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神童君は異世界で本気を出すようです。  作者: Sonin
第一章 狂王と愚王
15/38

第10話 生存者

小説家って凄いって改めて知りました。

戦闘描写ェ……

  Side:Tsukiyo



 俺が今いるのは『始まりの迷宮』19階層。最下層の一つ手前である。


 さて、俺が死んだことになってから一週間が経った。六日で13階、つまりは一日2階ペースだ。チート万歳!!


ちなみに、今のステータスがこれだ。



 ―――――――――――――――



 名前:進藤月夜

 種族:普人族

 性別:男

 年齢:16歳

 状態:疲労


 Lv. 8

 HP. 1260/1260(+1000)

 MP. 880/880(+800)

 STR 581(+500)

 VIT  596(+500)

 INT 1193(+1000)

 MEN 840(+700)

 AGI 828(+700)


 称号 : 【神童】

      【情報通】

      【偽りの仮面】

      【異世界人】

      【Sophia】

      【闇神の加護】

 固有スキル:[天賦の才Lv.1]

 特殊スキル:[神格]

       [高速思考Lv.1]

       [並列思考Lv.2]

       [完全記憶]

       [解析]

 スキル : [千里眼Lv.MAX]

       [聞き耳Lv.9]

       [言語理解]

       [解析]

       [偽装Lv.2]

       [表情操作Lv.3]

       [人族語理解]

       [闇属性魔法Lv.8]

       [複写Lv.11]

       [読唇術Lv.1]

       [魔力感知Lv.4]

       [魔力回復Lv.5]

       [魔力操作Lv.4]

       [詠唱省略]

       [短剣術Lv.5]

       [罠発見Lv.1]

       [罠解除Lv.3]

       [威嚇Lv.2]

       [土属性魔術Lv.3]

       [認識阻害Lv.2]


 ―――――――――――――――



 【 つきよ はスキルをたくさんしゅうとくした 】


 的な。より一層カオスが酷くなりました。まる。




 このダンジョンの魔物は、動物系統が多い。1階層のホーンラビットに始まり、コボルト、大トカゲことモニターなどなど。


 俺は、当然だが地球で生き物を殺した経験はない。あ、虫に関しては除くぞ?


 それでだ、こっちの世界の魔物は殺さなきゃこちらが殺られる。明確な悪意、いや、殺意を持った動物が殺しに向かって来るのだ。それは本能的な恐怖を起こさせる。そいつは平和馴れしきった俺には大きなものだった。今でこそ慣れたが、最初の頃は大変だったものだ。

 魔物の殺意に恐怖し、ろくに動くこともできず、なんとか倒したとしてもその臭い、光景、感触に吐き気を催した。というか吐いた。何回も。

 それでも人間適応力は高いようで、今ではそういったことになんの忌避感も抱かなくなった。

 順調にこの世界に慣れてきたようで何よりだ。


 そして10回層のボス、ミノタウロス。いや、あれはやばかった。ミノさん舐めてたわ。武器がコボルトから奪った短剣しかなかったっていうのもあるけど、あの迫力にはビビったね。自分より遥かに大きい怪物が敵意剥き出しで襲いかかってくるんだから、恐怖を感じるなというのが無理な話だ。一回逃げたもん、俺。

 で、落ち着いてミノさん倒したのが三日前。そっからまた地道に攻略して行った訳ですよ。[土属性魔術]を使うもぐら、グランドモールとか、[認識阻害]使ってくる人狼、ワーウルフとか。

まぁ、おかげでスキルはめっちゃ習得したけどね。ただ、[天賦の才]では特殊スキルの習得はできないみたいで、残念だった。



 ちなみに、ダンジョンの罠攻略。これが一番楽だった。だって場所分かるんだもん。[魔力感知]で。この世界は魔法が存在する故に、全てを魔法(魔術)で補ってきた。だから、罠も全部魔力で動いてるんだよな。だから俺には何の意味もなさなかった。だから正直、[罠発見]スキルは死にスキルに……



 じゃあ次、外の話をしようか。外の様子は[千里眼]でばっちり把握済み。

 実はこのダンジョン、只今封鎖中である。

 そりゃそうだ。一応表向きは魔族が出たってことになってんだから。実際のところは闇ギルドの殺し屋なんだけど。そういうわけだから、入り口引き返すこともできない訳で。レベル上げに勤しんでるってわけですよ。

 もちろん、食料の準備は万端である。事前に買い込んどいた。流石の俺でも、何も食わなきゃ死んじゃいます。


 クラスメートたちの方は、どうやら「同郷の死」という精神的圧力に潰されなかったみたいだ。少し心配だったけど、明上が率先して皆を引っ張ってる。数日すれば、また訓練が始まるだろう。まぁ中には戦場に出られそうもない奴らもいるみたいだが。

 あと、天霧と文野が王城を出て行ったみたいだ。多分、「こんな国信用できない」とでも言ったんじゃないかね。まぁ、あいつらならうまくやるだろう。



 で、このダンジョン。残るは最下層のみだ。ボスの名はマンティコア。合成獣(キメラ)の一種だ。見た目は蝙蝠の皮膜とサソリの尾を持つ紅い獅子、と言った感じらしい。本で調べただけの情報だから本当かどうかは知らん。

 気を付けるべきは尾の毒針だけ。ソロプレイ中の状態異常ってホントやばい。もうね、MMORPGでは状態異常回復系アイテムは必需品だったよ。えぇ、ぼっちでしたが何か?

 しかし、それ以外は雑魚と何も変わらない。下手に策なんか弄さないで、正面からぶつかれば勝てる。それだけは確実だ。


 その確かな自信と共に、俺は最下層へと下りて行った。




  ◇◆◇




 降りると目の前には大きな扉が現れた。10階層と同じ、ボスの大部屋だけの造りのようだ。余計な小細工はなしか、いいね。


 意を決して扉を開けるとそこには……はい、いらっしゃいました。ここの住人、紅獅子さんでございます。すみませんねー、お邪魔させてもらいます。紅獅子は、俺の存在に気付くと吼えた。


「グルァァアア!!」


 いきなり毒針かよ!


「“土壁(アースウォール)”!」


 [解析]などする暇も無く、咄嗟に[土属性魔術]で防御。奴の放った毒針を防ぐと同時に、闇属性魔法を発動。ただの暗闇をイメージする。名付けるなら“夜の帳(ブラックカーテン)”ってところか。


 これは[並列思考]があるからこそできることだ。一人で同時に魔法(魔術)を行使するのは、普通は不可能だ。あぁチートって便利。


 魔法が発動した瞬間、部屋が黒一色で満たされる。

 フッ……これで勝ちは頂いたな。これこそ俺の編み出した必勝法だ。相手は何もできないが、俺は[魔力感知]で一方的にボコれるというある種のハメ技である。セコいなどと言ってくれるな。所詮この世は弱肉強食。強ければ生き、弱けれb「グルァァア!!」って危ね!? 何でこっちの位置が分かるんだよ!?


 やつの猛攻を躱しつつ[解析]する。

 ……あれ?それっぽいスキルがない。つまりはスキルに頼らない感覚……?



 ……そうか、則ち嗅覚。匂いというわけか。



 なるほど。嗅覚で場所を特定するとは、今までの雑魚とは違う様だな。流石ボス、ネコ科の動物といったところだな。違うか? 違うな。


 てか、俺は何をやってんだ。自分で言ったんじゃねえか。『正面からぶつかれば勝てる』って。

 テンパってるぞ。落ち着け……落ち着け……Be cool………Yes , I'm OK.


 下手なことはしないでいい。ただ単純に力比べで勝てる。技術なんて二の次だ。正面から、正々堂々、圧倒的ステータス差で捻じ伏せる!!


「ハァッッ!!」


 向こうから奴も駆けて来るが、こちらも真正面から迎撃に向かう。



 ――――あと3歩。



 俺の姿を捉えた奴は前脚を振りかぶり、爪撃のモーションに入る。



 ――――あと2歩。



 目の前まで迫った俺に、奴は容赦なく脚を振り下ろす。



 ――――あと1歩。



 が、800を越えるAGIのおかげで俺はそれを難なく躱す。



 ――――あと0歩。



 低い姿勢から、短剣を持たない左手で奴の顎に掌底を放つ。マンティコアは大きく姿勢を崩す。その隙を逃さず、俺は右手に持つ短剣を奴の眉間に全力でぶっ刺した。


 技術も何もない攻撃だが、圧倒的ステータス差により馬鹿みたいな量のダメージを与えた。そして、マンティコアは呆気無く倒れた。ワンパン○ンって名乗っていいかな? 二発殴ったらダメか。





「疲れた~てか終わった~」


 そうして床にへたり込む。見ると奥の扉が開き、その先に宝玉と魔法陣が2つ現れた。あれがダンジョンコアか。つまりあれを盗むか壊すかすればダンジョンが崩壊する訳だ。まぁそんなことしないけど。


 手前側の魔法陣は入り口へ繋がっているのだろう。だが、奥のもう一方は? 一体どこに繋がっているんだろうか? 全く見当はつかないけど、そちらに行くしか選択肢はない。こんなときにダンジョンの入り口から出てくる人間など、怪しんでくれと言っているようなものだ。即警備兵に捕まって王城に逆戻りだろう。テンプレ的には「実はこの下に更なるダンジョンが隠されていました!」が濃厚だと思うが、さてさて。


 しばらく座り込んでいた俺は、願わくば、人のいないところに出ますようにと、そんな淡い期待を胸に魔法陣へ踏み込んだ。




  ◇◆◇




「はぁ~~ベッドだぁ~~!」



 久しぶりのベッドにテンションが上がり、俺は早速横になる。


 ここはゲヌビとかいう街の宿屋の一室。高い料金を払っただけあってなかなかいい部屋だ。朝夕の食事に良質なベッド。この世界においてはそれすらも貴重なものなのだ。



 魔法陣の先にあったのは、ちょっとした丘陵地帯だった。おそらく魔族の拠点だった頃の名残なのだろう、あの魔法陣は。知らんけど。


 ゲヌビはその近くにあった高低差が大きい街だ。既に夜だったし、かなり疲れていた俺はとりあえず身体を休めるために宿屋を探すことにした。そうして見つけたのがここ『女神亭』である。宿に入ると確かに女神が出迎えてくれました。……50代くらいの。


『あ”あ”?!』ドンッッ!!


 ヒィッ!! スミマセン!!

 下から部屋の床を殴られたようだ。………。……天井ドン………だと?



 宿屋を探している間の聞き込みにより、ここゲヌビは王都の南側、公国寄りにあるということが分かった。

 これからどうしようか迷ってたんだが、丁度いいし公国に向かうか。元王国民が造った国だ。俺の知らない事情も知ってるかもしれない。


 よし、じゃあ準備が整い次第出発しよう。準備、と言ってはいるが物資を揃えればいいわけではない。今の俺がすべきことは、


・今後の方針を固める

・身分証の入手

・資金の調達

・物資の調達

・自身の強化


 こんなもんか?

 さて、じゃあ………




       ……寝よ。




 一週間、寝床すらない環境で生きてきた俺は、ふかふかのベッドが放つ誘惑に勝てなかった。




  ◇◆◇




「おはようございます」


「おはよう。よく眠れたかい?」


「えぇ、お陰様で」


「そりゃあ良かった。

 朝飯もできてるよ。冷めないうちに食べてくれ」


「はい、ありがとうございます」


 朝、階下に降りてきた俺はばったりこの宿の女主人とあった。男勝りなおばちゃん(女神)である。女神ですハイ。


 出てきた食事は簡素なパンとスープである。

 王城での初日、異世界だから訳分からないものが出されると思っていたものだが、出てきたのはごく普通な食事だったので驚いたものだ。

 何でも、『食の勇者』と呼ばれる五代目勇者がこの世界に食革命を起こしたらしい。……どうして勇者ってのはそんなのばっかなんだろう。やりたい放題か。いや、嬉しいけど。


 そんな訳で朝食をいただく。ほう、これはなかなか……


「ごちそうさまでした」


「はいよ。お粗末さま」








 朝食を終えて自室に戻る。


 とりあえず、方針の決定をしますかね。全てはまずそこからだ。




俺の最終目標は?

 ――愛される価値のある人間になることだ。




そのための今後の目標は?

 ――勇斗たちが日本に帰る手助けをすることだ。




じゃあ何をするべきだ?

 ――王国の異変を解決する。




ならば当面は――

  公国で調査、そして自身の強化。




 ……決まったな。王国に起きている異変の謎を解き、あの国王に太刀打ちできるまで強くなる。




 『神童』の本気。見せてやるよ。



Skill


・[読唇術]

唇の動きから、声が聞こえずとも何を言っているか推察する。


・[魔力回復]

MPの回復が速くなる。


・[詠唱省略]

魔術発動時の詠唱を省略し、呪文(スペル)名を言うだけで魔術が発動できる。


・[短剣術]

短剣の扱いが上手くなる。練度はスキルレベルに依存する。


・[罠発見]

罠の存在に気付き易くなる。


・[罠解除]

見つけた罠を解除できる。スキルレベルが上がるにつれて、複雑な罠も解除できるようになる。


・[威嚇]

敵意を込めた魔力を叩きつけ相手を威嚇する。 


・[土属性魔術]

土属性魔術を使えるようになる。



Spell


・“土壁(アースウォール)

土属性魔術の初級呪文。土の壁を作り出す。自身のいる位置から離れたところを指定するほど、多くの魔力を食う。

ただ、これは魔術・魔法の全てに言えることで、発現させる位置は自身から遠いほど魔力の消費量は増える。


・“夜の帳(ブラックカーテン)

闇属性魔法の上級呪文。月夜のオリジナル魔法。何の変哲もない暗闇で辺り一帯を覆う。中級呪文“暗闇(ダークネス)”の範囲を広げただけとも言える。



Monstar


・ホーンラビット

角が生えただけのウサギ型の魔獣。魔獣なので高い身体能力を持つだけに留まっている。


・コボルト

二足歩行する犬型の魔物。属性は土。武器を自作する程度の頭脳と器用さを持ち、[追跡]でしつこく追ってくる故に、危険度は単体でE、集団でDランク。


・モニター

大トカゲ型の魔獣。その大きさに怯む冒険者は多い。


・ミノタウロス

牛頭の巨人という姿の魔物。属性は土。ダンジョン『始まりの迷宮』の10階層のボス。高いSTRと右手に持った大斧が厄介。しかし動きは愚鈍なので、落ち着いて対処できれば比較的簡単に倒せる。


・ワーウルフ

人狼型の魔物。属性は風。[瞬動]と[認識阻害]を組み合わせた攻撃は見極めるのが難しく、パーティーの連携を崩されやすい。


・グランドモール

モグラ型の魔物。属性は土。魔術を使ってくる珍しい魔物だが、本体の能力値はそこまで高くないので、接近戦になると弱い。


・マンティコア

キメラ型の魔物。属性は無い。ダンジョン『始まりの迷宮』の最深層のボス。バランスのよい能力値に加え、[身体強化]、尾から飛ばされる毒針、体力が減ったときの[狂化]などを使ってくるので、戦いが続く程に苦戦を強いられる。

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