星野家へ 1
今もなお増え続けるフォロワー数から目を背けて学校へ行く。
するとクラスメイトの女子たちが俺のことで盛り上がってた。
「見てみて!昨日、本物のシロ様がSNSを始めたんだって!」
「知ってる!私はフォローしたよ!」
「私もー!」
「やっぱりみんなやる事がはやいねー!」
そんな会話をして笑いあってる。
「でね!今日もシロ様を探しに行こうと思うんだけど、どうかな?」
「賛成ー!そろそろ見つけたいよね!?」
「写真でシロ様のことを見続けてるから、ちょっとした変装なら気づくと思うんだけどなぁ」
「だよね」
どうやら、まだ見つけることができていないらしい。
(あの人たち、まだ探してたんかよ)
俺はクラスメイトの行動力に感心する。
(正直、昔以上に正体がバレたくないとは思ってない。SNSで好印象のコメントが多数来てたからな)
当初は『こんな顔で表紙飾りやがって!』などのクレームが直接来るのを恐れ、正体がバレないように過ごしていたが、現在は以前ほど正体がバレたくないとは思っていない。
しかし『おしゃべり7』の放送で俺は聖人のような人格者と広まってしまったため、正体を知って幻滅する人が多数現れる事態は避けなければならない。
よって今も正体を明かすわけにはいかない。
そんなことを思っていると、隣にいた穂乃果が…
「ちょっとした変装なら見破れるとか言ってたけど、同じクラスにいるシロに全く気づかない。やはり雑魚」
クラスメイトを雑魚呼ばわりしていた。
本日も問題なく学校が終わり18時前となる。
今日はヒナちゃんたちの家で晩御飯をいただく予定となっているため待ち合わせ場所へ向かう。
昨日、ミクさんと連絡を取りヒナちゃんたちのお母さんが迎えにきてくれる手筈となったため待ち合わせ場所で待っていると、俺の前で一台の車が停まる。
「ごめんなさい。お待たせしました」
そう言ってお母さんが車から降りてきた。
「いえ、大丈夫です」
「娘たちは家で待っておりますので。真白さん、助手席にどうぞ」
「ありがとうございます」
俺は車に乗り込み、ヒナちゃんたちの家に向かう。
その道中、お母さんが話しかけてきた。
「ごめんなさいね。ヒナたちのお願いに付き合わせてしまって。予定とかは大丈夫でしたか?」
「はい。今日は暇だったので問題ないです」
「ふふっ。それなら良かったです」
そんな会話をした後、お母さんの表情が引き締まる。
「真白さんには我が家に着く前に伝えなければならないことがあります」
「な、なんでしょうか?」
緊迫した声で言われ、身構えてしまう。
「実はですね。家でミクとヒナが真白さんのことを絶賛してて、それを聞いた旦那が真白さんに対して怒ってます」
「………え?」
衝撃のカミングアウトに驚きを隠せない。
「も、もしかして俺、お父さんに何か変なことしましたか?」
「そんなことはないのですが……まぁ、会えばわかると思います。旦那に会った瞬間、怒鳴られると思いますが、許してください」
「わ、わかりました」
(えーっと。もう行くのやめて帰っていいですか?)
そうお母さんに伝えたかった。
ヒナちゃんたちの家に到着する。
「ただいまー。真白さんのお迎えから帰ってきたよー」
その声を聞き、“ドタドタっ!”とヒナちゃんが駆けつける。
その後ろにはミクさんもいた。
「真白お兄ちゃん、こんばんはー!」
「あぁ、こんばんは」
「真白くん、お疲れ。今日は来てくれてありがと」
「こんばんは、ミクさん。こちらこそ呼んでくれてありがと」
俺は2人に挨拶をする。
そしてミクさんへ、お父さんの状況を聞き出す。
「な、なぁ。お母さんから聞いたんだが、お父さんって俺に怒ってるのか?」
「あぁ。激おこだな」
「マジかぁ」
心当たりがないのに激おこらしい。
「ちなみに何で怒ってるんだ?」
「あー、それは直接お父さんに聞いてくれ。こっちだ」
この家でご飯をいただく以上、大黒柱であるお父さんとの仲直りは必須案件。
そう思い、俺は腹を括ってミクさんについて行く。
「この部屋だ。ここでお父さんが待ってる」
「あぁ」
俺は一度深呼吸をして和室に入る。
「し、失礼します」
「来たか。君が日向真白くんだな」
「は、はい!」
とても怖い顔をして俺を睨むお父さん。
「まずは座ってくれ」
「し、失礼します」
畳の上にお父さんが正座しているので、俺も正座をする。
(なんだ。俺は何をしたんだ。お父さんの雰囲気から、かなりの悪さをしたようだぞ。さぁ、俺よ。何をしたか思い出してくれっ!)
そう俺自身に問いかけるが全く心当たりがない。
お父さんと会うのは今日が初対面だし、そもそもミクさんたちと関わった時間も少ない。
(ま、まさか噂のシロが俺だと気づいたとか!?)
正体を隠していることに対して怒っているのであれば納得だ。
俺は内心ビクビクしながらお父さんからの言葉を待つ。
「単刀直入に言おう」
(ゴクリっ)
「娘はやらん!!」
「………はい?」
お父さんの言葉に首を傾げた。




