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神童君は異世界で本気を出すようです。  作者: Sonin
第零章 プロローグ
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プロローグ1

 人生小説初投稿です。よろしくお願いします。


 

 むかしむかし、とてもゆたかな国がありました。精霊もたくさんすんでいる、きれいな国でした。



 しかしあるとき、魔王が生まれてしまいました。魔王軍の魔物たちは、たちまち国へせめてきました。国のへいしもたたかいましたが、魔族にはかないませんでした。



 きゅうちにおちいった王国に、ある日異世界から勇者様がやって来ました。勇者様は国王様から国宝の聖剣を承ると、お国のため、愛する姫様のために、仲間といっしょに旅を始めました。



 勇者様は魔族をつぎつぎと倒して、ついに魔王の城へたどりつきました。仲間と共に魔王に立ち向かう勇者様。それはそれは激しいたたかいでした。しかし、勇者様のこんしんのいちげきによって魔王はたおされれました。



 魔王がいなくなった王国には平和がおとずれました。国の危機を救った勇者様は姫様とけっこんし、いっしょに元の世界で幸せに暮らしましたとさ。



 めでたしめでたし。




 __________________




「ねぇ、ママ?」


「なぁに?」


「『ゆうしゃさま』ってすごいんだよね!」


「えぇ、そうよ」


「じゃあ今いる『まおう』も『ゆうしゃさま』が倒してくれればいいのにね」


「大丈夫よ。きっとまた勇者様が現れて、魔王なんか倒してくれるわ。勇者様はとても強いんだから」


「そっか! ぼくもゆうしゃさまに会えるといいなぁー♪」


「……そうねぇ。さぁ、もう夜遅いから早く寝んねしましょう」


「うん。おやすみなさい……」


「えぇ。おやすみなさい」





「ようやく眠ったかい? まったく……毎晩毎晩同じ絵本とはね。あの子にも困ったものだね……」


「ふふ、そうね。いったい誰に似たのかしら。

 ……ところで、実際はどうなの?勇者様はお呼びできそう?」


「……宮廷魔法使いを全員集めてようやく、といったレベルだよ……あとは姫様次第かな」


「そう……明日なのよね?頑張って。私たちの希望なんだから」


「あぁ、分かっているさ。ありがとう。

 すまないが明日も早い。もう寝ようか」








 王国中に勇者召喚の知らせが広まったのは、それから間もなくのことであった。





  ◇◆◇





月夜(つきよ)! 頼む! この通りだ! お前しか頼れるやつはいないんだ!」


「嫌だよ。なんで俺がお前にそんなことを教えてやらにゃあならんのだ」


 俺はそう言って呆れ顔を作る。話し相手の名は立花彰従(あきと)。アレな言動(男子高校生らしい、とだけ言っておく)が目立つお調子者。という風なのだが、実際は女子と手をつないだだけでも赤くなるような純情でやさしいやつだ。周囲にもそれは知れ渡っているため、クラスメートの皆もほとんどが温かい目を向けている。

 それを知りもしない立花は続けた。


「なぁ、情報屋なんてしているからには、お前は知ってるんだろう? 教えてくれよ。御巫の……スリーサイズを!!」


「シラナイヨ」


「嘘つけ!」


「本当本当。ツキヨ、ウソ、ツカナイ。

 てかまず、俺はプライバシーを侵すような情報は売らない主義なんだ。情報は信頼が物を言う。そんな危険な真似できるかっての。

 それにお前は情報に見合う対価をもっているか?」


「ぐっ……そうだ、武田先生のお見合いがまた失敗し「知ってる」た、らし…い……。………………くそぉ!!」


 あいつはホントに無駄だと分からないのかね。これで何回目だよ。立花は乱暴に教室のドアを開けると、女の子走りで駆けていった。スマホのカメラを構えていると、ようやく他の生徒が入ってくるのに気づいた。いつも通り、三人で登校ようだ。


「やぁ、月夜。おはよう」

「おはよう!月夜くん!」

「おはよ」


 明上(あけがみ)勇斗、御巫彩星(みかなぎあやせ)、村雲楓の三人があいさつしてきた。

 ちなみに、全員が名前で呼んでくるのは俺が人気者だから、ではない。進藤という名字が好きではないので、下の名前で呼んでもらうよう俺から頼んでいるのだ。決して女子に下の名前で呼ばれたいなどという下心ではないので悪しからず。


 撮れた写真を確認する。うむ、よく撮れてる。誰かにリークするか先に自分で加工して遊ぶか、迷うな……


 村雲はさっさと自分の席に向かってしまったが、二人は荷物を置いて再びこちらへ向かって向かってきた。どうやら、HR開始まで話す気満々のようだ。俺はスマホから顔を上げて口を開く。


「あぁ、おはよう。にしても、ほんと仲良いよな。高校でも幼なじみ同士で一緒に登校とかさ。小学校からだろ?」


「そうかな? 普通は三人揃ってっていうのはあんまりないぞ。今は試験前で朝練もないしな。俺だけ早く来る理由もないだろ?

 俺からしたら、一緒に来ない理由がなければ一緒に登校すればいいんじゃないかと思うけどね」


 普通、この年ごろなら気恥ずかしく感じるもんなんだよ。そう口にしようかと一瞬思ったが、言ったところで話が展開されるわけでもない。


 にしても、こんなことを平然と言ってのける辺りがこいつらしい。サッカー部エースにして次期部長。テストは総合学年10位に入る実力者で顔も性格も言うことなし。それはもうモテるモテる。しかし今までの告白は全て断ったそうで、今ではそんな真似する人はいない。虎視眈々と機を伺ってるやつは数名……てか十数名いるが。


 ちなみに俺はそういう人はいないし、作れるとも思ってない。

 え? 聞いてない? 知ってる。


「まぁいい。それより、どうだ?明後日に迫った定期試験のヤマ。知りたくないか?聞いておいて損はさせないぞ?」


「うーん…じゃあ教えてもらおうかな」


「あ、わたしもー! 月夜君のヤマめっちゃ当たるしね! 赤点はもう嫌だー!! いくら?」


「中間試験のときと同じでいいぞ。一科目200円」


「わかった。じゃあ……現国と世界史を」


「私は全部!」


「毎度ありー。

 そうだな、今回は恐らく―――――



 そんな他愛ない会話をしているとHR開始のチャイムが鳴り、担任教師が入ってくる。


 また変化の乏しい一日が始まる。受ける価値の見出だせない授業、そしてこの繰り返される日常のことを考えると、俺は心の中でため息をついた。


  Vocabulary

 精霊…魔法を使うのに必要不可欠な存在。人間の正の感情や豊かな自然があるところに集まりやすい。


 魔王…人族や亜人族と対立している魔族の王。魔物や魔族を率いる。


 勇者…魔王を倒したとされる人族の希望。今では魔王を倒すために召喚される異世界人たちを指す。


 情報屋…進藤月夜がある目的のために営む職業(?)。周りには「個人的な趣味と小遣い稼ぎを兼ねたお遊び」と説明している。情報を買うには対価としてお金かそれに見合う情報が必要。




 読みにくい点などありましたらご指摘下さい。


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