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この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。

ヤンデレ少女より愛をこめて

作者:Ghost SAF
まさか初めての恋愛作品がヤンデレになるとは、人生なにが起きるか分かりませんね。
なお、今回も例によって変なところをリアルに(こだわって)書いているので、かなり強烈な内容になってしまった事をご理解ください。
 どこにでもいそうな雰囲気の平凡な容姿で少し前に高校2年生になったばかりの少年、松井俊也まついしゅんやは非常ベルみたいな音のする目覚ましで朝の7時過ぎに強制的に叩き起こされると、うわ言のように悪態を吐きつつも学校へ行く為の準備を1つ1つ片付けていった。
 そして、いつもと同じ時間に駅へ向かおうと玄関のドアを開けて外に出たところで、門の近くで待っていた1人の少女から穏やかな笑顔と共に透き通るような声で朝の挨拶をされる。

「おはよう、俊くん」
「ああ、おはよう」

 その声を聞いて彼も普通に挨拶を返すが、なぜか少女を待たせていた事に対しては謝りも驚きもせずに自分のペースで目的の場所へ向かって進んでいく。
 勿論、そんな対応をとったのには理由があり、彼が小学生の時に偶然いじめられている彼女を助けたのがきっかけで知り合い、同い年で家も近かった事もあって仲良くなった幼馴染みで、こうして学校のある日の朝は門の所で待っているのが同じ中学に通いだした頃からの日課みたいになっていたからだ。
 一応、始めは彼の方も毎日のように外で待たせるのは悪いと思って断った事もあったのだが、そのたびに彼女は笑顔で『私が好きでやってることだから』と言って止めなかった。
 ただ、幸いにも2人が通う学校は中高一貫の私立校な上に電車通学だったので、彼は家を出る時間を毎日同じにする事で彼女の負担を減らしていた。

「また同じクラスになれるといいね」
「そうだな。でも、こればっかりは運だからなぁ……」
「もう、そういう夢のないこと言うの禁止」

 いつものように駅に向かって並んで歩いている途中、気心の知れた幼馴染みという事もあって2人は他愛のない会話を交わしている。ちなみに、ただ普通に道を歩いているだけなのに彼らは周囲の人達の視線を独り占めしていた。
 勿論、そうなった原因は平凡を絵に描いたような雰囲気の俊也ではなく、その隣を優雅な足取りで颯爽と歩く少女にあった。
 なぜなら、連城綾乃れんじょうあやのという名前の少女は同年代の女子と比較しても明らかに背が高く、歩く際の姿勢の良さもあって身長が170cmを僅かに超える俊也の隣にいても身長差をまるで感じさせない。
 そして、親しみを感じさせる大きな瞳とすっと通った鼻梁によって芸術作品のように整った美しい顔立ちは異性だけでなく同性すら惹き付け、腰まである手入れの行き届いた艶やかなストレートの黒髪が見事な相乗効果をもたらして彼女の容姿を至高の域にまで押し上げていたからだ。
 さらに、ブレザーの制服を大きく盛り上げている事からも分かるように年不相応に発育した豊かなバストやチェックのスカートに包まれた形の良いヒップ、それらとは対照的に無駄なく引き締まったウエストにモデルのように長くしなやかな手足とスタイルに関しても非の打ち所がない。

「あ、そう言えば新学期が始まってすぐに実力テストがあるから、ちゃんと試験勉強はしておいてね」
「まったく……、朝っぱらから嫌なこと思い出させるなよ……」

 綾乃の口から実力テストと聞いて心底嫌そうな顔でうなだれる俊也とは反対に、自分で話を振っただけあって彼女はイタズラの成功した子供みたいにクスクスと笑っている。
 それは本当に親しい者の前でのみ見せる特別な表情でもあり、お嬢さまのような雰囲気とのギャップから反則的なまでの可愛さを作り出していた。
 なお、こういう反応を示した事からも分かるように彼女の方は頭も良く、進学校としても有名な学校で頻繁に実施される各種のテストの成績ではトップ3の常連だった。
 もっとも、テストの成績なら俊也も決して悪い方ではなく、さすがに彼女みたいに毎回ではないもののトップ10圏内にはかなりの高確率で名を連ねており、今の反応は単にテストを受けるのが面倒くさいから嫌がっているだけである。

「それじゃあ俊くんは、実力テストと同じで新学期恒例の体力測定と比べたら、どっちがマシだと思ってるの?」
「そんなの、テストに決まってるだろう。なにが悲しくて、あんな無駄な事に貴重な体力を使わなきゃいけないんだ……」
「そう? 私はどっちも好きだけどな~」
「この完璧超人め」
「ふふ、ありがとう」

 そう言って彼女は、またクスクスと可愛らしく笑う。どういう訳か昔から彼女は勉強やスポーツ、果ては芸術においても極めて優秀で、自他共に認める努力家なのを差し引いても天才としか言いようのない好成績を多くの分野で残していたのだ。
 それに対して彼の方は運動については絶望的なまでに成績が悪く、特に持久力や球技といった分野では壊滅的なまでに悲惨な結果しか残せていない。具体的には余裕で中学生に負けるレベルである。
 そして、こんな調子でテンポ良く会話を交わしながら歩き続けて駅へと辿り着いた2人はいつものように満員電車に揺られ、同じく電車通学をする他の生徒達に混じって学校の最寄り駅で降りる。
 すると、ここでも周囲を歩く学生(主に男子)から諦めが入っているものの羨望と嫉妬の入り混じった視線を次々に浴びせられ、げんなりした様子の俊也が綾乃にだけ聞こえる大きさの声で呟く。

「新学期って事は、またこれが続くのか……」
「みんな私達の関係を知っててやってるんだから、そろそろ素直に認めて笑顔の1つでも返してあげればいいんじゃない?」
「多分、それは一生ムリ」
「ふ~ん、そんな風に思ってるんだ……」

 彼女からすれば気を利かせたつもりだったのだが、回りくどい表現では鈍感な彼には効果が無かったらしく、思い切り素で返されたので彼女は少し拗ねたような表情で囁く。もっとも、そんな仕草でさえ美少女がやると絵になるようで、遠巻きに2人の様子を見守っていた周囲のざわめきが大きくなった。
 ちなみに、2人の関係は友達以上恋人未満というやつなのだが、中学受験を経て同じ私立校に入ったのをきっかけに常に一緒にいるような状態になったのと、人の出入りが比較的少ない中高一貫校という特殊な事情もあって今では半ば公認のカップルみたいな扱いを周囲からは受けている。
 さらに、互いの親同士の関係も極めて良好で日常的に家族ぐるみの付き合いがあり、そのせいで両家の人間が集まると必ず1回は『2人の結婚式はいつなんだ?』とからかわれていた。

「よう、お2人さん。新学期初日から2人の仲の良さを見せつけてくるとは、さすが校内一のベストカップルはやる事が違うよな」

 ちょうど2人が校門をくぐって敷地内に入ろうとしたタイミングで後ろから俊也の肩を軽く叩き、からかうように声を掛けてくる者がいた。

「だから、俺達は恋人じゃないって前から言ってるだろう。長い付き合いなんだし、いい加減、そこら辺の事情は察しろよな」
「そっちこそ、いい加減に恋人同士だと素直に認めたらどうなんだ? はっきり言って学校でも家でも公認のカップルだったら、それを今さら認めたところで何も変わらねえんじゃねえの?」
「なんで、そんな風に話が飛躍するんだよ。大体、周りが勝手に騒いでるだけで事実とは違うんだから訂正して何が悪い」

 俊也に何を言われても平然と話を続ける少年は藤堂恭平とうどうきょうへいという名前で、彼とは中学生になったばかりの頃から付き合いのある悪友だった。
 ただ、恭平は見た目や普段の言動のせいで初対面の相手には軽い印象を与えてしまうので損をしている事も多いのだが、いざという時には頼りになる人物なので付き合いの長い周囲からの評価は悪くなく、同じく言動に問題があるものの裏表のない性格の俊也とは出会って数日で打ち解けたというエピソードまで残されている。

「おはよう、藤堂くん」
「おはようございます、綾乃お嬢さま」
「あら、悪いわね」

 そんな中で男子2人の会話が途切れたタイミングを上手く見計らって綾乃が笑顔で挨拶をすると、その瞬間に新しいネタを思い付いたようで恭平はわざとらしく執事みたいな仕草で挨拶を返すのと同時に彼女の持っていた鞄を受け取った。
 勿論、これが彼の仕掛けた遊びだというのは初めから分かっていたので2人とも直ぐに普段の調子に戻ると鞄は自分で持ち、そこから先は学生らしく3人で休みの間にあった出来事などをネタにわいわいと騒ぎながら目的の場所へ向かうのだった。
 もっとも、綾乃がお嬢さまというのは紛れもない事実で、彼女は日本でも有数の資産家の一人娘として知られているのだが、それを自慢したり高飛車になったりせずに誰にでも優しく接する上に面倒見も良いので男女問わず人気がある。
 さらに補足を加えると、3人の通う学校に多額の寄付を行っているのも彼女の父親なのだが、そういった運営に関する事情を知る者は非常に少ない。その後、3人はクラス分けを記した紙が掲示されている場所へ辿り着いたのだが、そこは当然のように同じ目的で集まった生徒達であふれ返っていた。
 ところが、ここで有名人の綾乃がやって来た事で状況にも変化が起こり、彼女の存在に気付いた皆が自主的に進路を譲ってくれたお陰で3人は大して苦労もせずに自分のクラスを確認できた。

「どうやら、今回も私の予感が当たったみたいね」
「そんなにクラスの数は多くないんだし、たまたまだろう?」

 この会話からも分かるように綾乃と俊也は今年も同じクラスになった。すると、そこへ少し残念そうな表情を浮かべた恭平がやって来る。

「やっぱり、夫婦となると運も味方したか」
「ちょっと待て。なんで恋人から夫婦に変わってるんだよ」
「それで、藤堂くんは何組だったの?」
「残念ながら、こっちは去年に続いて4組だってさ」

 なお、俊也と綾乃は1組なので4組の恭平とは体育などの合同授業でも一緒になる事は無い。先程の彼の反応には、そういった事情を知るがゆえの感情が含まれているのだ。

「それにしても、5年連続で同じクラスになるなんて奇跡が現実に起こるんだな」
「いや、いくらなんでも異常だろう……」

 とりあえず、当初の目的は果たせたので彼らはクラス分けの発表を見ようと集まっている無数の生徒達の中から抜け出し、その人混みを横目で見ながら俊也と恭平が今年度のクラス分けについての感想を短く口にする。
 実際、俊也と綾乃は中学1年の時からずっと同じクラスのまま現在も記録更新中なのに対し、親友である恭平が彼らと同じクラスになったのは2人と知り合った中学1年の時の1回だけなのだ。それを考えると、これが非常に珍しいケースなのは事実だった。

「まあ、お互いに言いたい事は色々とあるだろうが、こんな所で話してても他の奴らのジャマになるだけだし、続きは向こうへ移動してからにしないか?」

 そう言って恭平は全校集会の行われる講堂がある方向を片手で指し示し、今いる場所から移動しようと残りの2人に提案する。しかし、彼の提案を聞いた2人の返答は違った。

「ああ、そうだな」
「悪いけど、2人は先に行っててくれる? 私は職員室に用があるから」

 当然、それを聞いた俊也が気を利かせて用事に付き合っても良いと言ったのだが、さすがに自分の都合で長時間待たせるのは悪いと思ったのか、彼女は思わず見惚れてしまいそうになる程の優しい笑顔を彼に向けて提案を断る。

「なんだったら、外で待ってても――」
「ありがとう。でも、長くなると思うから先に行ってて」
「じゃあ、また後でな」
「また後でね、綾乃ちゃん」

 こうして1人で職員室のある校舎の中へと入った綾乃は、ほとんどの生徒が講堂に向かった関係で不気味なまでに静まり返った廊下をコツコツと足音を立てて歩きながら怪しく微笑む。

『俊くんと一緒にいていいのは私だけなの。だから、誰にもジャマはさせない……』

 こうして1人になった瞬間、恭平を遠ざけて自分と俊也だけが同じクラスになるよう自らの立場を利用して毎年裏から手を回していた事を思い出し、彼女はクスクスと小さく声を上げて笑うのだった。

   ◆

 その容姿と性格から校内では知らない者などいない程の有名人となっていた連城綾乃の心を大きく揺さ振る出来事が起きたのは、ちょうど梅雨の時期が間近に迫っていた5月下旬の事である。
 ことの始まりは本当に偶然なのだが、彼女が教師に頼まれた用事を片付けようとして放課後に1年生の教室の前を通りかかった時、そこから聞こえてきた話し声の中に聞き捨てならない単語が含まれていたので思わず表情を強張らせて足を止めてしまったのが崩壊への序曲だった。

「ねえ、それって2年の松井先輩の事だよね?」
「う、うん……、そうだけど……」

 もっとも、そうやって感情を表に出したのは一瞬で直ぐに我に返った綾乃は周囲を素早く見回して自分以外に誰もいないのを確かめると声が聞こえてくる方へと近付き、僅かに開いたドアの隙間から教室内をのぞいて最初に顔と声を一致させた上で改めて会話の内容に耳を傾けた。
 すると、そこでは自分たち以外は誰も聞いていないと思っているのか、3人の女子生徒が窓際の席に集まって好きな異性についての話で盛り上がっており、運良く彼女達の話す内容が自分に関するものだという事まで直後に判明する。

「あれ? でも、その先輩って同じ2年の連城先輩と付き合ってるって聞いたけど?」
「あ、その噂なら、あたしも聞いた事あるよ~」
「うん。だから、私も最初は大人しく身を引くつもりだったんだ……。だけど、このまま何もしないで諦めるのは嫌って言うか、ただ逃げてるだけみたいな気がして……。それに、詳しく話を聞いてみると正式に付き合ってるのとは違うみたいだし……」
「ふ~ん。じゃあ、告白するの?」
「そうなる……、かな?」

 この学校は中高一貫校となっているが、当然のように高校から入学してくる生徒も多くいるので2人の関係を詳しく知らない者達にすれば、そういう考えを抱いても一向に不思議ではなかった。ただ、今までは綾乃が男子に告白されて断るケースばかりだったので問題が表面化しなかっただけである。
 そして、ここまで話を聞いたところで彼女は身を潜めていた場所から静かに離れて本来の用事を片付けに向かったのだが、去り際の彼女の表情は遠目にも暗く沈んでいるのがはっきりと分かり、その足取りも非常に重苦しいものとなっていた。
 なぜなら、俊也に告白すると宣言していた下級生の少女はたれ目がちで顔つきや声に幼さを残していたものの、明るい色の髪をリボンで結んでツインテールにした格好がよく似合っていて同性から見ても素直に可愛いと思える美少女だったからだ。
 しかし、帰宅する頃には綾乃の雰囲気や言動もすっかり普段通りのものに戻っていたので暗い感情を抱いた事は誰にも気付かれず、そのまま何事もない平穏な日々が暫くは続いて本格的な梅雨の時期である6月へと突入する。
 ちなみに、何かが壊れるきっかけとなった日は前日の夜から降り続いた雨が正午を過ぎても止む気配は無く、6月に入って急上昇した気温と相まって今年1番の蒸し暑さを記録した鬱陶しい1日だった。

「相手の娘の事を考えちゃって俊くんが断れないのは知ってるけど、本音ではどうにかしたいって思ってるんだよね? だったら全部、私に任せて。大丈夫、こういった場合の対処法は心得てるから俊くんは何も心配しなくていいよ」

 そう言って綾乃はスマホを片手に放課後の静まり返った校舎の誰もいない廊下を歩きながら話しているが、落ち着いて観察すれば彼女の瞳は微妙に焦点が合っておらず、おまけに彼女の手にしているスマホには電源こそ入っているものの実際には通話状態になっていない事が分かる。
 しかし、それらの些細な不審点を除けば他におかしな部分は無く、傍目には電話で普通に俊也と会話をしているようにしか見えなかった。つまり、今の彼女は妄想と現実の区別がつかない状態で一種の強迫観念にも似た何かに囚われて行動していると言っても過言ではない。

「あ、もうすぐ着くから切るね」

 視線を正面に戻して10mほど前方に階段が見えてきたのを確認した所で彼女は短く宣言し、妄想の会話(独り言)を終わらせてスマホを制服のポケットにしまうと、ちょうど階段の方からは死角となる場所に壁に張り付くような格好で身を隠して目的の人物が通りかかるのを息を殺して待った。
 すると、それから5分と経たない内に足音が聞こえてきて彼女の隠れ潜んでいる場所に人が近付きつつあるのを教えてくれる。
 ただし、その階段を下りているような足音は1人分しか聞こえないのだが、それは生徒や教師にしては妙にゆっくりとしたもので細かい事情を知らなければ不審に思って自分の目で確かめたくなる衝動に駆られていた事だろう。
 しかし、こうなる事が計画通りに物事が進んでいる証だと知っている彼女は高まる緊張感の中でも動揺した素振りは微塵も見せず、相手の方から視界に入ってくるのを落ち着いた態度で待ち続けていた。

『間違いない、あの娘だ』

 もっとも、近付いたところで目的の人物が両腕で抱えている大きな荷物(具体的には雑多な物が入ったダンボール箱)のせいで顔を直接は見られないのだが、階段を下りてきた人物が前に俊也に告白すると言っていた1年生の少女で間違いない事を確認した綾乃は声に出さずに呟く。
 それから彼女は相手に気付かれないよう注意しつつ、この瞬間の為に用意していた7~8個のパチンコ玉を対象の少女が次の階段に向かうタイミングに合わせて足元を狙って転がした。
 当然、少女は両腕で抱えなければならない程の大きさの荷物で視界の大半を塞がれていて正面だけでなく足元もよく見えておらず、またバランスもかなり悪くなっていた事から小さな悲鳴を上げるのと同時に足を踏み外し、そのまま派手にダンボール箱に入っていたガラクタを周囲にまき散らしながら凄い音を立てて階段を転がり落ちていく。

「きゃっ!」

 さらに、その場所は綾乃がわざと水をこぼして滑りやすくしておいた事もあって転倒した後も階段を落下する勢いは衰えず、彼女の攻撃対象になった少女は途中にある踊り場まで10m以上もの距離を一気に転がっていった。
 そして、物理法則に従って加速しながら落下した少女の身体が鈍い音を立てて床に叩き付けられると頭の付近から流れ出た血がじわじわと広がり、うつ伏せになったまま微動だにしない体勢や明らかに変な方向に曲がった足などと相まって傍目には死んでしまったかのようにも見える。
 だが、じっくりと観察すれば微かに呼吸をしているのが分かり、相当な重傷ではあったものの気を失っているだけで死んではいなかった。

「俊くんに迷惑をかける娘は私が許さない。それが誰であろうと絶対に……」

 ところが、そんな惨状を目の当たりにしても綾乃は助けを呼んだり救護処置をしたりする素振りは一切見せず、まるで感情のこもっていない虚ろな瞳で階段の上から床に横たわる傷だらけの少女を一瞥すると酷く冷淡な声で呟くだけだった。
 さらに、こうして目的を果たした事で少女に対する興味を完全に失ったのか、ほんの数秒後には何事も無かったかのように踵を返すと誰かに見付かる前に犯行現場から立ち去っている。
 なお、重傷を負った少女は綾乃が立ち去ってから10分ほど経過した頃に現場を偶然通りかかった教師によって発見され、そのまま救急車で近くの大学病院に運ばれて手術を受けたお陰で死亡という最悪の事態だけは回避している。
 そして、もう1つの幸いと言っても良い出来事は少女に人生を左右するような重度の後遺症がどこにも残らなかった事だが、それでもケガの程度を考えれば長期間に及ぶ入院と苦しいリハビリ生活が待ち構えているのは確実だった。
 ただ、そういった肉体的なダメージよりも遥かに深刻な影響を与えて日常への復帰を阻んでいたのは精神的なダメージの方で、荷物の中に混じっていたガラス容器が割れて飛び散った際に少女の顔に遠目にも分かる程の大きくはっきりとした傷を付けてしまい、その時の傷痕が原因で人目を避けるようになった彼女は俊也に告白をする前に自主退学という形で学校を辞めてしまった。
 なお、後に学校側の主導で行われた簡易調査では恨みを持つ人物やいじめなどを確認できなかった為に1年生の少女が重傷を負った経緯については、運んでいたダンボール箱そのものが初めから傷んでいたせいで箱の中に直接入れられていた大量のパチンコ玉が移動時の衝撃で隙間から零れ落ち、そこへ雨で床と階段が濡れて非常に滑りやすくなっていた事も加わり、パチンコ玉を踏んだ際にバランスを崩して転落するという不幸な事故として外部機関へは簡素な報告書が提出されただけである。
 もっとも、当初より事件性を指摘する声は内外に存在していたので根気よく丁寧に調査を続けていれば計画的に実行された傷害事件という答えに辿り着いたのかもしれないが、これ程の重大事件を起こす人間は校内にいないといった先入観や私学ゆえに学校に対するイメージの悪化を極端に恐れた運営側の思惑なども絡んできて最後まで徹底した調査が行われる事は無かった。
 なので、そんな理由で本格的な調査が実施されなかったのはラッキーな誤算だったとしても、ダンボール箱の中にガラス容器や大量のパチンコ玉を仕込んで危険度の上昇と事故に見せ掛ける為の偽装を行ったのは綾乃であり、それらの仕掛けを施した物を雨が降った日に標的に定めた1年生の少女に1人で運ばせるよう裏から手を回したのも彼女だという情報は本人しか知らないものとなった。

   ◆

 そうやって慌ただしく過ぎていく日々の中で1年生の少女が大ケガを負った事故の記憶すら徐々に薄れ始めていた7月中旬、期末テスト明けの開放感と目前に迫っている夏休みへの期待感から受験生を除く多くの生徒が大なり小なり浮かれていたのだが、そんな彼らとは正反対に連城綾乃の心には水底に溜まった淀みのように濃く暗い影が2週間前より日増しに広がっていた。
 そうなった原因は、ちょっとした偶然からテスト勉強の合間に自宅リビング前の廊下を通りかかった際に両親が松井家の引っ越しについて話しているのを耳にしてしまったからだ。
 もっとも、これは本人でさえ自覚していない上に家族や親しい友人達ですら知らない隠れた性格という扱いになるのだが、長期休暇などで学校へ行く必要が無くなると自動的に俊也と会う機会も激減するせいで休みが近付くにつれて彼女の精神まで不安定になるという厄介な問題を抱えており、こうして2つの要因が重なった今回のケースでは例年以上に危うい心理状態となっている。
 勿論、松井家の引っ越しについては数ある選択肢の1つであって現時点では彼の転校にまで話が及んでいないのだが、今まで経験した事のないレベルで精神状態が不安定になっている綾乃にとっては最早、手に入れた情報の真偽など関係がなくなっていたのかもしれない。

「昔からこんなにも互いに想い合っているのに、それを無視して私と俊くんを力ずくで引き離そうとするなんて、そんなの絶対に許さない……」

 やがて物事を何でも自分勝手な解釈で捉えるようになっていった彼女は何かに思い当たったみたいな表情をして立ち止まると、今まで誰にも見せた事の無いようなドス黒いオーラを放つ笑みを浮かべて酷く冷たい声で物騒な台詞を口走る。

「ああ、そっか……、そういう事ね。こうやってもっともらしい理由を付けては私と俊くんの仲を邪魔してくる連中は、みんな私達の敵なんだ……。だったら、そんな敵はどんな手段を使ってもいいから一刻も早く排除しないとダメだよね」

 そう呟いた彼女はどこか覚束ない足取りで自室へと引き返し、そのまま机に向かうと手近な所に置いてあったノートを開いて一心不乱にペンを走らせ始めた。
 おそらく、こうして机に向かう今の姿を本当の理由を知らない者が見れば真面目に勉強をしているように映ったかもしれないが、実際は俊也を自分の下に繋ぎ止めるのに必要だと彼女が一方的に思い込んでいる事柄をテスト勉強の時よりも気合を入れて考えていただけである。
 そうしてテスト勉強そっちのけでとんでもない計画を僅かな日数で立てた彼女は準備にも慎重かつ丁寧に取り組み、全てを終えると後は計画を実行するのに最適な日が訪れるのを周囲の人々に気付かれないよう静かに待った。
 そして、時間の経過と共に際限なく膨らんでいくドス黒い感情を見事としか言いようがない演技力で覆い隠した状態で迎えた夏休み3日目の午後、ついに彼女が心の底から待ち望んでいた瞬間が訪れる。

「こうして直接会うのは終業式以来だな、綾乃」
「毎日メールしてるから気付かなかったけど、言われてみれば実際に会うのは終業式以来ね。だけど、こんな所で立ち話をしてても暑いだけだし、俊くんは先に部屋に行っててくれる。私は飲み物とお菓子をもらってくるから」
「了解」

 いつもと変わらない様子で玄関に立ち、穏やかな笑顔と共に出迎えてくれた清楚な白いワンピース姿の綾乃と軽く言葉を交わすと俊也は靴を脱いで家へと上がり、脱いだ靴を簡単に揃えただけで早足に廊下を突き進んで階段も上ってゆき、どちらかと言えば豪邸の部類に入る彼女の自宅の中を1人で迷う事なく移動して目的の場所へと一直線に向かう。
 もっとも、こんな風に彼が自由に歩き回れるのは家族ぐるみの付き合いを続けている内に何度も彼女の家を訪れて間取りを完璧に把握したからであり、それこそ最初の数回は冗談や誇張ぬきで迷子になるという失態を演じた程である。
 ちなみに、最初に言った通り綾乃は一旦キッチンへと立ち寄り、そこで家政婦より2人分のジュースとお菓子を受け取ってから彼の後を追う形で自室に向かった。
 ただ、そういった雑務は本来なら家政婦に与えられた仕事なので全てを任せるのが普通なのだが、綾乃が子供の頃に『俊くんのは私が持っていく!』と言って絶対に譲らなかったという微笑ましい事情もあって今でも特例として認められているのだ。
 そして、少し遅れてやって来た彼女が両手で支えていたトレイをしゃがみながら部屋の中央にあるテーブルの上へ静かに置くと、そのままの姿勢で移動してテーブルを挟む形で俊也と向かい合う位置の床に敷いた薄手のクッションの真ん中へと腰を下ろし、早くもジュースを飲み始めた彼に優しく微笑みを向けてから尋ねる。

「今年はどの教科から片付けるの? やっぱり、最初は英語?」
「それでいいんじゃないか。ぶっちゃけ、理数系の方は終わらせたも同然だしな」
「ふふ、そう言うと思ってた」
「なんだよ、その言い方……。俺の行動パターンなんてお見通しって自慢か?」
「だって俊くんってば毎年、同じような事を言ってるんだよ。なのに、分からない訳ないでしょう?」

 そんな風に呟くと、やや仏頂面になって視線を逸らす俊也とは対照的に綾乃は本当に楽しそうな笑みを浮かべて彼の顔を見つめる。
 なお、こうして彼が夏休みに訪ねてきたのは提出された課題を協力する事で効率良く片付けるのが目的だったので、そこから先は2人とも課題に関する必要最小限の会話しか交わさずに黙々と問題集にシャーペンを走らせていた。
 そして、勉強の開始から随分と時間がたって窓から差し込む西日を眩しく感じ始めたのか、おもむろに俊也が立ち上がってカーテンを閉めようと窓に近付いたところで顔を上げた綾乃が課題とは関係の無い話題を口にする。

「ところで、今日はどうするの? こっちで食べるんだったら伝えておくけど――」
「そうだな……。じゃあ、お言葉に甘えて」

 初めは適当な理由を付けて夕食の誘いを断ろうとした俊也だったが、前に誘いを断った時は凄く悲しそうな顔をされたのを直前で思い出して今回は彼女の提案を大人しく受け入れた。すると、彼女は彼が予想した通りの嬉しそうな表情で応える。

「なら、すぐに俊くんの分も用意するよう伝えてくるね」

 そう告げて彼女は優雅な仕草で立ち上がると、その勢いで空になったコップが2つと少し大きめの皿が載ったトレイを持って足取りも軽やかに部屋を出て行く。
 なので、彼女が戻って来るまでの時間を利用して彼はスマホをズボンのポケットから取り出し、母親に今日の夕食はいらなくなった事をメールで簡単に伝えておく。
 結局、綾乃は5分ほど部屋を空けただけで直ぐに戻って来たのだが、さっきと同じように今回もジュースの入ったコップが2つ載ったトレイを両手で支えていた。

「お、気が利くじゃん」
「そう? これくらい普通だと思うけど……。はい、どうぞ」
「サンキュ」

 ちょうど喉が渇いていた事もあって俊也は差し出されたトレイの上から自分に近い方に載っていたコップを手に取り、そのまま一気に中身の半分以上を飲み干した。ところが、そこで味に違和感を覚えたらしく、僅かに顔をしかめて首を傾げると彼女に尋ねる。

「なんか、さっきと味が違うんだが……」
「え、気のせいじゃないの? だって、同じ紙パックから入れたんだよ?」
「そう言われてもなあ……」

 この時、俊也の感じた違和感に対して綾乃はきょとんとした顔で気のせいだと告げてもう1つのコップからジュースを飲むが、そんな説明で納得していないのは彼のコップの中を覗き込むような仕草を見れば一目瞭然だった。
 すると、やや大げさなところも見受けられたが、いかにも心当たりがあるといった感じで彼女が違和感の原因についての推測を一気に捲し立てる。

「もしかすると、あのスナック菓子が原因なんじゃない? あれって外国から輸入したお菓子だから味が独特なのよ。だけど俊くんは気に入ったみたいで結構、たくさん食べてたよね?」
「ああ、確かに大量に食った気はするな」
「じゃあ、それが原因ね。でも、俊くんが気になるんだったら、こっちと交換する?」

 まだ2/3以上は中身が残っているコップを俊也の方へ差し出すと、綾乃は少しからかうような口調で尋ねる。
 これを2人の関係を知らない人物が目撃すれば即座にバカップルという答えが返ってきそうだが、たまに彼女が言ってくる冗談だと分かっている彼は顔色1つ変えず、当然の意見を口にして話を終わらせると残っていたジュースも全て飲み干してコップを空にする。

「いや、交換しても変わらないし……」

 そんな調子だったので、いつの間にか彼は違和感を覚えた事すら気にならなくなり、夕食ができるまでの時間も最大限に活用して課題を1つでも多く片付けようと躍起になっていた。
 しかし、ラストスパートの途中で今までに経験した事が無いくらい強烈な睡魔に襲われて次第に意識が遠のいていった彼は、必死の抵抗も空しく最後は気を失うみたいにテーブルに突っ伏したかと思うと一瞬で深い眠りに落ちていた。

「うん、よく眠ってる。これなら、少しくらい強引に動かしても大丈夫そうね」

 ところが、そんな異常とも言える姿を目の当たりにしても綾乃は慌てたり疑問に感じたりする様子は一切見せず、むしろ当然だとでも言うように堂々とした態度で彼が本当に眠っているのかを自分の手で実際に触って確かめると、今まで以上に真剣な表情を浮かべて次の行動に取り掛かる。
 まずは机の引き出しに隠しておいた粘着テープを取り出し、それを手に持ったまま俊也を起こさないように気を付けながらも力任せにベッドの脇まで彼の身体を引きずっていく。
 そして、彼のズボンのポケットから“ある物”を回収した上で後ろ手になるよう両手首に粘着テープを何重にも巻きつけて自由を奪い、続いて両足首にも同じように粘着テープを何度も巻きつけて完全に固定してしまう事で拘束した。
 さらに、口に粘着テープを貼って満足に声も出せないようにした挙句、目隠し代わりのアイマスクまで顔に着ける念の入れようだった。その後、彼女は警察が使うような金属製の手錠を持ってきて鎖の部分をベッドの頑丈な支柱に通す形で彼の両腕にはめて床を転がる事さえ出来なくする。
 なお、この部屋に置いてあるベッドは大人が2人で並んで寝ても充分な余裕があるほど広く、それゆえ重量や強度も相当なものがあったので不自然な体勢で暴れたところで抜け出すのは不可能だった。

「これも私達のためだから、少し苦しいかもしれないけど我慢してね、俊くん」

 こうして飲み物に強力な睡眠導入剤を混ぜて眠らせた俊也を手際よく拘束すると、綾乃は投げ掛けた優しい言葉とは裏腹に虚ろな瞳が恐怖心を煽る表情で笑いかける。
 その後、彼女は目立つ白いワンピースを暗い色合いの地味で動きやすい服へと着替え、それからクローゼットの中に隠しておいた大きめのシンプルなデザインのバッグを持って部屋から出て行った。
 一応、最初に立てた計画通りに物事が進めば睡眠導入剤の効果が切れて覚醒する前に全てを終わらせて戻って来ているはずだったので、ここまで徹底した対策を施す必要性はどこにも無いのだが、聡明な彼女は不測の事態が発生して計画が大幅に狂うという可能性を排除しきれなかったのである。

「――という訳で、どうしても自分の目で確認しておきたい物があるから私は少し出掛けてくるわね」
「かしこまりました。では、旦那様と奥様にはお戻りになられ次第、私の方から伝えておきますので、お嬢様も気を付けて行ってらっしゃいませ」

 そうやって綾乃は見慣れた者ですら疑問を抱かない程の完璧な演技で家政婦に嘘をついて堂々と玄関より家を出ると、ゆっくり歩いても10分と掛からない距離にある俊也の自宅へと早足で脇目も振らずに向かった。
 そして、誰ともすれ違わずに目的地へと辿り着いた彼女は最初に窓から薄手のカーテン越しに蛍光灯の光が漏れているのを見て住人がいる事を確認し、そうするのが常識だと言わんばかりに門柱に設置してあるインターフォンを押して来客を報せた。
 すると、ほんの少し待たされただけで応答があり、住人である女性の声によって詮索される事なく家の中へと招き入れられる。

「いらっしゃい、綾乃ちゃん。鍵は開いてるから入っていいわよ」
「じゃあ、あがらせてもらいますね」

 こんな風に彼女があっさりと迎え入れられたのは顔見知りという事もあるが、もっともらしい偽の理由をでっち上げて午後6時から7時の間に訪ねる旨を予め電話で伝えておいたからである。
 当然、相手は綾乃が家を訪ねて来た本当の目的など知る由もないので彼女がリビングに入って来て何かしているのを扉の開閉する音や、その後に聞こえてきた物音で知っても特別な行動は起こさず、相変わらずキッチンに止まったままで夫婦2人分の夕食を作る事に集中していた。
 ちなみに、まだ女性の夫(俊也の父親)が帰宅するには早い時間だったので、結果的に綾乃と2人きりになるという状況が生まれているが、そうなるよう計算した上で今日の訪問時間を指定したのだから今のところは計画通りに進んでいると判断して何の躊躇いもなく行動を起こす。

「あら、どうかし――、ひぐっ!」

 女性は家事に集中していたとは言え、背後に人の立つ気配ぐらいは特に意識しなくても感じ取れるので条件反射で振り返りながら声を掛けようとしたのだが、そこで目にしたのは彼女のよく知る息子の幼馴染みとしての連城綾乃では無く、右手にスタンガンを持って命の危険を感じさせるほど異様な雰囲気を漂わせる綾乃の姿をした別人としか思えない少女だった。
 勿論、ここには2人しか居ないので眼前の少女が別人なんて事は絶対にあり得ないのだが、それ程までに纏う雰囲気が異質すぎて咄嗟の判断では同一人物だと認識できなかったのだろう。
 そして、自身の記憶に刻まれた姿とのズレが招いた思考の停止は女性にとっては命取りとなり、無防備な状態でスタンガンによる一撃を左の肩口付近にまともに受けてしまう。
 その結果、女性は言葉を発している途中でいきなり襲ってきた激痛に顔を歪めつつ奇妙な叫び声を上げると、まるで痙攣するみたいに全身を激しく震わせながら背中を大きく反らせた姿勢で1度硬直し、最後は受け身を取る事も出来ずに硬直した際の姿のままでドンという鈍い音を立てて床に倒れた。
 なお、床に倒れた後も少しだけ手足がピクピクと痙攣を起こしたように動いているが、それ以外には目立った反応を示さない事から最初に受けた強烈な衝撃だけで意識を完全に失ったか、満足に動けないほど朦朧となっているとみて間違いないだろう。
 しかし、綾乃は念の為にもう1度だけパチパチと乾いた音を立てて2本の電極から青白い光を出して放電しているスタンガンを肌が露出している女性の首筋に押し当てると、僅かな躊躇いや逡巡も見せずに50万ボルトもの高電圧を送り込んで意識と身体の自由を容赦なく奪い去った。
 ちなみに、スタンガンは攻撃対象者に電流を流して筋肉を強制的に収縮させる事で本人の意思とは関係なく身体の自由を利かなくするのを目的とした非致死性兵器であり、攻撃された人物が気絶したり稀に死んだりするのは痛みに伴うショック症状や心臓発作といった感電とは直接関係のない原因がもたらした副作用みたいなものである。
 また、電化製品や機械を動かすのとは違い、人を攻撃するなら瞬間的に電流を流すだけで充分な効果が得られるので電圧ボルトは高くても電流アンペアの値は極めて低くなるよう設計されており、相手に確実にダメージを与えたい場合や厚手の服の上から押し当てる事を想定するなら可能な限り高電圧を発生させられるモデルを選択するのが常識だった。
 当然、そういった武器に関する知識も計画段階で得ていた綾乃は基本を律儀に守り、予算に余裕があった事も手伝って威力の高いスタンガンを購入していた。
 ところが、こうして標的の無力化に難なく成功した彼女が事前に立てた計画に沿って次の行動に移ろうとした瞬間を狙い澄ましたかのように絶妙なタイミングで想定外の事態が発生する。なぜなら、いきなり玄関の扉が開く音がしたからだ。

「どうして? まだ、大丈夫な時間のはずなのに……」

 その為、ここまでは余裕のあった彼女にしては珍しく驚いた表情をはっきりと浮かべて壁に掛かっている時計へと反射的に目をやり、今日みたいに重要な日に限って普段とは違う状況が発生した事への疑問を独り言のように呟く。
 しかし、すぐに原因究明よりも事態の打開の方が現状では重要だと判断して実行可能かつ最善と思われる対処法を導き出し、それに従って急ぎつつも出来るだけ物音は立てずにリビングまで引き返した。
 すると、素早い対応が功を奏したらしく彼女が目的の場所に辿り着いたのと同時にリビングの扉が廊下側より開かれ、そこからスーツ姿の男性が姿を現した。

「いや~、たまたま今日は1本早い電車に乗れて助かったよ」

 こうしてインターフォンを鳴らさずに玄関の扉を開けて家の中へと入って来た時点で綾乃にも予想はついていたが、その男性は先程スタンガンで気絶させた女性の夫だった。
 だから、ここでも彼女は見事なまでの演技力を発揮して雰囲気を一変させると、俊也の幼馴染みとしての姿で後ろ手にスタンガンを隠し持ったまま笑顔で話しかける。

「おじゃましてます、おじ様」
「おお、いらっしゃい、綾乃ちゃん。ところで、母さんは……」
「おば様でしたら、キッチンで夕食を作っていますよ」
「そうか、ありがとう」

 そう言った男性は当然の行動としてキッチンに向かおうとしたので、それを見た彼女は脇に避けて男性が通りやすいように進路を譲る。
 これは余談だが、この家の構造を熟知した綾乃が立ち位置を調整した事によって男性のいる場所からはキッチンの半分以上が死角となり、未だに自分達が直面している危機には気付いていなかった。
 ただ、こうして視界が開けてからも妻の姿や料理をする音を確認できなかった事には流石に不審感を抱いたらしく、足を大きく踏み出したと思ったら直ぐに立ち止まってダイニングからキッチンに至る空間を見渡すような仕草をする。
 しかし、そんな男性の背後では能面みたいな無表情の中に暗い感情を湛えた姿へと変貌していた綾乃が既にスタンガンを構えて攻撃態勢に入っており、息子の知り合いという事での油断もあって彼女に対して無防備に背中を向けていた男性の首筋へ電極を押し当てて容赦なく電流を流した。

「ぐうっ!」

 案の定、男性は奇妙な悲鳴を上げるのと同時に身体を一瞬だけ硬直させたかと思うと、直後には全身を激しく痙攣させながら鈍い音を立てて仰向けに倒れた。
 もっとも、この一撃では気絶させて身体の自由を奪う事までは出来なかったらしく、苦痛に歪む顔で自分を攻撃した少女を見上げると必死に何かを訴えようとする。だが、その視線が少女の持つスタンガンに注がれて状況を理解した途端、まるで信じられないものでも見たかのように言葉を詰まらせた。
 そして、あまりにも衝撃的な出来事の連続に思考が追い付かずに停止したらしく、スタンガンによる一撃を受けた際のダメージがあったとはいえ、こうして眼前に佇む少女が敵だと認識してからも抗う素振りは微塵も見せずに呆然と眺めているだけだった。
 当然、そういった反応から足元に横たわる人物に未体験の苦痛に苛まれながらも意識がある事を把握した綾乃は即座に屈むと、またしても何の躊躇いもなくスタンガンの電極を肌に直接押し当てて今度は気絶するまで延々と電流を流し続ける。

「がああああっ――!」

 その結果、およそ人のものとは思えない不気味な絶叫がリビングに響き渡るが、それすら今の彼女には何の問題にもならなかったらしく、どこまでも冷酷な心で目的を果たす事のみを考えて機械的に攻撃を繰り出していた。

「ふぅ……」

 そうして執拗に電流を流していると、やがて身体は小刻みに痙攣を繰り返すものの叫び声の方は聞こえなくなり、ようやく意識を失ったのだと理解した彼女は一仕事終えたみたいに穏やかな表情を浮かべて小さく息を吐いた。
 そして、おもむろに立ち上がると3人掛けのソファがある所まで歩いて行き、そこへ無造作に置いておいた自分のバッグの中を漁って底の方から“ある物”を取り出す。
 だが、またしても綾乃にとっては嫌なタイミングでキッチンの方から物音が聞こえてくるという想定外の事態が発生し、それは思わず動きを止めてしまう程度には彼女を動揺させた。

「くっ……!」

 もっとも、こうして彼女が思考を停止させたのは時間にして1秒もあるかないかの僅かな時間だったので、すぐに現状を正しく認識すると忌々しげに唇を噛んで小さく声を漏らしたものの、いま以上に事態が悪化して目的が果たせなくなるのを避けるべく計画の一部を変更して即座に行動を開始する。
 ちなみに、ここで彼女が取るはずだった行動とは、抵抗できないようにしたところで予め準備しておいた致死性の武器を使って止めを刺す事なのだが、どちらか一方に邪魔されたり逃げられたりしないよう対象が2人揃うまでの時間差を利用して常に1対1の状況下で実施するのを前提にしていた。
 しかし、こうなっては現実を大人しく受け入れるしかないので彼女は物音が聞こえてきた方へと走りながらも手の中にある新たな武器、つやの無い黒色をした鋭いブレードとノコ刃が特徴的なイタリア軍空挺部隊にも採用された実績を持つタクティカルナイフ(軍隊における対人戦闘を視野に入れた近接戦闘用ナイフ)の『COLMOSCHIN』を利き手で鞘から抜き、グリップ部分をしっかり握ると攻撃対象である女性へ猛然と接近していく。
 すると、まさに現在進行形で彼女が危惧した通りの事態になりつつあるのがはっきりと分かり、あの一瞬で素早く決断を下して行動にまで繋げた事が正しかったのだと証明される。
 なにせ、このタイミングで最初に気絶させて無力化したはずの女性が何らかの要因によって意識を取り戻したらしく、まだ動きは緩慢で手足も小刻みに震わせていたものの、一応は自分の意思と力で起き上がろうと必死に足掻く様子が彼女の視界に飛び込んできたからだ。

「そんな事、させない」
「ぐぶっ……!」

 なので、綾乃は小声で囁くと咄嗟の判断で女性の脇腹に走った分の勢いを上乗せした蹴りを入れて立ち上がるのを阻止すると、膝を器用に使って背中を後ろ手にした左腕の上から押さえ付けて体重も乗せ、まだ意識が完全に覚醒していなくてスタンガンによるダメージも残っているせいで身体の自由が利かない様子の相手を力尽くで動けなくする。

「ぐうっ……!」

 さらに、彼女はナイフを持っていない方の手で自身の下に横たわる女性の頭を掴んで力任せに叩きつけるようにして床に強く押し付け、これから行おうとしている事を無言で伝えるのと同時に着々と最終目標に向けての手順を推し進めていくのだった。
 そして、うつ伏せで顔も横向きにされた状態で固定された為に視線を動かして相手を見上げる事しか出来なかったが、その瞳にはっきりとした恐怖を浮かべる女性を酷く冷淡な面持ちで1度だけ見やった彼女は、ここでも終始無言を貫いて利き手に握るナイフを片手だけで器用に逆手に持ち直すと垂直に近い角度で勢いよく女性の首を後ろから突き刺した。

「かはっ……!」

 次の瞬間、女性がカッと目を見開いたかと思うと空気の抜けるような悲鳴を上げ、またしても背中を大きく反らせて全身が硬直したみたいになる。しかし、そういった独特な反応も今回は長くは続かず、すぐに力なく床へと崩れ落ちて最終的にはピクリとも動かなくなった。
 なぜなら、突き立てられたタクティカルナイフの特殊なステンレス鋼で出来た強靭なブレードが頚椎の中を通る神経線維を見事に切断して生命活動や運動を司る脳からの指令を完全に遮断したからだ。
 もっとも、この方法であれば即死に近い状態だったので直後に次の行動へ移っても問題は無かったのだが、想定外の事態が立て続けに発生するという前例もあっていつも以上に慎重になっていた綾乃は、呼吸の有無と心臓の鼓動を2回ずつ確かめて死んだとの確証が得られるまでは周囲を警戒すると共に気も緩めなかった。
 そんな訳で、首に刺したナイフをあっさりと引き抜いたり、身体の下にいる相手の上から直ぐに退いたりといった迂闊な真似はしない。

「どうやら、もう大丈夫みたいね」

 それなのに対象の死を確信した途端、まるで何事も無かったみたいに彼女は平然とした顔で独り言を呟いてから首に刺していたナイフを抜いてブレード部分に付いた血や人体組織を自分が殺したばかりの女性の衣服で拭い、その流れで勢いよく立ち上がると今度はリビングで気絶している男性の方を振り向いて様子を窺いながら接近する。
 ただし、こちらは未だに意識を取り戻していなかったので女性を殺した時ほど焦る必要が無く、彼女は殺人を犯した直後だというのに少しだけ近寄りがたい雰囲気がある事を除けば不気味なくらい落ち着いた様子で行動していた。
 さらに、仰向けで床に倒れたままの男性の下へと向かう途中でバッグから事前に用意しておいたレインコートを取り出して羽織るとソファに置いてあったクッションの1つを手に取り、さっきと同じ要領で体重を乗せた膝を上手く使って相手を力尽くで動けなくすると顔にクッションを力強く押し当てる。
 そして、あまりにも自然な動きで手にしたナイフを地面に対して水平に近い角度で横方向に高速で振り抜いて極めて重要な血管の1つである首の頚動脈を深く切り裂いた。

「むぐううっ――!」

 さすがに、こんな風にナイフで頚動脈を深々と切り裂かれれば違う意味での激痛で意識を取り戻して大きな叫び声を上げようとするのだが、それを見越していた彼女によって顔面へと強く押し当てられたクッションのせいで本人は全力で叫んでいるつもりなのに声は大して響かなかった。
 おまけに身体の方にはスタンガンを受けた際のダメージがかなり残っているらしく、殺されかけているというのに手足の動きは想像以上に緩慢で弱々しい。
 なので、首に出来た大きな傷口からは心臓の鼓動と同じリズムで鮮血が噴水のように噴き出して放物線を描き、たまたま落下点と重なった綾乃の身体や周囲の物へと降り注いで巨大な染みを作り出すのと共に血生臭いものが付近に充満していくが、まるで気にする様子もなく彼女は一切の感情を窺えない仮面みたいな表情で次の行動に取り掛かる。
 ただし、その行動とは利き手に持ったナイフを肋骨の隙間より仰向けで横たわる男性の心臓を目掛けて全力で突き刺す事だったので、実行すれば凶悪事件とは無縁の誰に聞いても異常な行為だと即答されるほど世間の常識から逸脱したものだった。

「ふぐううっ――!」

 当然、刺された方の男性は新たな激痛に襲われて今までで最も凄絶な悲鳴を上げて決死の抵抗を試みるが、それでも立て続けに負わされた致命傷とも言える深手と未だに抜けないスタンガンによるダメージで先程よりも更に動きが鈍い。
 その為、両手が塞がった状態で足を使って他者を上から押さえ付けるという不自然な格好をしていて本来なら体勢の安定しない綾乃はバランスを崩す事さえ無く、確実に殺せるよう心臓に突き刺していたナイフを上下左右に動かして傷口を拡げて大量出血を加速させる行為に集中できたのだ。
 こうして結果的には顔に押し当てられたクッションの下で上げた低く唸るような絶叫が外部から確認できた最後の生きている証となり、やがて糸の切れた操り人形のようにぐったりとなった男性は何をされても全く反応しなくなる。

「ふぅ……」

 なので、それを見届けた彼女は小さく溜息を吐いて少しだけ緊張を緩め、今度も本当に死んでいるのかどうかを慎重に確認してからナイフを引き抜いてブレードに付いた血や人体組織を殺した男性の衣服で拭うと静かに立ち上がる。
 そして、その勢いでレインコートや下着以外の服、さらには靴下まで脱ぎ捨てると真っ先に洗面所へと向かい、そこで絵の具を落とすみたいに身体の各部に飛び散った返り血を1つ残らず石鹸で丁寧に洗い流していく。
 それから最後に鏡を見て身だしなみを整えると洗面所にあったタオルを失敬して濡れた身体を拭きながら再びリビングに戻り、使い終わったタオルを死体の傍に捨てた後でソファに置いてあるバッグの中より此処へ来る時に着ていたのと全く同じ色とデザインの服を取り出して身に着けた。
 なぜなら、返り血を浴びる事を想定してレインコートを羽織っていたお陰で服の方には目立った汚れは見当たらなかったが、どこに殺人の痕跡が残っているのか肉眼では判別できないので汚れの有無に関わらず、最初から安全策を採ってブラジャーとショーツ以外の衣類は全て現場で処分して着替える事にしていたからだ。

「うん、まだ時間は大丈夫ね」

 こうして着ていた服も綺麗に一新したところで綾乃は壁に掛かっている時計を見上げて時間を確認すると小声で呟き、床に転がる死体と血溜まりを大きく迂回してキッチンの方へと移動した。
 そこで何故か彼女はシンクの下から引っ張り出した鍋に充分な量のてんぷら油を注いでコンロに掛けたので、そんな様子を本当の目的を知らない者が目の当たりにすれば、どうして揚げ物を作る必要があるのか疑問に思った事だろう。
 勿論、これは単なる偽装工作の一環なのでガスコンロに火を点けると足元には注意しながらも直ぐにリビングまで引き返し、また持ってきたバッグの中に両手を突っ込んで荷物を漁ると今度はガソリンの入ったペットボトルを取り出した。
 当然、次に行ったのはペットボトル内のガソリンを2つの死体にまんべんなく掛けてから導火線のような形で双方を繋げ、その上でコンロの近くへとガソリンのラインを延ばす事である。
 さらに、ついさっき死体の傍で脱ぎ捨てたばかりの服やレインコートにも彼女は忘れずに必要な量のガソリンを掛け、最後に空になったペットボトルを床にまいたガソリンの上へと静かに置いた。
 そして、偶然にも目立つ場所に置きっぱなしだったので万全を期す為にも女性のスマートフォンを回収し、残っている可能性の高い着信履歴を簡単には辿れないようにするのを狙って本体を物理的に破壊して死体の上に載せた。
 後は、それら以外に自分のいた痕跡が室内の何処にも無い事を確認しながらも手早く帰り支度をすませてライターを取り出したかと思うと廊下に通じる扉の方へ回り込んでから屈み、まるでゴミを燃やすみたいな気軽さでリビングに放置したままの死体の脇にあったガソリンの染み込んだ服に点火する。
 一応、ここまでの作業をしている短い時間でもまかれたガソリンの一部は既に気化し始めていたのでライターの火が近付いただけで服は一瞬にして炎に包まれ、そこから炎が床を導火線のように延びるガソリンを辿って2つ目の死体にも瞬く間に燃え移って火事と言っても差し支えない状態となる。
 だが、綾乃は身体の正面より襲い来る猛烈な熱気や人体が燃える際に発生する特有の異臭を全身で感じても顔色1つ変えず、手にしたライターをバッグにしまってから普通に立ち上がると煙を避けるように少し姿勢を低くして足早に玄関へと向かい、そこで靴を履いたところで薬を使って眠らせた俊也のポケットより奪ってきた鍵を強く握り締めて久しぶりに感情を表に出した。

「そうそう、俊くんの事は私が最後まで責任を持って面倒を見ますので、お二人は安心して休んでいて下さいね」

 このタイミングで発せられた言葉にどういう意味が込められているのかは本人にしか分からないが、玄関扉のドアノブに手を掛けた際に一瞬だけ動きを止めて後方を振り返った彼女は世間話でもするみたいな雰囲気の明るい声で呟く。
 その後、彼女は松井家にいたのを誰かに見られる事だけは警戒して周囲の様子には充分に気を付けながら扉を静かに開けると素早く外に出て鍵を閉め、とても殺人や放火を行ったとは思えないくらいの落ち着いた表情と足取りで暗くなり始めた閑静な住宅街の中を家路についた。
 ちなみに、彼女の立てた計画では捜査過程において自分が関与した痕跡さえ発見されなければ問題ないとの結論に達していたので、残酷な殺人放火事件として騒がれるのにも一切抵抗は無く、それゆえ先程の凝った偽装工作も自身の関わりを消す事に焦点を当てたものだった。

「あ、そうか……。最初から、こうしてれば良かったんだ。どうして、こんな簡単な事に今まで気付かなかったのかしら……。ここに檻を作りましょう。それも、ただの檻じゃなくて鈍感な俊くんが気が付かないくらい広い広い檻を……。そうしたら、もう誰にも邪魔されず、いつまでも一緒にいられるよね」

 静かな住宅街にガラスの割れる音が響く中で綾乃は、いかにも名案が浮かんだと言わんばかりの笑顔になって新たに思いついた構想の根幹を囁くように声に出す。
 しかも、彼女は潤んだ瞳で遠くを見つめながら頬を赤くして艶めいた吐息まで零しているので、その様子を目撃しただけでは恋をしていると勘違いされても不思議はない。
 だが、彼女の脳内では自分達の住む街そのものを巨大な檻に見立てて想いを寄せる俊也を閉じ込める計画が物凄い勢いで組み上げられており、何かに酔っているような姿を慎重に観察すれば陽が沈んで徐々に暗さを増していく夜空を熱っぽい視線で見上げる瞳の奥には底知れない闇と狂気が宿っているのに気付けたはずだった。
まずは、この作品を最後まで読んで下さり、本当にありがとうございます。
こうして書き上げた今だからこそ言えるのですが、案の定、読むのと書くのとでは大違いでしたね。元からヤンデレ作品は好きだったので、これなら何とかなると思っていた自分が大甘でした。
そして、自分の作品では恒例となっている血生臭い描写も読者の方々にどこまで受け入れられたのかと考えると不安で、今さらながらに怯えております。なにせ、昨今の風潮もありますから……。
とは言え、現代戦をメインに扱っている自分としては良い経験になったので、今回の企画に参加できた事を心より感謝しております。
それでは、またお会いする事があれば、よろしくお願いいたします。

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