召喚獣の手配
異世界の英雄さんからかかってくる電話で多いのが召喚の電話です。召喚士が召喚獣を召喚するあれです。あれは実は電話なんですよ。呪文を唱える場合でも結局はうちのコールセンターに繋がります。
「こんにちは、異世界コールセンターです」
「バハムートの召喚をお願いします」
「バハムートですね、かしこまりました」こんな感じで。
ただ、派遣できる召喚獣が用意できる場合は問題ないのですが、中には他の英雄さんに呼び出されていて直ぐに召喚に応じられないケースもあります。
「申し訳ございません、英雄様。ただいま召喚に応じられるバハムートが枯渇しておりまして」
「は?」
「英雄様の前にも10人お待ちいただいている状態でして」
「いやいや、ボス戦だしここでバハムートを召喚できないと俺たち全滅だよ!」
「戦闘に支障をきたすということでございますね…少々お待ちください」
電話を保留にして管理者に相談します。
「なんか、急いでるみたいなんですけど」
「他の英雄さん達にも待ってもらっているって伝えた?」
「言いましたよぅ」
「なんか、ここで召喚できないと全滅するみたいです」
「わかった、英雄さん達の異世界の神様に事情を説明して順番を繰り上げて貰えるようにするから」
「わかりました」
「英雄様おまたせいたしました〜」
「英雄さん?英雄さん?おーい。ヤッホ〜」
「お声が無いようですのでこちらから失礼します」ツーツーツー。
取り敢えず後処理を進めます。
「オペちゃんさっきの件どうなったの?」
「あ、なんか保留中に全滅しちゃったみたいです」
「あっそう」
だって、全滅しちゃったものは仕方がないじゃないですか〜。私のせいですか?いいえ、神様がその異世界に派遣できる召喚獣の数を決められていて、オーダーに対する召喚獣の数が絶対的に不足しているんです!でも、潤沢に召喚獣が居ても生態系が崩れてしまうかもしれませんからね。
あと、召喚した召喚獣も戦闘が終わったら直ぐに返していただかないと、次の英雄さんの召喚に応じられません。
「こちら異世界サポートセンターですけど、英雄様ですか?」
「あ、そうだけど何?」
「この前召喚頂いたバハムートの返却はいつごろになりそうでしょうか?」
「あ、アレね。ゴメン今日返すから」
「よろしくおねがいしますね」このような架電が必要になったりします。