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一廉の人物になりたい。
そんな漠然とした考えを持って社会に出た。
でもまあ、そんなに上手くはいかないものだ。
結局会社員の適性は無いと自分に見切りをつけ、自衛隊の門を叩いた。
その後三十有余年。
気が付けば定年退官の日。
投資の才があったのは幸いだった。
悠々自適、いくつかの会社の結構な株主になり、十分な不労所得を得ている。
(思えば遠くへ来たものだ)
駐屯地の皆に見送られ、営門で制帽を振る。
歩哨に敬礼、握手をして車両へ。
信号も順調に変わり、右折した。
いや、しようとした。
轟音とともに、運転席に信号無視の大型ダンプが激突し、私は意識が飛んだ。




