『おしゃべり7』の収録 2
部屋に戻り休憩していると、神野さんが戻ってくる。
そして涼宮さんとミレーユさん以外の共演者へ挨拶まわりを終えて収録の話を行う。
「『おしゃべり7』は司会者がゲストの方に話を振り、あらかじめ用意していた内容を話すという番組です。日向さんは初めてのテレビ収録ということを考慮し、番組側が用意している質問に答えていただくだけとなってます」
などなど、収録にあたっての注意点等を受ける。
「もしかしたら途中、司会者が日向さんに話を振る可能性はありますが、そこは頑張ってください!」
「分かりました!」
そんな感じで打ち合わせを終え、収録現場へと向かった。
挨拶をしながら収録現場へ。
そして用意された自分の席に座る。
「私の隣だね!」
「シロ様ー!さっきぶりです!」
「あぁ。2人とよろしくな」
俺の右隣に涼宮さん、左隣にミレーユが座っている。
先程、仲良くしてくれた2人が隣にいるのはとても心強い。
「では最終確認いきまーす」
番組スタッフが俺たちに向けて最終確認を行い、確認が終わると収録開始の合図が出た。
「はい!始まりました『おしゃべり7』!今回は今注目されている若手をゲストとして迎えております!」
司会を務める男性が元気よく喋り出す。
「ではさっそくゲストの方々を紹介します!」
ゲストは俺を含めて5人おり、司会者が1人ずつ紹介していく。
「続きまして、現在放送中のドラマでヒロイン役に抜擢され、ドラマやテレビ収録等で大忙し!大人気女優のミレーユさんです!」
「はーい!よろしくお願いしまーす!」
ミレーユさんが挨拶すると、周囲から拍手が沸き起こる。
「続きまして、アイドルグループ『スノーエンジェル』のリーダーで、ここ最近は写真集やバラエティー番組に出演している大人気アイドル。涼宮香織さんです!」
「よろしくお願いします!」
涼宮さんが挨拶をすると、ミレーユさんと同様、拍手が沸き起こる。
「最後のゲストを紹介します!今月発売の『読者モデル』vi⚪︎i〜12月号〜で表紙を飾り、一躍有名人となったシロ様です!」
「よろしくお願いします」
カメラに向けて頭を下げると、周りから拍手が湧き起こる。
司会者が俺のことを様付けして呼ぶことに違和感しかないが、どうやら今回の収録は『シロ様』呼びで行うようだ。
「ではゲストの方々の紹介も済みましたので、さっそく話を振っていこうと思います!」
そう言って司会者は俺を除くゲスト4人に話を振る。
事前に話す内容を決めていたようで、わかりやすくて面白いトークが聞けた。
ミレーユさんは、生まれも育ちも日本ということを、涼宮さんはアイドルグループのメンバーとの日常を面白おかしく話していた。
「では最後にシロ様への質問コーナーに移ります!」
(今までは皆んなの話を聞くだけだったが、ここからは俺がどんどん質問に答えていくんだ。変な解答にならないよう気をつけないと!)
「シロ様への質問内容は、あらかじめスタッフや街頭にて募集しました!そちらをいくつか質問したいと思います!」
「よろしくお願いします!」
「ではさっそくですが簡単な自己紹介をお願いします!」
「はい!芸名はシロ、高校2年生です。休日は家で過ごすことが多いので、新しい趣味を模索中です。よろしくお願いします!」
俺は再び頭を下げて自己紹介を終える。
「へー!新しい趣味を探してるんだ!」
「そうなんです。休日に家から出ることが少ないのでアウトドア系の趣味を考えてます」
「なるほど。そういえば涼宮さんはグループのメンバーと外出する機会が多いって言ってたね」
「そうですね!私たちは……」
などなど、司会者が上手く話を広げる。
「では次に写真集の話へ移ります!あの撮影は飛び入り参加と聞きましたが本当ですか!?」
「はい。ハロウィンの日にキング様のコスプレをして歩いてたら声をかけられました。なので成り行きで撮影した感じですね」
「なるほど!そのおかげで雑誌は飛ぶように売れたのか!出版社はシロ様へ感謝しないといけませんね!」
「それは違いますよ」
司会者の言葉に少しだけ訂正を入れる。
「俺自身、売上に 貢献したとは思ってません。今回、完売したのは俺以外のモデルやスタッフたちのおかげですよ」
俺みたいなカッコよくない男が表紙を飾っても完売したということは俺以外のモデルやスタッフたちが頑張ったから。
そう本気で思っているため訂正したが、何故か司会者が俺の手を握ってきた。
「そうだよな!俺が間違ってた!シロ様のおかげで完売したと言ってしまったがそんなことはない!皆んなのおかげで完売したんだ!申し訳ない!訂正させてもらうよ!」
「い、いえ。分かっていただけたのなら良かったです」
力強く握って謝る司会者に苦笑いしながら返答する。
「それにしてもシロ様は心が広いなぁ。俺だったら『自分のおかげで完売したぜ』って舞い上がってたぞ」
「そんなことないですよ。先ほども言いましたが俺1人の力ではありません。だって俺は表紙しか飾ってませんから。なので俺のおかげと思って舞い上がったりはできませんよ」
再び、本心で思っていることを伝える。
「………」
すると俺の言葉に司会者が“ポカーン”となる。
「シロ様が人格者すぎて言葉が出ない。だって見るからに本心で言ってるんだよ。高校2年生で舞い上がらないとか凄すぎて、ちょっと感動してる」
「そ、それは言い過ぎですよ」
「謙遜するな。俺は人を見る目だけはあるからな。それにしても、まさかシロ様が素晴らしい人格者だとは思わなかったよ。俺の中で今シロ様の株が急上昇中だ。どうだ?俺と結婚しないか?」
「それは遠慮させていただきます」
「即答!?」
司会者の冗談に周りから笑い声が湧き起こる。
(なんか俺の株が上がったみたいだが……本心で言ってるからな?全く、謙遜なんかしてないからな?)
そう心の中で呟く。
「シロくん、さすがだよ!私もシロくんを見習わなくちゃね!」
「さすがシロ様です!あの雑誌の完売はシロ様のおかげだと思ってたウチを殴ってやりたい気分ですよ!」
すると両隣にいた涼宮さんとミレーユさんが過剰に反応してきた。
「あ、あはは……ありがとう」
そんな2人に愛想笑いしかできなかった。




