オペさんが一人亡くなった件(1)
ある日普段通り仕事をしていると、管理者さんから声をかけられました。
「オペレーターさんちょっといいですか?大切なお話があります。一緒に働いていたオペレーターの早乙女さんがお亡くなりになりました」
「ええっ」
だって私たちは老人ホームで働いている訳じゃないんですよ。
「私達もどうして亡くなったのかは把握していません。センターを代表して今度お通夜に行ってきます」
「それとこのビルの下で不審者が目撃されています、帰る時は複数人でできるだけ明るい道を選んでくださいね」
「は、はいっ」
異世界の英雄さんをサポートしているコールセンターではこんなことが日常茶飯事…な訳無いです。働いてて死んでしまうなんて自衛官かプロレスラーか期間工位じゃないの!?
「オペちゃん怖い?」
「当ったり前じゃないですか」
振り返って声の主を見るとアンデッドさんでした。
「死ぬかもしれないって、どういう感じ?」
「む〜ん」私はアンデッドさん用の回答を思案する。
「地球が滅亡する感じですかね」
「地球が滅亡すると私も死ぬのかな?」
「宇宙空間でも生きていけるなら、あるいは?」
「地球が滅亡する時はオペちゃん!私と異世界に逃げましょう〜」そう言って抱きついてくるアンデッドさん。地球が滅亡しても異世界は影響無く存在していくでしょうね〜。
「お疲れ様〜」その日の業務を終え、手早く帰り支度を整えます。今日は終業間際に電話がかかってきて少し残業になってしまいました。少し遅くなるだけでいつも混雑している入館証回収窓口もエレベーターも他に人を見かけません。
エレベーターを降りると私出会っちゃいました!不審者に!!見るからに不審者です。身長はそんなに高くなくて黒髪。白と黒の洋服です。私が一瞬フリーズしていると、
「オペちゃ〜ん」声をかけられました、不審者に。
「キャーッ」急いでケータイ電話で通報します。
「もしもし不審者です〜」
「タスけてよ〜、オペちゃ〜ん」不審者をよく見ると先日亡くなったと伝えられたオペレーターさんみたいな。
「えっ早乙女さん?」
「そうだよ〜」
「でも、早乙女さんは亡くなったって聞いたよ」早乙女さんは困った表情を浮かべます。
チーン。
「あら、お仲間」エレベーターを降りてきたアンデッドさんが早乙女さんを見るなり嬉しそうにそう言いました。
「アンデッド?」私が不審者・早乙女さんを指さしそう聞くと、アンデッドさんと早乙女さんはこくこく頷いたのです。