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一人百物語

賽銭箱

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/18


近所の神社にお参りに行った。

鈴を鳴らし、賽銭箱にお賽銭を投げ入れて手を合わそうとすると、

賽銭箱に向かって右の側面から


ぶらん


と手が出てきた。

驚いて見てみると、それはどうやら男性の左腕の肘から手先までの部分で、それが賽銭箱に向かって右側面の真ん中あたりから直接生えていた。

腕は自分にも何かくれ、とでも言っているかの様に腕を上下にブラブラとさせ、てのひらを軽く閉じたり開いたりした。

そのてのひらにも何か乗せてやらないといけないのかな、とは思ったが神様ではない様に思えたので無視し、正面の御鏡に手を合わせた。

賽銭箱の前から数歩下がってもう一度見てみると、腕はまだあった。


以後も何度となくお参りをしているが、腕が出たのはその時だけである。



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