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*闇妖すみれノ短編*

異能猫の御伽噺

作者: 闇妖すみれ

国語の学習「物語を作ろう」でつくった物語です。初心者のためいろいろぬけてますが、よかったらどうぞ。




「熱っ・・・!」


僕は、周りを蒼い焔に包まれた。・・・氷雨の技「蒼炎(そうえん)」だ。

周りがものすごく熱い。焼けてしまいそうだ。




「あーあ、やっぱつまんねー。帰ろうぜ」


「ま、待ってよ、氷雨・・・」




悪魔や天使、魔族や異能が使える動物達が住む程度の異界にて―――。

異能猫の世界で生きている僕、アステル・メビウスは、異能が上手く使いこなせない猫だ。

それが理由でいじめられている。僕をいじめる猫達のリーダー、氷雨は、上級の異能の

持ち主だ。




「全く、変な奴。

なんで異能を使いこなせないのか、分からないわ」



こいつは二番目に強い猫・・・アリスだ。

上から目線で飼い主がお金持ちだから、お嬢様猫を気取っている。

まぁ、その他にもいろいろといじめ猫がいるのだが・・・一匹一匹紹介するのはやめておく。






―――僕の飼い主は、5年前、昔から伝説のある最狂惡魔を封印したと引き換えに、亡くなってしまった。






僕の飼い主は人間で、最強の勇者とも呼ばれる少年だった。だが、僕はあまり目立たず、

あの最強の勇者の相棒、という程度にしか認識されていなかったのだ。そのことを氷雨達は知らない。

たとえ知ったとしても、僕のことを認めてくれるわけじゃないだろう。



―――そんなことを思いながら、僕は森を歩いていた。

僕は、いつもは森の奥地で眠り、朝になれば食料を探し、昼になれば町を歩く。

そういう日々を続けているうちにあいつら―――氷雨たちに会ったのだ。

いつかはあいつらに仲間として認めてもらえるんじゃないか。そう思って、悲しみを封印しながら生きて

きたのだ。


そして―――今日も、ぐっすり、眠る。自分におやすみと言い聞かせながら―――。

また、朝がくる。

本当は、朝がつらいけれど―――。僕は、飼い主のために、自分のために。

生きる。










「んー・・・・なんだかうるさいなぁ。」



ウゥーーー、と、耳障りな音が森に響き渡るのを聞き、なんだろう・・・?と思いながら、

そんな独り言を呟きながら、森を出ようと、走る、走る、―――走る。

うわ・・・なんだか大事になっているみたいだ。なにがあったんだろう―――?



「大変だーーー。

最狂惡魔イビルブラッティデビルが、封印を解いて、暴れ出したぞーー!!!」



きゃああああ、と叫ぶ人もいれば、早く避難を、と呼びかける人も―――いる。

うわああああ、と叫ぶ人もいれば、無言で立ち尽くしている猫もいる。



―――というかそれは、僕だ。





「―――ど、どうしよう」


「おい、アリスが最狂惡魔に立ち向かって、さらわれたって―――」


「えっ!?」



僕をいじめている猫軍団の話を偶然耳にし、つい声を上げてしまった―――。

ああ、どうしよう。氷雨が僕のことを睨んでいる。



「なんだよ、お前には関係ないだろ? お前が嫌ってるやつらなんだから。

ほらほらほらほらあああ、よわっちぃ奴はさっさと森に帰れ、ばーか」



氷雨のその声は、強い口調だったが、泣きそうになっていたのが、僕には確かに分かったのだ。氷雨は、そんなことを言って、その場にうずくまってしまう。

そして、他の猫が、僕を責める。



「おい、アステル。お前のせいで氷雨が・・・」


「・・・を、助けてくる」


「・・・は?」

僕はその時、何を思ったのか・・・そう、言ってしまった。




「僕一人ででも・・・アリスを、助けに行く!!」

そう、強く、言ってしまったのだ。―――それにまぁ、その気には、なれたのだが。


「はぁぁぁ? ちょ、まっ」


「僕一人で―――行くから。」




そして僕は、最狂惡魔のいる山へと向かったのだ。

だって―――僕の飼い主だって、こうやって、勇気を出した。―――そのはずだ。

仇といえるのかはわからないけれど、助ける。助けて、倒す。

そうすれば―――あいつらを認めてくれるかもしれないし…

そして、僕がまた、誰かを失くして、悲しくなることが、後悔することが―――ないように。


だから僕は―――助けにいく。一瞬でそう決め、一歩踏み出した。

 






「ギャヴヴヴヴヴヴヴヴ」


そんな奇声を上げ、此方(こちら)へ向かってくるのは、最狂惡魔の下部(しもべ)のモンスターだ。

下部のモンスターは、あの氷雨も止めることが出来るかどうかの強さを持っている。



「くっ…うわあああっ!」


ボォォッ、と音を立てて自分の手から少し炎が出るものの、モンスターはそれだけでは倒れない。





――あぁ、やっぱりこんなところ、来なければよかったな――




そう思いながら目を閉じた瞬間、ドカッ、という音がして、ふと目を開けると、黒い猫が僕の前に立っていた。




「――大丈夫?」


「う、うん。助けてくれたんだよね…ありがとう」



恐る恐る手を伸ばすと、その黒猫も、手を差し伸べて握手をしてくれた。そして、黒猫は言う。



「あはは、まぁ、礼には及ばないよ。…君の名前は?」


そして、僕は答える。



「…メビウス。アステル・メビウス。…き、君は?」


「俺? 俺は名前の()い猫さ。…いわゆる名亡し猫さ。…それより君、あの最強勇者の相棒猫だよね。」


「う…うん。でも僕、異能を使いこなせなくって…」


「お、そうなの…?」


少しばかり驚いた黒猫に、僕はオロオロしてしまう。



「う、うん、え、えっと…ご、ごめんなさ、い…?」


「ううん、謝ることはないよ。…俺と、反対だね」



【反対】という言葉を聞いて、僕は首を傾げる。



「……? 反対って、どういう…」


その時、ドカァァァンという音がして、また下部のモンスター達が現れた。




「くっ…、またか。君は後ろに隠れてて。できたら、援護してくれ。」


「…分かった」



次々とドカァァンという音が響き、どんどんモンスターが倒されてゆく。僕も出来る限り援護して、少しずつ前に進んでいった。







――――そして、ついに。







「よし…きっとこの先に、イビルブラッティデビルがいる。全力でいこう」


「…うん。」



前に進んでいくうちに、もしかしてこの黒猫は、強いのに体や顔で判断されて嫌われ、強さを周りの猫に隠してきたのかな、と思い、途中で聞いてみようかとも思ったが、援護や攻撃で大変だったため、聞くチャンスを失った。





「ね、ねぇ、君って…もしかして、強さを隠してたり、してたの…?」


今だ、と思い、僕は恐る恐る聞く。




「…うん。良く分かったね。顔とかで嫌われて、強さを隠しててさ。もし、この力で本気を出して、傷つけちゃったら…さ。」



「…そっか。長話させちゃって、ごめんね。…それじゃ、いこうか。」




僕の言葉に頷くと、黒猫は扉を開く―――。



「うわぁ…」





「グワァァァァッ!!」


「たすけ、て…!!」



そこには、アリスの姿もあった。




「ア、アリス…!」


「メ、メビウス!??」

アリスは驚いた声を上げる。



「さぁ、行こう、メビウス!!」


「う、うん!」



僕が惡魔を引っ掻き、黒猫は強力魔術で攻撃する。そして、アリスはますます驚いた顔をする。




「メビウス…なんでそこまで私を…?  だって、私はいつもアンタのことをいじめてるじゃない!! どうしてよ」



「アリスは、氷雨が僕を殴ろうとしたときや怪我をしそうなとき、さりげなく助けてくれたじゃないか!!」

僕は攻撃しながらも、懸命に言葉を継ぐ。



「でも…そんな…ちっぽけなこと…」


「ちっぽけなんかじゃない。人を助けるって、ものすごく大変なことなんだ――!」


「メビウス…」




「メビウス!! 避けろ!!」


その瞬間、惡魔が僕に向かって攻撃した。




「うわぁぁぁっ」


少し、怪我をしてしまった。



「メビウス、大丈夫か!? ここは一気に決めるぞ。そこのメス猫も、力を貸してくれ!

俺――いや、俺たちの技で浄化するぞ!!」



「うん!!」



「わ、分かったわ…!」



その場に、ピリピリと緊張感が走る――。






「―――三人で【エターナルドリーム・シャイン】だ!!! いくぞ…せーの――!!!」


黒猫の声が沈黙を破り、僕達は息を深く吸い込む。














『『『エターナルドリーム・シャイン』』』!!!!!










―――三人の声が、重なる。





―――夢のような暖かく眩しい光達が、惡魔に対抗し、向かって行く。





――――それに対して惡魔も、負けてはいない。







「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」






――僕達の叫びか響く。そして――











「グゥワァギィヒィァァァァァギィィィィッジィィィィアァアアアアアヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴ!!!!!!」






―――惡魔の大きな声が聞こえた。












「……!!? ……やった………の、か……? …」

僕は、眩しい光が消えてゆく様子を見て、言う。


「…!」


アリスと黒猫も、驚いた顔をしている。







――――そこに見えたのは、晴れわたり、煌めいた光が舞っている空だった。







「…や、やった」

僕は、呟く、そして――――






「惡魔を――倒したんだ!!! やったあああ!!」

思わず、そう叫んだ。



「…やったね、メビウス。」

僕の叫びに驚いていた黒猫も、にっこりと微笑してくれた。



......本当に、よかった―――!






「ア、アリス、メビウス....!!」


そして、そこに走ってきたのは――――僕を苛めていた、猫軍団だった。





「氷雨、みんな――――!! あのね、この黒猫と、メビウスが私の事を助けてくれたの....

だからみんな、もう、メビウスに嫌なことするのは、やめましょう?

こんなに勇気のあるメビウスを、いじめていたなんて・・・私、反省してるわ」


アリスがすかさず口を開く。


そして、猫軍団は顔を見合わせ、決心したように口を開く。




「――――確かにな。いままで悪かった。それと、あんな惡魔のところにいってアリスを助けにいくなんて、お前は本当にすごい。ありがとう。」


「う、うん。でも、ほとんど攻撃してくれてたのはそこの黒猫さんだから・・・そっちにもお礼をしてくれない、かな・・・」




そして、黒猫は振り向く。





「んー? いやいや、俺だってメビウスがいるからこそ攻撃できたんだ。こちらからも礼を言わせてもらうよ。」



「って言ってるぞー、メビウスー」


その一言で、笑いが起こる。


黒猫が言ったことに対し、やっぱりお前はすごいんだな、と、認めてくれる言葉を発す猫軍団。








――――そして、黒猫には名前が亡いこと、僕が伝説勇者の相棒であったこと――――。


氷雨たちには、いろいろ説明して、帰った。

そして、僕と黒猫は、氷雨達の家に招待された。

ちなみに、このお祝いとして、黒猫の名前を僕たちで決めた。


「如月」だ。

彼もとても喜んでくれて、みんなで「如月」と彼のことを呼んであげた。






そんな感じに、一日は過ぎていったのだ。








「・・・メビウス、如月。これから改めて、よろしくな」



「うん、こちらこそ。よろしくね、氷雨!」



「よろしく、氷雨、メビウス。」






これは僕達異能世界に住む猫たちの、小さいけれど大冒険をした御話でした――――。


これは元々作文帳に書いて担任に提出したものなのですが、クラスメイトがページ数で争っていた中私のページ数を聞かれたのですが、どうやら私がクラスで一番多いページ数らしく、みんな驚いてました(笑)

少しばかり嬉しい気持ちです(よくわからないけどその後女友達に妬まれたので完全破壊しておきました)。


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