第29話 To Be Continued?
大変長らくお待たせいたしました。ようやくの更新でございます。はい、生きております。死んでないです。<ボクハマダシニマシェン
結局しばらく更新していn……ゲフンゲフン! まあね! 更新は続けてますから。セーフセーフ。特に忙しいわけではなかったんですが……。エタることはないので、一応安心してください。
さて、前回までのあらすじ。
・王国軍つかまえた!
・逃げちゃった……
・エドガー探してたら王国軍いた!
・「深影、行キマース!」
以上です。
時系列が少し前後しますので、ご注意ください。ではどうぞ。
Side:Isato
ついに、ついにここまで来た。
道中、予想外の妨害のせいで遅れてしまったけど、王国からもっとも近い街、ヴィンデミアはもう目の前だ。外部に依頼したのか、それとも自前の戦力でやったのかはわからないけど、どちらにせよ、不意打ちとは卑怯な真似を。魔族のせいで、騎士道精神も忘れてしまったのか。だとしたら、悲しい。彼らももとは王国の騎士。立派な信念をもっていたはずなのに。だからこそ怒りも湧いてくる。その人の在り方を変えてしまうなんて、ゆるされない行為だ。魔族ども、絶対にゆるしてなるものか。
目の前に話を戻そう。ここからいよいよ、公国との本格的な衝突が予測される。今までは森の中での牽制がせいぜいだった。その分きっと、あの街にはすでに公国側の主戦力が控えていることだろう。
準備する時間がないだけ俺たちの方が不利だろうか? いや、そんなことはない。断言できる。第一に、俺たちには単純に数えても一五〇〇の兵力がある。第二に、驕りではなく事実として、こちらには俺たち勇者がついている。戦闘向きでなかったりと、置いてきたやつらはいるけど。それでも悪に与するやつらなんかには負けないという自信はある。それだけの訓練、経験は積んできた。この場に来れなかったあいつらの分も、俺たちが戦わなければならない。
「怖いか、ユート?」
あらためて決意を固めていると、隊列の先頭にいたはずのバルダさんがいつの間にか隣に来ていた。その表情は、心配というよりも試していると言った方がいい。俺に向ける視線は挑発の色も含んでいるようだ。答えなんて、決まっているだろうに。
俺はそれに、笑みを浮かべて返す。
「怖い? まさか。俺たちが悪に屈するなんてこと、ありえません。公国の人たちには同情しますけど、しているからこそ、俺たちは戦わなきゃいけないんです」
その答えに満足したのか、バルダさんは口元に弧を描き、大きくうなずいた。
「その通りだ。今までも何回か人間相手の戦闘はあったが、どれも殺しはしなかった。そうする理由がなかったし、そうするまでもなかったからだ。
だが、次の戦いは違う。これは戦争だ。誰がなんと言おうと、この事実は曲げられん。戦争に甘さなど要らん。殺すか殺されるか。それしかない。相手が魔族ともなれば、なおさらな」
「大丈夫ですよ。もうそんな呑気なことを言っている場合じゃないってことは、わかってます。僕たちがここに呼ばれたのは魔王を倒すため。人類の一員として、正義を貫いてみせます」
そうだ。忘れるな。僕たちがここにいるのは、魔王を倒し平和を取り戻すためだ。何万何億という人の命がかかっているんだ。それが勇者の役目……
「報告します! 前方に公国軍を確認! 距離およそ二〇〇〇! 二〇分もすれば衝突します!」
!? 来た!
「ついに来たか! 全員戦闘準備はできているな? このまま進軍を続ける。予定通り、勇者を守れる配置に。よし、隊列に乱れはないな。
よく聞け、諸君! 我々の正義を果たす時が来た! 思い出せ! 何のためにここへ来た?! 幾度も繰り返された魔王との戦い、その一歩になるであろう戦いだ! 我々の代で人類の未来を閉ざすわけにはいくまい。この世界を魔族の手から守るのだ!!」
これが事実上、魔王軍との最初の戦い……。俺たち勇者の、英雄への第一歩だ。「勇人」として、負けるわけにはいかない……っ!!
『ぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!』
鬨の声は、大気を揺るがし、大地を震わせる。俺たちの士気は最高潮にあった。
◇◆◇
「私はリルバ王国軍を預かる者、バルダと申す。宣言通り、貴国を攻め落としに来た。貴国は既に魔族による支配下にある! このままのさばらせておけば我が国の、ひいては人類の危機が訪れよう! ヴィンデミアの騎士共よ、剣を下ろすがよい。貴殿らは悪に加担しようとでも言うのか!!」
「否っ! 我らは悪にあらず! 根拠も無い憶測を理由に他国を侵略する自分こそ悪と知れ! 既に貴様らと交わす言葉は無い。貴様らと交わすのは剣のみで十分である!!」
目の前では団長のバルダさんと敵の大将との舌戦が繰り広げられている。バルダさんの正論に反撃できる言葉を持っているはずもなく、結局実力で決着をつけることになってしまった。やっぱり、もうすでに魔王の手先と成り果てているのか……。話ももう通じていない。
「戯言を! そこまで言うのであれば我らが正義の力、その身を以て思い知るが良いッ!!」
やっぱり戦わなければならないのか……大丈夫、覚悟はもう決めてある。大丈夫……大丈夫だ。
俺たち勇者は後方に待機することになっている。いざというときの切り札だというのは理解はできるけど、俺たちが守ってもらうなんて……なんだか、少しおかしい気もする。まあ、今回に限っては危険もないだろう。作戦では、最初から戦術級の呪文を発動することになっている。それで決着はつく。もし耐えられたとしても、その時点で相手は虫の息。呪文が発動した時点で、俺たちの勝利は確実なものになる。
「魔術師、並びに魔法使い! 詠唱開始!!」
盾役に守られたマジシャンたちが、一斉に詠唱を始めた。発動させる呪文は“白焔”。必要魔力、詠唱の長さ、どれを取っても多大なコストではあるけど、その分威力も折り紙つきだ。複数のマジシャンによる多重詠唱こそが、王国軍の強さだ。もちろん騎士単体の練度も高い。さらに、勇者もついているのだから、負ける要素がない。
詠唱が完成する、その直前。相手が動き出した。残念だけど、何をしてももう手遅れだ。最前列のナイトが盾を並べてこらえようとも、そんなものは意味をなさない。
「“突風”!」
なんてことはない、ただの中級呪文。発動が早いだけで、風を起こすしか能のない呪文。戦闘、ましてやこんな大規模な戦場で使うようなものじゃない。
そんなもので……!
「狼狽えるな! ただの中級呪文、風で砂を巻き上げただけだ!何も心配は無い! 冷静に、詠唱失敗ファンブルだけは起こすなよ!」
ああ、そうだ。こちらの動揺を誘うための、咄嗟の判断とも取れる。
マジシャンに求められるのは、高いINT、豊富な魔力、敵を近寄らせない立ち回り、そして、何があっても詠唱を完成させる胆力と冷静さ。これらが揃って、初めて一流と言える。
その点、うちのマジシャンは一流だ。俺も[光属性魔法]のために、マジシャンの人たちに話を聞きにいったことがある。実際に使うところを見せてもらったけど、彼ら彼女らの呪文に比べたら、自分の魔法は児戯に等しいことを思い知らされた。俺の中の理想の魔法は、今でも彼らのあの綺麗な魔法だ。
そして積み上げられる詞、やがてその呪文は完成へと至る。
「歩兵は道を空けろ! 今だ、放てぇッ!!」
団長の号令がかかり、人が割れる。頭のどこかでモーセを思い出しながらも、来る爆風にそなえる。
『――阻むもの凡てを、その白き光を以て灼き払え!
“白焔”!!』
ところで、詠唱失敗がどのような結果をもたらすか、ご存じだろうか。
呪文を完成させるために、使用者は魔力を一つに集める。集中し、高まった魔力は半ば膨張するように、呪文を発動へと導く。このとき、呪文が正しく成っていないと、詠唱失敗となる。本来ならば呪文の発動に消費されるはずだった、魔力という膨大なエネルギーは行き場を失い、その場で暴発する。集めた魔力が多ければ多いほどに、爆発の規模も大きくなる。
すなわち―――
―――“白焔”で起きる爆発の規模は、他の呪文の比ではない。
最後の言葉を紡ぎ終えると同時に、まず視界を覆う閃光。目映いばかりの白が世界を埋め尽くす。何が起きているか把握できないまま、今度は耳がやられた。おそらく前方からの爆音。爆発に巻き込まれたのだと理解したときにはすでに、俺は爆風に吹き飛ばされていた。
「あづッ、ぐッ、ああ!!」
もともと、多少距離はあったし、騎士の人たちに守られていたこともあって、そこまでひどいことにはならなかった。HPもまだ十分に残っている。ただ、それでも無傷とはいかず、身体のところどころが火傷でヒリヒリしている。痛みはあまりないし、動くのには問題なさそうだけど、いかんせん周りの状況が分からない。
しかし、なんで詠唱失敗したんだろうか。詠唱は完璧だったはず……
いや、そんなことよりも、重要なのは今どうするかだ。多少は回復しつつあるけど、下手に動くのは止めた方がいいだろう。なら、相手の攻撃に備えて防御を固める。こんな好機を逃すほど、相手も馬鹿ではないだろう。距離を詰めて乱戦に持ち込むか、あるいは大規模魔術を打ち込むか、とにかく動きがあるはず。それに一度耐えて、体制を立て直すのがベスト。来るなら来い……
「――――に――確認! ――警戒――るぞ!!」
これは……団長か? いったい何を……? ダメだ、分からない。警戒とも聞こえたけど……
その一瞬が隙になったと言うのは簡単だけど、正直に言おう。たとえ団長の声がまったく聞こえていなかったとしても、俺は、俺たちは、かわすことも防ぐこともできなかっただろう。それだけ狡猾で、外道で……認めたくはないけど、効率的な戦略だった。
結果から言うと、スピカ郊外での戦いは、公国に軍配が上がったのである。
◇◆◇
「ほら、勇人。飯もらってきたから食おう」
「ああ、サンキュー、虎太郎」
薄暗くじめじめした穴の中で、配給の干し肉を食べる。堅いし塩気多いしおいしくない。何より飽きた。
だが、そうは言っても他に食べるものはない。敗者は不自由を強いられるのだ。公国の罠にまんまとハマり、この泥だらけの穴蔵に閉じ込められた俺たちは、魔術を使うこともままならず(おそらく公国側から何かしらの妨害があったのだろうという結論に達した)、無限収納に入っていた、また、持ち運んでいた物資でやりくりしている状況だ。
準備してきたとは言え、物資にもさすがに限界はある。特に、魔術で用意するつもりだった水やランプの油は、圧倒的に足りてない。このままでは、ただでさえ地面の泥で失われる体力が飢えや水不足で決定的に欠如し、魔族に敗北する。
負ける? 勇者が? 魔族に? そんなこと、あってはならない。そんな未来を認めてたまるか。絶対に、ここから抜け出して、公国を倒してみせる……!
そしてそれは、単なる意地でも、非現実的な妄言でもない。
「ユート」
「団長。どうしましたか」
気づけば、団長がそばまでやってきていた。正規の団員は向こうでかたまっていたはずだけど。なんだろうか?
「ああ、補給を済ませたら準備にうつるよう、伝えにきただけだ。そろそろ動くぞ」
「分かりました。急ぎます」
「あまり急いで食べて腹痛くなってもらっても困る。急かしに来たわけではない」
「大丈夫ですよ。いつも早食いしてますけど、腹痛くならないので。
それよりもこんな状況でゆっくりしている方が、精神的につらいですよ」
「そうか。ならば何も言わんよ」
そう言って、団長は去っていった。伝達なんて将がする必要はないのに。あの人なりに、俺たちを気にかけてくれているんだろう。本当に、ありがたい。
「バルダさん、やっぱ怖えな。や、いい人なのはわかってるんだけどさ」
「まあ、顔も怖いしな。不器用すぎて話し方も硬い。
長くなれば、悪い人じゃないってことは、ちゃんとわかるんだけど」
「ま、ここにいる人はみんなわかってるから、いいんじゃねえの?」
本当に……。虎太郎はときどき、核心をつくような発言をする。
「ああ……その通りだな。ごちそうさま」
「は? 勇人、お前やっぱ食うの早すぎだろ!? ちゃんと噛めよ!」
「噛んでる噛んでる。俺は行くけど、虎太郎は急がないでもいいぞー」
「おい勇人! くそっ……」
虎太郎を残して、準備に入っている集団のもとへ。装備を固める者と、限界まで軽装にする者とに分かれている。俺ら勇者は、ほとんどが後者と決まった。俺も例に漏れず、軽く動きやすい格好になる。
今から、この大穴を脱出する。魔術や魔法……すなわち魔力の放出が不可能な今、取れる方法は少ない。基本的には自前の肉体頼みとなる。特別なスキルを持っているやつも何人かいるけど、それだけではあの天井が壊せないことは確認済みだ。かなりの硬度だが、複数人でやれば壊せないことはない。賭けになってはしまうが、足掻かなきゃ、終わりを待つだけだ。なら、リスクを背負っても、試すべきだろう!
やることは単純明快。力の強い人が、軽い人を上まで投げ飛ばす。できるだけ一点に集中させれば、所詮土でつくったものだ。壊せない道理はない。落下に関しては心配する必要がそもそもない。この泥の地面がクッションとなり、衝撃を抑えてくれることは、この場の全員が経験している。多少の痛みはあっても、大怪我にはならない。
10の刻の15分前。一昨日、昨日と、その短い時間に監視の目が途切れることは確認済み。体力的に、今日を逃したらほぼ絶望的。この機会を、逃してなるものか……!!
「やっと追いついたぜ……」
「おお、早かったな、虎太郎」
「そりゃあ、俺だって軍の一員として、働かねえといけないしな。
せっかくの出番、100%で挑みたいだろ」
それは、俺も感じていた。公国軍との戦いでは、俺たち勇者は戦力としてはカウントされていなかったのだと思う。後衛に下げられ、挙句の果てには守られる始末。ただ威光としての勇者が必要とされていただけのこと。そこに不満は、ないと言えば嘘になるが、まあ構わない。だが、俺らのために人が死ぬようなことだけは、あってはならない。人類を守るのが勇者の役目。そこははき違えてはならない。
もし、脱出が成功して、戦闘になるようなことがあれば、そのときこそは、俺が前に出る。誰が何と言おうとも。
みんな補給は終えたようで、着々と準備は進められる。この短い時間、気づかれる前にことをなす。戦闘前のような活気はないが、各々がやる気に満ちていることに疑いはない。
そして、時は来た。
「[身体強化]」
バルダさんが強化を使うと同時に、投げる役割を担う部隊Bが追随する。[身体強化]は、魔力の放出ができないこの場において、数少ない有用なスキルだ。これで、衰弱による筋力低下を補う。
俺含む部隊Aは、それぞれ所定のペアを掴む。腕を、脚を、尻を。ちなみに、俺は丸まったままで手の上に乗せられてる。たとえ腕がイッても、Gに耐えきれそうになくても、少しでも、天井にダメージを与える!
チャンスはほぼ一回きり。残り少ない体力を振り絞り、今、一斉に……!
「フッッ!!」
暗闇の中、ものすごい速度で投げられた俺たち。まずは、空中で姿勢を整える。さすがは王国の精鋭。どうすればいいかわからずわちゃわちゃしているのは、一部の勇者だけだ。だが、それを除けば問題はなさそうだ。俺と同じく拳を構える者。剣を構える者。中には、蹴りの姿勢に入っている者もいる。
すぐに天井は見えた。鈍角の逆さ円錐のような形状を崩さず保っているところを見るに、かなりの魔力が込められているのだろう。つまり、硬度も相当なものだということだ。
狙うなら薄いところだということで、協議の結果できるだけ中央から離れたところを狙うことになっている。投げ手のコントロールはさすがとしか言いようがなく、人の弾丸は同じところへ飛んでいく。
先陣を切るのは、固有スキル[飛翔]を持つ、鷲津翔。まるで漫画のように自在に空を翔ける。最後まで加速し続けて―――
―――スパイク付肩当てでの、タックル。これが、翔の選択だった。
ズン……と、鈍い音はしたものの、やはり壊れるには程遠い。この暗闇では、ヒビが入ったのかすら、俺には分からない。でも、そんなのは関係ない。俺は、俺の仕事をなすだけだ! 翔だって一回でいけるとは思ってない。何回も攻撃を繰り返している。
翔に続いて次々に突っ込む、武装した人間たち。破ることができなかった者たちは、重量に従って落ちていく。すべてを出しきった彼らは受け身を取るような力も残っていないだろう。2日前と同じように、全員が奇跡的にほぼ無傷ともいかないだろうが、死ぬことはない。だから後続の俺たちが、彼らの頑張りに報わなければならない!
およそ3/4が落ちていったあたりで、ついにピキッと、ヒビの入る音がした。ようやくの変化に、俺たちは希望の光を見た。多くの犠牲と、継続的な翔の頑張りが無駄ではなかったと証明されたのだ。天井の破壊が、いよいよ現実的になってきた。
そここらは、攻撃するたびにパラパラと土が落ち、音も大きくなっていく。
そしてついに、前方の虎太郎が手にした大剣を全力で振るったとき。
「だぁらっしゃあぁぁぁぁあああ!!」
ガキィィィン……
およそ土とぶつかったとは思えぬ音が響いた。最上部の強度は他とは段違いだろう、とは事前に聞いていたが。これは明らかにただの土ではない。やはり何らかの対策はしていたか。だが、ここまで来たなら……
最後に阻まれ落ちていく虎太郎。彼我の交錯は一瞬。暗くて表情も分からない。だけど、あいつが考えていることは、はっきりと分かった。
―――あとは頼んだぜ、勇人。
「ぉぉぉぉぉおおおおおお!!」
仲間がここまでやってくれたのに、突破できないやつには勇者の資格なし! 『勇人』はこんな窮地で終わったりなんか、しない!!
全開の[身体強化]に重ねて、特殊スキル[限界突破]を発動。今はリスクを無視してでも、やらなきゃならないんだよ! 強靭な肉体が、限界を超えてさらに強化される。未来を切り拓いてこその勇者だろ!
「あ"あ"っ!!!」
全身全霊を込めた拳はすべてを突き破り、手の甲の感覚がフッと軽くなる。次の瞬間には、視界一面に飛び込んでくる白。それはまさしく、希望の光だった。
勇者としての責務を果たせたことへの安堵と達成感。これでまだ俺たちは戦えるんだ。初戦から敗北するような人間が、人類の希望なんて大役、こなせるはずがない。能力にかかわらずとも、人々が認めないだろう。『勇人』が、そんな失態をさらすことは許されない。
『―――ォォオオ!』
下方から野太い雄叫びが聞こえてくる。光が差した歓びを謳っているのだ。みんなの力を合わせた結果だ。そんなことは十分承知している。けど、その声が俺を称賛してくれるように勘違いしてしまいそうになる。いけないな、傲慢なんて罪、犯しちゃあ。でも、本当によかった……
すべてを出し切った俺はそれ以上動くこともできず、重力に身を任せる。久しぶりの太陽が再び遠ざかる。また泥まみれになるのか……せっかく着替えたのに。まあ、それもいいかな。目的は果たせたんだ。これ以上は、高望みってやつだろう。
と、思ったところで。
「ヤッホー、勇人。お手本にしたいくらい、きれいないいとこどりじゃん。気分はどうだ?」
「翔……」
翔に足をつかまれていた。一人も二人も変わらないと言わんばかりに、翔は力強く飛んでいく。遠のいたはずの光が、俺を包み込んで、天に昇っているような錯覚を引き起こす。そうだよな。俺には仲間がいる。それだけで、俺はどんな不可能も乗り越えられる、そう思った。
どんな気分かって? 決まってるだろ?
「……最高だよ」
そこで、俺の意識は途切れた。
いつしか月一で投稿するなんて妄言を吐いた気もしたのですがね……
ただ、前書きの通り、地道にではありますがやっていく心づもりではあるので、それでもよろしければ、今後ともよしなにお願いします。




