4.魔法
四話目だよ。
「なあ、エルゼ……さっきから同じところぐるぐる回ってねえか?」
俺はエルゼに聞いた。
ドラゴンが現れてから俺たちはすぐに森の奥へ逃げ込んだ。
幸いなことにドラゴンはあのあと追ってこなかった。
だから俺たちは一安心、だと思ったんだが。
「なあ、やっぱり同じとこぐるぐる回ってるって」
「わかってるわよ!」
エルゼは反ギレで答えた。
「どうすんだよ、これから」
「ひたすら歩き続ける!」
「そう言ってもなあ……俺たちずっと歩き続けてるしさ、少し休憩しないか?」
「休憩したいのならひとりでしたら?わたしは先にいくわよ」
「わかった。じゃあ俺はここで休憩しとくから、先に行ってこい」
俺の言葉にエルゼは驚いているようだった。
「ほんとに?」
「ああ、ほんとさ。どうせお前はここに戻ってくるんだからな」
俺の言葉に、エルゼは顔を真っ赤にして怒った。
「あぁもう!マジむかつくんだけど!あんたのその態度!見てなさい!今度はちゃんと外に辿りついてやるから!」
「ま、そうなったら救出班とかでもよんでくれ」
そしてエルゼは森の中に消えていった。
はあ、それにしても疲れたな。
昨日からずっと歩きっぱなしだしな……。
でも、とくにやることもないしな……そう思いながら俺は、軽くのびをした。
「いてっ……」
のびをした突如、腕に痛みがはしった。
俺は痛みのする場所を見てみた。
「ちょっと切ってるな…… 逃げてるときに枝かなんかでひっかけたんだれろうな」
腕が少し痛む。だが、こればっかりはどうしようも……いや、ひとつあるぞ。できるかわからないが、腕の傷を治す方法が。
ここは現実世界と違ってファンタジー世界である。
ようするに、
「魔法とか使えちゃうんじゃね?」
こういうことだ。
俺は自らの腕にむかって好きなゲームの回復魔法を唱えた。
「ヒール」
すると、俺の腕が光に包まれた。
「え!?やばいぞこれ!」
そして光がなくなったときには腕の傷がしっかり治っていた。
「ファンタジーすげえぇぇぇぇ!!」
俺、魔法使えてる。すごいぞ、これ。
それにこれを使えば……テレポートを使ってこの森から逃げだすことが可能になるかもしれない。
あいつが帰ってきたら一緒に森をでようっと。
魔法があれば医者は必要ない、し車とかもいらないですよね。
いや~、魔法って便利なものですね。