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新しい仕事

 自室でゆっくり過ごしていると夕食ができたようで、俺はリビングに向かう。

 リビングに入ると穂乃果がいなかったので、どうやら自宅に帰ったようだ。

 そのため、まだ仕事から帰ってきてない父さん抜きの3人で夕食を食べる。


「そういえば今日の仕事は速く終わったんだな」

「えぇ、今日の打ち合わせは速く終わったの」


 俺の母さんは人気小説家で、数ヶ月前、母さんの書いた小説がドラマ化することとなった。

 そのため今は打ち合わせ等で多忙な日々を送っている。


「ホント残念だったわ。真白くんの芸能界デビューが数ヶ月速ければ主役を真白くんにしたのに」

「いつまで言ってるんだよ。俺には主役なんてできないって」


 俳優の才能があるとは思ってないしデビューしたばかりの俺が主役をできるとは思えないが、事あるごとに言われる。

 しかし今日はそれだけでは終わらなかった。


「出演できず悲しかったとは思うけど安心して。今日の打ち合わせで、先週、問題を起こした俳優さんの降板が決定したわ」

「ん?それの何処が安心できるんだ?」

「もちろん、新しい代役に真白くんを推薦したからよ」

「………ん?」


 母さんの言葉に耳を疑う。


「あら、嬉しすぎて固まってるのね。そこまで喜ばれると推薦した甲斐があったわ」

「違うわ!母さんの言葉に耳を疑ってんの!」


 時折、母さんとは会話のキャッチボールができなくなるが、このパターンは非常に良くない。

 経験上、母さんの言う通りになってしまうから。

 ちなみに今まで母さんの言うことに逆らって勝った試しは一度もない。


「聞いた話によると今日のCM撮影、大成功だったようね。しかも一発で撮影を終えることができたとか」

「あ、あぁ。俺じゃなくて涼宮さんとミレーユさんのおかげでな」

「そうなの?でも今日のCM撮影で監督を務めた方は真白くんのことを1番褒めてたらしいわね。そのことを聞いて俳優業も問題ないと判断したわ」

「え、俺、本当に俳優やるの?」

「えぇ。おそらくね。私が推薦した後、制作会社の方たちが協議していたけど、多分真白くんがやると思うわ。そろそろ神野さんから連絡が来てもおかしくないけど……」


 そう母さんが言い終えると同時に俺のスマホが鳴る。


『もしもし』

『お疲れ様です!今、お時間大丈夫でしょうか?』

『はい。大丈夫ですよ』

『ありがとうございます。さっそくなのですが、急遽、日向さんに仕事が入りました。内容はドラマ撮影です。出演作品は大人気作家、日向楓先生のドラマですね』


(マジかよ。母さんの言った通りの電話なんだが)


『このドラマは現在、撮影中だったのですが、先週問題を起こした俳優さんが降板となり代役を探していたようです。その時、楓先生からの強い希望により日向さんに声がかかりました。引き受けていただけますか?』

『それがですね。俺には俳優業は厳しいと思うので断ろうかと――』


「あ、そういえば真白くん。シロ様の正体を突き止めたい人がこの辺りをウロウロしてるらしいわね。私、皆んなに真白くんのことを自慢したいから玄関の扉に『シロ様います』の張り紙をしようと思ってるの」


『………やります』

『ホントですか!?ありがとうございます!放送日まで時間がないため急ですが、収録日は明後日からとなります!『おしゃべり7』同様、明後日は学校まで迎えに行きますので、よろしくお願いします!』


 そう言って神野さんとの電話を終了する。


「あら引き受けてくれるのね。とても嬉しいわ」


(くそっ!断りたかったけど母さんなら本当に張り紙を貼りそうだから断れねぇ!さすが母さん、人の嫌なところを突いてくる!)


「あら、変なことを考えてる顔ね。これはSNSで――」

「そ、そういえば俳優の仕事をするのが夢だったんだよなー!そんな機会をくれた母さんには感謝しかないよ!」

「そう。嬉しいことを言ってくれるわね。私も推薦した甲斐があったわ」


(くそぅ!人の弱点を正確に突いてきやがって!)


 こんな感じで、いつも母さんには逆らえない。


「ふふっ。何も私は真白くんに嫌がらせをするために推薦したわけじゃないわ。貴方ならモモさんのような演技ができると信じてるからよ」


 モモさんとは俺の実の母親のことで、亡くなる前日まで芸能界で働いていた。

 しかも歌やダンス、女優業まで完璧にこなしており、歌と踊り、演技、ルックスに関しては完璧な女性だった。

 私生活はポンコツ過ぎて話にならないが。


「だから頑張って。応援してるわ」


 そう言って母さんが席を外す。


「そんなこと言われたら頑張るしかないだろ」


 そう思った俺は一度顔を叩いて気合を入れた。

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