クリスマスデート side穂乃果 2
しばらく穂乃果と映画の内容を語り合っていると、突然、穂乃果が真剣な表情となる。
「ねぇシロ。今回、幼馴染のクロは無事ハルと結ばれて勝つことができたけど、幼馴染が最終的に勝つ作品は少ない。やっぱり幼馴染って魅力のない負けヒロインなの?」
「ど、どうした。いきなり?」
「最近よく思う。幼馴染が負けすぎてると」
「確かに、そういった作品は多いな」
穂乃果の言葉に心当たりがあるため同意する。
「シロも幼馴染は負けヒロインと思う?」
すると少し不安そうな声で聞いてくる。
(ん?なんか穂乃果の様子がおかしいな。もしかして幼馴染が負けすぎてることに寂しい思いをしてるのか?)
穂乃果は幼馴染が登場する作品ばかり俺に勧め、穂乃果が好きなヒロインは必ずといっていいほど幼馴染キャラだ。
そのため幼馴染キャラが好きだということは理解していたが、最近の作品は幼馴染が勝てないため、心にダメージを負っていたのだろう。
(俺も幼馴染ヒロインは好きだし、幼馴染が負け過ぎているところに残念な思いはしていた。実際、幼馴染ヒロインが一推しの作品だってある。よしっ、ここは穂乃果に幼馴染の良さを存分に語ってやろう!)
「そんなことはないから安心しろ、穂乃果」
俺の言葉に穂乃果は顔を上げる。
「穂乃果は幼馴染に魅力がないと思ったかもしれないが、俺は幼馴染の良いところをたくさん知っている」
そう前置きした後、俺は幼馴染ヒロインに対する愛を語る。
「大体の作品は転校生や心に傷を負ったヒロインと結ばれ、幼馴染が負けヒロイン扱いされているが、俺は幼馴染と結ばれる作品がたくさんあっても良いと思ってる。何故なら幼馴染は主人公のことを第一に考えて、主人公のことを1番理解しているからだ。そんなヒロインが結ばれないなんて悲しいからな」
(まぁ、だから負けヒロイン扱いされやすいとも言えるが)
その言葉は胸にしまい、続きを語る。
「実際、俺は正ヒロインよりも幼馴染ヒロインの方が可愛い作品にたくさん出会ってきた。幼馴染を選ばない主人公に激怒したこともあるくらいだ。だから少なくとも俺は幼馴染が負けヒロインとは思わない。主人公と結ばれても良い立派なヒロインだ」
俺は穂乃果に自信を持ってもらうように励ます。
「じゃ、じゃあシロは幼馴染の女の子も恋愛対象に見てるってこと?」
「もちろんだ。さっきも言ったが幼馴染ヒロインの方が可愛い作品も多くある。それに『なぜ幼馴染を選ばないんだよ!俺なら絶対に幼馴染を選ぶぞ!』って主人公にツッコんだ作品もあるからな」
「じゃ、じゃあシロは幼馴染だから恋愛対象にはならないとかはないんだ」
「あぁ」
「ということはシロが幼馴染である私のことを――す、好きになることもあるってこと?」
「っ!そ、それはだな、えーっと――」
(ヤベぇ、俺の熱弁だとそう言ってるわ)
穂乃果の疑問は当然のことなので俺は否定しない。
「そ、そうだな。俺は幼馴染だから恋愛対象として見ないとかはない。だから、もしかしたら穂乃果のことをその――す、好きになるかもしれん」
少し恥ずかしかったため、頬をかきながら言う。
「そ、そう。なら良かった」
穂乃果がホッとした胸を撫で下ろす。
(幼馴染が恋愛対象として見られることに安心したようだな)
俺も穂乃果に伝えたかったことを伝えることができて一安心する。
「本当に良かった。シロが私のことを恋愛対象として見てくれてないのかと思ってたから。あとはシロに幼馴染の良さを伝えるだけ」
「いや、俺に幼馴染の良さを伝えても穂乃果の意中の人には効果ないぞ?」
「そんなことない。ものすごく効果がある。だから今まで以上に私の良さを伝えていく」
「そ、そうか。ほどほどにな」
「ん。目一杯頑張る」
そう言って穂乃果の口角が上がる。
「っ!」
可愛く笑った穂乃果を久々に見たため、俺の心臓が“ドキっ!”と跳ねる。
(ま、まぁ意中の人を落とすための練習ということだろう。穂乃果が満足するまで付き合ってやるか)
穂乃果の笑顔に見惚れつつ、そんなことを思った。
その後も穂乃果と喫茶店でお話しをする。
「む、もう18時」
「早いな。穂乃果といると時間があっという間に経つよ」
「ん、私もシロといるとあっという間に経つ。これが幼馴染の良いところ」
「ははっ、そうだな。穂乃果となら気疲れすることなくずっと一緒にいられるよ」
「っ!そ、そういうことをストレートに言わない」
俺の言葉に穂乃果の顔が赤くなる。
「た、確かに少し恥ずかしいこと言ってしまった」
穂乃果の反応を見て俺も顔を赤くする。
「じゃ、じゃあ俺は次の待ち合わせ場所に行くから、気をつけて帰れよ」
「ん、ホントは邪魔したいけど、邪魔したらシロのお母さんとの約束を破ってしまう。だから忠告だけにしとく。シロ、くれぐれも変なことをしないように」
「あ、当たり前だ!」
そんな会話をした後、穂乃果と別れてミクさんとの待ち合わせ場所に向かった。




