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毎日胸ポケットに女の子を入れて出勤しています  作者: 渓夏 酔月


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5/8

5.できもの

 最近、僕の裁縫の腕がめきめき上達してきた。


 最初は、陽菜ちゃんに着せる人形用の服が高価な割にぴったり合うサイズがなく、特に下着がなかったことから、必要に迫られて始めたものだった。


 それが作り始めてみると楽しく、特に陽菜ちゃんがとても喜んでくれるので、次から次へと作るようになった。


 ブラウス、ワンピース、Tシャツ、ジーンズなど普段使いのものから、中世の貴族が着るようなドレス、セーラー服、メイド服等々、陽菜ちゃんがテレビを見ながらこれが欲しいというものは何でも作った。


 服が増えるにつれ、DIYで衣装タンスなども作るようになった。


 今では仕事からアパートに帰ると何かと忙しい。


 陽菜ちゃんにコンビニ弁当ばかり食べさせても良くないと、自炊もするようになった。栄養バランスの良いものを食べさせようと思ったが、陽菜ちゃんはスナック菓子と焼酎のつまみになる焼き鳥などが大好物だった。


 いままで家にいることが多かった休日も、陽菜ちゃんと出かけるようになった。


 陽菜ちゃんをフリースの胸ポケットに入れ、近くの公園で過ごすのが僕は好きだ。


 木々に囲まれたベンチに座りながら、僕は陽菜ちゃんに聞いてみた。


「森に帰りたくなったりしないの?」


 しばらく陽菜ちゃんは何も言わなかった。


「……もう、翅がないから帰れないよ……」


 陽菜ちゃんは、寂しそうにそう言った。


 僕は胸が苦しくなった。


 僕は木の多い公園とか、自然の豊かな静かなところに行くのが好きだったが、陽菜ちゃんは違った。


「凪太郎! わたしを遊園地に連れて行け!」


 陽菜ちゃんのリクエストで、僕は人生で初めてジェットコースターというものに乗った。


 僕はふらふらになって降りた。二度とごめんだ。


 そう言えば静かだなと思って自分のフリースの胸ポケットを見てみると、中で陽菜ちゃんが吐いていた。


 僕が遊園地の多目的トイレでフリースを洗っていると、ふらふらになりながらも陽菜ちゃんは、次は観覧車に乗りたいと言った。


 観覧車なら僕も乗りたい。


 観覧車の中で、陽菜ちゃんは僕の胸ポエットから出て、景色を見ながら大喜びだった。


 その観覧車は床がガラス張りになっていて、陽菜ちゃんは久々に飛んでいる気分だと嬉しそうに言った。


 僕が女の子と遊園地に行けるなんて、ちょっと前の自分に想像できただろうか。人生一瞬先は分からないものだと思った。


 いつしか季節は進み、吐く息が白くなってきた。


 いつものように焼酎で酔っ払った陽菜ちゃんの体を拭いていると、ある異変に気付いた。


 背中に四つ、何か()()()()のようなものが出来ていた。


 それは、日に日に大きくなっていった。



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