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記憶の再現

「風よ、切り裂け! 魔法せんげん[ウインドフォーム]」


「ふん。混沌せんげん[レアル・ネットワーク]」


 フロウは竜巻を作り出すが、レアルが竜巻を銃で撃ち抜いた……え、竜巻を銃で撃ちぬいた?相手は形を持たない現象なのに。


「やはり、無駄ですか……」


「アタイは物理現象さえも書き換える。欲望のままに望みのままに! アタイが風だって撃ちぬけるとするなら、それは実現できる事柄なんだよ。アンタの身体がほぼ風に近いとしても、アタイの銃は関係無くそれを撃ち抜けるものに書き換えるだけだ」


「しかし、それならば!」


 フロウは風に乗ってこちらに急接近してきた。自分はレアルと違って身を守るものは何も無いし、そもそも話を聞く限り、風の存在であるフロウに物理攻撃が通ると思えない。無駄だと解っていても身構える。


「巡る思考の牢獄! 秩序せんげん[フローブレイン]」


 フロウは自分に向かって腕を伸ばす、その腕にはオーラのようなものが纏ってあり、触れたらいけないと直感で理解できる。だが、風の速度を持つフロウから逃げることは出来ない。


「くそ、させるかよ!」


 自分とフロウの間にレアルが転移して、フロウの腕を掴んで止めた。危なかった……。だが、フロウは余裕そう? もう片方の腕をレアルに向け


魔法せんげん[ウインドブレード]」


「ヤバ!」


 フロウが風の刃を発射し、レアル身体を、上半身と下半身に真っ二つ……!? フロウはレアルが転移することを想定していたのか!


「この距離では物理法則の改ざんも出来ないでしょう。さて、今の内に終わらせましょう。魔法せんげん[ウインドフォーム]」


 フロウは再度竜巻を作り出した。あの風の刃で人体が真っ二つになるとしたら。この竜巻に飲まれたらミンチになってしまう。何か、現状打破できるものは……!


「私の身体は風のようなもので、物理攻撃は殆ど効きません。そして、魔法を使うのは更に悪手。そういった奇跡の分野では、私達精霊や、天使を傷つける事は出来ません。さぁ、諦めてください」


 近づいてくる竜巻もうダメなのか……? 何か何か、何でも良い。何も解らず消えていくなんて、考えたくも無い。


「そうだ、まだ。これがあった」


 あの謎の指輪を見てみると光を放ち、元のあの剣の姿になった。その剣を掴むと、微かにこの剣を使っていた人の記憶が流れたきたような……気がした。


「そんな剣で何が出来るのですか?風を斬ることは不可能です」


 この剣の名前は……。


「大剣〈アンマグネクス〉は境界線を作り出す剣!」


 アンマグネクスを持ち上げ、思い切り振り下ろす。境界を作りありとあらゆる物を切り裂く剣は、竜巻を裂いて消し飛ばすだけに留まらず、その延長線上のフロウも切り裂いた。


「……まさか、こんなことが」


 フロウの姿は空気に紛れるように、徐々に姿を消していった。これで、とりあえずの危機は去っただろうか。


「始めての戦闘にしては頑張った方だと言ってあげようか」


 唐突にレアルから声をかけられた。というか、確かにさっき風で切り裂かれた筈。それなのに、怪我どころか傷一つ見当たらない。


「切り裂かれた筈では?」


「アタイがそれくらいでクタバルわけないじゃん。これでも混沌の管理者、世界の一端を担う存在だよ? 精霊の1人位なんてこと無いって」


「それなら、アレはわざと」


 自分に何か扱える能力のようなものがあると確信でもしてたのだろうか、だとしても、死ぬ直線だったのだ。文句も言いたくなる。


「ほら、アタイがずっと守ってる訳にいかないし? なんか身を守る術って大切だよ。それに、主人公がピンチに陥ってなんか覚醒するとか良くあるし? というか、この状況を作り出して覚醒を促したアタイに感謝して欲しい位っていうか? まぁまぁ、とりあえずここに留まっていると精霊が集まってきそうだからさっさと移動しようか」


「……」


 呆然と呆れるしか出来ない。剣はいつの間にか指輪に戻っていた。勘弁して欲しい、相手が油断していたから当たっただけであって、普通に戦っていたらどう足掻いても当てられなかった。


「さー、レッツゴー」


 これから先が心配になったのは仕方が無い事だ


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