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その1
好きだよというのはこわかった
でも、いつか言わなきゃいけないことだと知っていた
いつまでも縛り付けて、がんじがらめにしていると、僕は自分の心を失いそうだった
人を好きになるのはたのしいことだ
人を好きになるのはうれしいことだと思う
それとおなじくらい辛いのだ
中学校で一番楽しかった思い出だ
勇気を出して、お祭りに行こうと誘った
あの子はいいよと言ってくれたのだ
僕は嬉しかった。それで、僕は喜んであの子を連れてお祭りに行った
でも今はもういないのだ
お祭りでは焼きそばを買って食べて、それはとても美味しかった
きっとあの子が隣に居てくれたからだ
そんな気がする
僕は今でも思い出す
お祭りを見ると、あの日のことを
楽しそうな子供たちを見て、僕のことを
夕焼けを見て、あの子のことを
晴れた日の青空の下で僕は小さく呟く
だから、僕は春が好きだ