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涼宮香織視点

〜涼宮香織視点〜


 シロくんに踊りを見てもらった私はジャージから私服に着替える。


「髪を整えたりしてたら遅くなっちゃった」


 私は急いでシロくんのいる部屋に戻る。


「お待たせー!シロく……ん?」


 私が部屋に戻ると、壁にもたれて眠っているシロくんがいた。


「ちょっと無理させちゃったかな」


 シロくんは毎日の学校に加えドラマ撮影と忙しい日々を過ごしている。


「はやく家に帰してあげるべきだったなー」


 無理をさせてしまったことに申し訳なさを感じる。


「って、今はそれどころじゃないね。はやくシロくんを家に送らないと」


 私は小さな声で白石さんに電話をする。

 しかし、当初の予定では夕方までシロくんと歌の練習を行うと伝えていたため、迎えに来れるのが早くて17時ごろになりそうと返答が来た。


「うーん。どうすれば……あっ!そうだ!」


 私はシロくんの隣に座り、ゆっくりとシロくんを私の太ももへ倒す。


「セーフ。目が覚めなくて良かったぁ」


 どうやら相当お疲れのようで、私が膝枕をしても全く起きる気配がない。


(ふふっ。いつもはカッコいいけど寝てる時の顔は無防備でかわいいね)

 

 シロくんの寝顔を間近で確認し、クスッと笑う。

 そんなシロくんの頭に手を置き、そっと優しく撫でる。


(まさかシロくんを膝枕する日が来るとは思わなかったなぁ)


 そんなことを思いつつ、私はシロくんとの思い出を振り返った。





 私はハロウィンの日に初めてシロくんと出会った。

 その時の第一印象は、ものすごくカッコいい男の子だ。

 こんなにカッコいい男の子がどんな撮影をするのか興味が湧いた私は、シロくんの『読モ』撮影を見学した。

 その時、色んな話をしたが、シロくんは私のことをアイドルとしてではなく同学年の女の子として扱い、私のことを特別視する様子がなかった。

 そのため、自然とシロくんに興味を持つようになった。




 数日後、私は梨奈にシロくんのことを話した。


「へー。香織が絶賛するほどのイケメンなんだ。しかも香織のことを変な目で見たり特別扱いもしないと」

「そ、そうだね。最近出会った男性の中では1番話しやすかったよ」


 ここ最近はテレビ出演が増えたことにより知名度が上がり、私のことを特別視する方や媚びを売る方が沢山近づいてきた。

 しかしシロくんは1人の女の子として私と接しており、話しててとても楽しかった。


「香織って昔から男運ないからなぁ。その美貌とスタイルで変な男ばっかり集まってくるし」

「そっ、そんなこと……ないとは言えないかな」


 莉奈の言う通り、私の身体目当てで話しかけてくる人もいたため、否定はできない。


(私よりも綺麗でスタイルの良い人はたくさんいるのに)


 そんなことを常々思っていた。


「それにしても、なんで日向くんは香織と普通に接することができるんだろ?ウチなら可愛くて、けしからんおっぱいをしている女の子と少しでもお近づきになれるよう、全力で媚びを売るけどなぁ」


 そう言いながら私に突撃して胸を揉んでくる。


「んっ……って何してるのよ!」


 私は梨奈の頭を軽く叩く。


「いったー!叩かなくてもいいじゃん!?」

「そ、それは梨奈が、わ、私の胸を――って!そんなことはどうでもいいの!」

「あれー?顔が赤くなってるねー?もしかして胸を揉まれて――はい、もう黙ります」


 私が殴る構えをしたため、梨奈が静かになる。


「こほんっ!と、とにかく。私は今度発売される日向くんの『読モ』を買おうと思ってるんだ」

「おぉー!珍しい!それくらい日向くんのことが気になってるんだね!」

「き、気になってるだけだよ!好きってわけじゃないからね!」


 と伝えてみるが梨奈は信じてくれない。

 そんな日々を過ごしていた。




 シロくんが表紙の『読モ』を購入した数日後には『おしゃべり7』の収録とCM撮影があった。

 2つの共演でシロくんとたくさん関わり、シロくんが素晴らしい男性だということを理解した。

 特にCM撮影が終わった時、シロくんが『私たちのおかげ』と言ってくれた時は驚いた。

 私やミレーユさんは絶対シロくんのおかけでCM撮影が成功したと思っていたから。

 でもシロくんは違った。

 心の底から私たちのおかげで成功したと思っていた。





「そういうところに惹かれたのかなぁ」


 シロくんとの出会いからCM撮影までの関わりを振り返り、誰にも聞こえない声量で呟く。

 小さい声だったため、シロくんは未だに私の太ももを枕にして眠っている。


(気付けば毎日のようにシロくんのことを考えるようになった。それに義妹や幼馴染、ミレーユさんと仲良くしているところを考えると、胸がズキズキするようにもなった)


 私はこの気持ちを知っている。


「ふふっ、ホントかわいい寝顔だね」


 私はシロくんの寝顔を見る。


 そしてシロくんの耳元で…


「好きだよ」


 そう囁いて、シロくんの頬にキスをした。

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