2,一般現実恋愛小説におけるNTRの法律制限について
基本的に法律のお話ですが、一部(この後議論する予定の)キャラクターの感情理論構築が混じっています。
『NTRは犯罪です。』
……などという広告を見た読者は一人もいないであろう。それもそうだ、NTRは刑法のどの罪にも該当しないのだから。一定年齢以上で両方の合意があれば、いくら性交渉をしても犯罪にはならない。
これは、裏を返すと『合意なき性交渉は犯罪』ということになる。不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立する。当たり前のことだ。
『現実世界』を舞台にした小説は、原則として現実世界(=我々の居住するリアル)の法律・規則・倫理・社会に縛られる。作中でガキンチョがアイスを万引きすれば警察に捕まり、主人公がいくら念じても空中浮遊はしない。そういう世界が『現実世界』である。
もちろん例外もある。実際の小説において、軽微な犯罪はスルーされることが多い。不機嫌な主人公が空き缶をポイ捨てすることは、法律的に違法であっても感情は伝わってくる。数式にするのであれば、『演出効果>犯罪の影響度』でおとがめなしと考えられる。勧善懲悪は典型例だろう。
『ヤクザ・暴力団ものはどうなんだ』という意見もありそうだが、これらも上記に矛盾しない。確かに彼らは銃火器を携帯し、時に抗争へと発展するが、その行為は常に逮捕と隣り合わせになっているからだ。その世界で彼らはれっきとした犯罪者扱いをされており、捕まれば裁かれるのだ。
一部のNTRはどうだろう。『薬漬け』や『許可なくヒロインを拘束』など、過激な手段に走っている。これらは立派な犯罪であり、軽くない刑罰が科される罪である。この場合、主人公はNTR完遂後に法の裁きから逃走しなくてはいけない。もしくは、証拠隠滅を徹底しなければならない。どちらにせよ明らかな犯罪行為であることに間違いはないため、寝取り側に固い信念が必要になってくる。(既に脱線気味なので後の話に回すこととする)
また、現実の法律は刑法だけではない。
民法第七百九条:「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」(1)
NTRが人妻ものであるとすると、この民法が重くのしかかってくる。不貞行為はこの条文で言う『法律上保護される権利』の侵害にあたるのだ。前回のNTRの定義から、寝取られた脇役側が行動を何も起こさない確率はかなり低く、民事訴訟に発展することは間違いない。主人公又はそのヒロインには、その覚悟を背負わせる必要がある。(双方共に阿呆であることを設定していない限り)
この種類のNTRは通常不倫と逆(不貞行為を見せびらかす)行動をしているので、それ相応の理由付けがなければ不自然に見えてしまうのも致し方ない。
ヒロインと脇役の間に法的関係(かそれに準ずるもの)が結ばれていなければ、上に述べた事柄を無視していいことは言うまでもないが。
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このように、NTRは刑法においても民法においても、取れる形は制限されていることが分かる。
(1)民法,e-GOV法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089#Mp-Pa_3-Ch_5-At_709




