォーリシアと家名のグランドから取って、フォーリンド!」


いつのまにか雨は上がっていた。空には虹の橋が架かっている。

私はこうして、強くて、優しくて、格好良くて、そして、悲しい彼女と出会ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ