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プロローグ 3

 歩きながら神野さんに自己紹介をする。

 そして雑談をしながら歩いていると、一つの建物に到着した。


「ここは『読者モデル』などの撮影を行う建物となっております」


 そう言われ辺りを見渡す。

 するとその言葉通り、撮影に使うであろう道具がチラホラと見えた。


 そのため普段見ることのない道具たちに興味を示していると…


「見て!超カッコいい男の子がいるんだけど!しかもキング様のコスプレが超似合ってる!」

「ここに居るってことはモデルさんだよね!今まで見たモデルさんの中で1番カッコいいかも!」

「絶対、名前を聞き出さなきゃ!」


 俺たちを見ながら何かを話している女性たちがいた。


「め、目立ってますね。俺が素人モデルということがバレたんですか?それとも場違いなルックスの男が来て引いてるとか」

「どちらも違うと思いますよ。コスプレしてますので素人であることを見分けるのは難しいですからね。それに日向さんのルックスは完璧ですので胸を張ってください」


 そう言って神野さんが俺を褒める。

 その時、1人の女の子と目が合う。


「神野さん、あの女性は誰ですか?何処かで見たことがあるのですが思い出せなくて」

「あ、彼女は涼宮香織(すずみやかおり)さんです。『スノーエンジェル』というアイドルグループのリーダーで、センターを務めてる女の子ですね」


 名前を聞いて思い出す。


 涼宮香織。

 水色の髪をツインテールに結び、髪と同じ色をした大きな水色の目が特徴的。

 美人というより可愛い系の美少女で、胸がとても大きく、最近テレビでよく見かける女の子だ。


「私たちが作る『読者モデル』の撮影が終わり次第、涼宮さんの写真集を撮影する予定ですので、この建物にいらっしゃるのかと思います」


 そんな会話をしながら涼宮さんを見ていたため、彼女がコチラに気づく。


「お疲れ様です。コスプレされてますが何かの撮影ですか?」


 そして涼宮さんが話しかけてきた。


「お疲れ様です、涼宮さん。彼は今行ってる『読者モデル』の撮影に参りました」

「あー!なるほど!」


 神野さんの言葉に納得する涼宮さん。

 そして俺と目を合わせると、顔を赤くしながら口を開く。


「その……と、とても似合ってますね!」

「あ、ありがとうございます」


(やっぱりアイドルってお世辞がうまいなぁ。流れるように褒めてくれたぞ)


 そんなことを思い涼宮さんに感心していると、涼宮さんが神野さんにとあるお願いをする。


「これから撮影だと思うのですが、その撮影を見学してもよろしいでしょうか?」

「おそらく問題はないと思いますが、一応監督の方に確認させていただきますね。少しお待ちください」


 そう言って神野さんが走り出す。


「勉強熱心ですね」

「そ、そういうわけではないです。ただ、どのような撮影になるか興味があって。私、写真集を撮る機会が少ないので、皆さんの撮影風景から学べるところは学びたいなって」


 俺に褒められたのが嬉しいのか、照れながら答える涼宮さん。


「あ、自己紹介がまだですね!私、涼宮香織って言います!ご存じでしょうか?」

「テレビで何度か見かけますので知ってますよ。歌が上手で笑顔がとても似合う女の子という印象です」

「そ、そうですか。あ、ありがとうございます」


 涼宮さんが顔を赤くし、うつむきながら答える。


(しまったぁぁぁ!!!こんな陰キャに褒められても嬉しくないよな!?でも今さら撤回するわけにも!)


 そう思い内心パニックになっていると、タイミングよく神野さんが戻ってきた。


「お待たせしました……って、2人とも何かありましたか?」

「「い、いえ!何でもないです!」」


 俺と涼宮さんの声が被る。


「……?そうですか。あ、それより監督から見学の許可をいただきましたよ!」

「わー!ありがとうございます!」


 とのことで、神野さんのおかげで微妙な空気は解消され、3人で撮影現場へ向かった。




 しばらく歩くと一つの部屋に到着する。


「ここで撮影をします!」


 そう言って神野さんが扉を開けて部屋に入る。

 そこには大きな照明やカメラなど、撮影に必要な道具がたくさん置かれていた。


「どうしたの?キョロキョロして」

「あ、いや。初めて見るものばかりだったから」


 ここに来るまでの間に俺が撮影初心者であることは涼宮さんに伝えている。

 その時ものすごく驚かれたので、涼宮さんは俺のことをプロのモデルと思っていたようだ。

 ちなみに涼宮さんも俺と同じ高校2年生で同い年だったため、敬語で話すことは辞めにした。


「そうだよね!私も初めて見た時は日向くんみたいな反応をしたよ!」

「……さっきの俺の反応は忘れてくれ」

「なかなか良き反応だったよ!」


 クスクスと笑う涼宮さん。

 そんな会話をしていると、神野さんと共に1人の女性が歩いてきた。

 30歳くらいの綺麗な女性で長い黒髪をポニーテールに結んでおり、キリッとした目つきが特徴的だ。


「君が日向くんだな」


 そう言って俺を見る。

 そして数秒後。


「よし、合格だ」

「ホントですか!?ありがとうございます!」


 女性の言葉を聞き、神野さんが喜ぶ。


「すみません、こちらの方は?」

「あぁ、すまん、挨拶が遅れた。私は芸能プロダクション『ヤマザクラ』の代表取締役社長、竹内明里(たけうちあかり)だ。今日は急な代役をありがとう」


 そう言って右手を出されたため、俺は慌てて握手をする。


「今日はよろしくお願いします」

「こちらこそよろしく。さっそくだが撮影に移るぞ。神野から聞いたが、1枚だけという話でここに来てもらったらしいな」

「そうですね。1枚だけでお願いします」

「写真の掲載場所についてはどのページでもいいか?」

「はい。どこでも良いですよ」


 俺のルックスなら雑誌の1番後ろの隅っこに掲載されるだろうから特別指定はしない。

 その言葉を聞き、竹内社長が不適な笑みを浮かべるが一瞬のことだったので深くは考えない。


「ありがとう。約束通り写真を1枚撮ったら神野に自宅まで日向くんを送ってもらうように手配する」

「ありがとうございます」


 そこまで話すと竹内社長は他のスタッフの下へと向かい、話し始める。


「すみません、社長の言葉遣いに慣れないかとは思いますが」

「俺は気にませんよ」

「それなら良かったです」


 神野さんがホッと胸を撫で下ろす。


「『読者モデル』の撮影って芸能プロダクションの社長が指揮って行うものなのですか?」

「いえ、今回は特殊なケースですね。深くは考えなくて大丈夫です。今回の撮影は竹内社長の指示で行うということだけ覚えていただければ」


 などなど、撮影について気になったことをいくつか質問する。

 そのタイミングで「日向くん。この椅子に座ってくれ」との言葉が遠くから聞こえてきた。


「分かりました!じゃあ行ってくるよ」

「頑張ってね!」

「日向さん、頑張ってください!」


 俺は2人の声援を受け、社長のもとへ向かった。

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