3.エルゼ
つまんない話しですが、どうぞ。
「ふああ」
俺はあくびをした。
そして目をあける。
そこにはなんか女の子が座っていてこっちをのぞきこんでいた。
めっちゃかわいい、まさに俺好みの女の子が。
まあ、そんな子が現実にいるはずもないので。
これは夢なのだろうな。というより、夢であれ。
夢だったら何をしてもいい、それが俺の考えだ。
だから、俺は顔を彼女のそばに持っていて静かに唇をあわせることにした。
目標まで、あと数ミリメートルのところまできた。
あと、あと少しで俺の…初のファーストキス……………ペチンッ!
次の瞬間、彼女が俺の頬をたたきだしたのである。
「いったあああああああああああああ!」
俺は痛さのあまりそこらじゅうを転がり回った。
……痛いってことはこれ、現実?
俺はとりあえず落ち着き、彼女と話してみることにした。
「やあ、はじめまして」
「はじめまして、変態くん」
「ちがう!あれは事故なんだ!」
俺はそういった。だが、
「全然事故っぽくなかったんですけど、どういうこと?変態」
っく………こうなれば最終手段にうつるか……
俺が次にとった行動とは、頭を地面にすりつけることだった。
「すいませんでしたあああああああ!」
俺の気持ちのこもった謝罪。
彼女は、はぁ、と一回ため息をついた。
「もういいわよ。それにしてもおかしな人ね。あなた、名前は?」
俺は服についた土を払いながら答えた。
「俺の名前か?俺は立川秀って言うんだ」
「ふうん、シュウか」
「そう。で、お前はなんて言うんだ?」
「……私は、エルゼよ」
「エルゼか……よろしくな」
「こちらこそよろしく。で、どうしてこんなところで一人で寝ていたの?」
どう答えればいいんだ?目が覚めたらなんかここにいました、みたいな?
そもそもここはどこだ?天国か?地獄が?異世界か?
俺はとりあえず聞いてみた。
「なあ、ここって天国とかじゃないよな」
「なに言ってるの?天国なわけないじゃない。私はまだ死んでないわよ。それより質問にこたえてよ」
なるほど、ここは異世界か。ってことは本当のことを話したところで俺は変人扱いされるだけだしな……適当に話しはすか。
「森に迷ったんだよ」
この回答はとてもいいと思う。とっても普通だけど。
「森に迷った、ね……じゃあ、ここにくるまでの間、運よくモンスターには襲われてないわけよね」
「は?モンスター?でんの?」
「でるに決まってるじゃない!あなたそんなことも知らずに森に入ったの?世間知らずにも程があるわよ」
なるほど、この世界はザ、ファンタジーみたいな感じか。
「まあ、とりあえずこの話しはおいといて、俺をこの森からだしてくれ。話しはまたそれからしよう」
「わかったわ。それじゃあ、とりあえず私ついてきて」
俺とエルゼがここから歩きだそうとしたときだった。
森が揺れ始めた
「なあ、エルゼ。森揺れてね?地震みたいな感じ?」
俺はエルゼに聞いた。だが、エルゼはその場に立ち止まり動かなくなってしまった。
「おい、どうしたんだよ固まって。何かやばいことでもあったのか?」
「シュウ……どうやら私たち詰んだみたい」
そして、エルゼの指さしたほうにいたのは……めちゃくちゃ強そうなドラゴンだった。
わお。さすがファンタジー世界。
すごいものだ。迫力がすごい。
俺とエルゼは互いに顔を見合わせると……すぐさま逃げだした。
格上が相手だったら逃げるっていう行動が正解だと俺は思う。
異世界にきて、初めて人間にいった主人公。