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【彼】と共に過ごすようになって、早2年が経とうとしていた。
その間、僕に起こった劇的な変化と言えば読み書きや喋ることが出来るようになり、本格的な情報収集が出来る様になったことだろう。
【彼】が生きていた世界とは異なる言語だったので少々手間取ったが、単語や文法さえ覚えていけば取得することはそう難しくはなかった。
またそれと同時に歩行の練習を行ったので、早めに立って歩くことが出来る様になった。
好奇心旺盛な子供の振りをして行動範囲を広め、親だけではなく近所の人々からも情報収集を行い、自分の持てる全ての感覚で物事を正確に確認出来る様になったまではよかった。
それにより、集まってくる情報も比例的に増加していき、今の僕の置かれている立場や状況が客観的に見えてきたのだが、なかなかどうして僕の将来は極めてマズイことが今まで集めて来た情報を分析した結果で分かっている。
というのも、僕は割と辺境にある村に住んでいる、裕福でも貧しくもないごく普通の農家の次男坊だ。
この国では、長男が家の土地を継いで次男から下は成人を迎えると独り立ちして、開墾するのが常識となっている。つまり僕には、先祖から代々伝わって来ている土地が与えられることも無く、生活するために開墾しないとならないことが生まれながらに義務付けられているのだ。
しかも成人扱いをされるのは満16歳なので、後13年後には成人扱いされ独り立ちしなければならないことが確定している。
独り立ちすることに拒否感はないが、現在成人して開墾している人達を見れば一人でしているため、僕も一人でしなければならないのだろう。
聞いた話によると、言えば両親や村の人達も手伝ってくれるらしい。しかし、手伝ってくれた分は収穫時に返さないといけないし、あまり頼り過ぎると不真面目だと見られ最悪村八分にされかねないみたいだ。
また、開墾組なので苦労することが分かりきっているためか、嫁の貰い手も少ない。
誰しも、金銭面や体力面で苦労すると分かっている所になんか、進んで嫁ぎには行こうとしないし親もさせない。僕もそう思う。
考えた結果、このまま年を重ねて独立し、一から開墾していくのはハイリスクローリターンなので、僕はする気は毛頭ない。だが、何も行動しなければ、成功するかも分からない見通しが全く立たない開墾生活をしないと行けなくなる。
そんな生活を回避するには、一つだけ方法がある。開墾以外で村の利益となることを証明すればいいのだ。
ようは開墾する以上に、村の利益となるように稼げば問題ない。 単純明快でそれでいてもっとも難しい方法なのだが、僕にはそれが容易にできる。
開墾フラグを全力で回避するため、僕は【彼】の知識を使ってあることを始めるために、計画を立てている最中だ。
奴隷を買い、育て労働力となって貰い、中間マージンでウハウハな生活を送れる素敵な職業。
【彼】の世界で言う人材派遣会社を設立するために。