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アルブス  作者: シバザキアツシ
旅立ち

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9/21

真実

「なに?俺を仲間にする為だけに、この島に来たのか?」

リイアの目的を聞き、耳を疑うラインハルト。

「まぁ、そうなりますね」

ジルも当然同じ目的だ。

「馬鹿じゃないのか?」

呆れ顔のラインハルトは、リイアを見ながら人差し指で自分の頭を叩く。

「自分達には大事な、大事な一歩なんですよ」

噛み締めるように言うジル。

「一歩ねぇ…で?後何人だ?」

「さすがに察しが良いですね」

「そこまで聞きゃ誰でもわかるだろ」

照れ隠しに、そっぽを向くラインハルト。

「まず貴方の【武力】、次は【智力】ですね、後は【護力】、【破力】、【速力】、【捻力】、最後は存在するかどうか分かりませんが…」

「【魔力】ってか?」

「そうです、笑いますか?」

ジルは真摯な瞳で、ラインハルトを見る。

「ふん、世界最強になるなんて、バカな目標掲げてる奴が、馬鹿にできる【夢】じゃねぇよ」

ラインハルトの夢という言葉に、胸が熱くなるリイア。

「あ…」

「ありがとうございます」



「何故に家が半壊してるの?」

僕は帰って来た家に、大きな穴が空いてる事に驚き口を開ける。

「うむ、何処からかクマが飛んできて、家に当たったんじゃ」

「そんなバカなこ…と?」

そんなバカな事があった、色々あったせいで忘れていた、僕がクマをデコピンで吹っ飛ばしていた事を。

「ごめんじいちゃん、まさか家に当たるとは…」

僕は素直に謝る。

「まぁいい、壊れたら直せばいいからな」

「ありがとう」

素直な僕を怒れないじいちゃん。

「所で、もう一人の従者は?」

「ヤーツ殿か?彼なら北西部の居住区にいる」

「何故に?」

「話すと長くなるが…」


ヤーツが家を出る前。

家の一部を破壊して、気を失っているクマを見て一瞬固まるヤーツとアルの祖父。

「なにが…?」

「恐らくアルが吹っ飛ばしたんじゃな」

「………」

「だいぶ大きいなぁ、めんどくさいのぅ…」

「解体しますか?」

「いんや、森に帰そう」

「…?」

その時、ヤーツは立ち上がり、異変を嗅ぎ取る。

「煙?」

眼鏡を押し上げ空を凝視するヤーツ。

「チュルパン翁!あの方角には何が?」

「その名、気付いたか?いや、知っていたのか…お前もわしの力が欲しいのか?」

一瞬で雰囲気が変わり、目つきを鋭くし、ヤーツを睨む祖父。

「貴方には何も…ワタシは姫の護衛として、同行しているだけです」

「姫、姫様か…なる程な…で、お前自身の目的は?」

更に追求するアルの祖父、チュルパン。

「…はぁ、誰にも言わないで下さい、ワタシは“D”を追っています」

端的に答えるヤーツ。

「なる程、そりゃ誰にも言えんわな」

独りごちるアルの祖父。

「で、あちらには何が?」

煙の上がる方向を指差し、話しを戻すヤーツ。

「居住区じゃ」

「確認してきます!」

「難儀な性格じゃな」

「性格と言うより、騎士の性質です!」

そう言うとヤーツは、マントを翻し走り去った。

「…何でいつもは偉そうなんじゃろ?いい奴なのに勿体ない」

アルの祖父は首を傾げる。



「…と、言う事じゃ」

「ほう、そんな事が…」

家の前で、大きな音がしたので急いで見に行く、僕とじいちゃん。

リイアとジル、ラインハルトはリビングで待機。

「今度はなんじゃ…」

次々と起こるイベントに少々嫌気がさしてきたじいちゃん。


助けを求めてやってきた者が、扉に倒れ込んだ音だった。

ボロボロの住民が、玄関前で派手に転んでいた。

僕は住人に走り寄る。

「助けてくれ!」

「何がありました?」

「海岸にアイツが!」

「アイツ?」

「【クラーケン】だ!!クラーケンが居住区に!」

ボロボロの住民を落ち着かせて、じいちゃんの家の奥の部屋で一息つかせている。

「これは不味いな、ヤーツ殿一人でどうにかなる相手ではない」

先行したヤーツが危ないと、じいちゃんは言う。

「行こう、じいちゃん」

「よし、お三人は奥の人の事を頼みます」

「え、あ?はい」

「わかった…」

次々と決まる事に対応出来ないジルとリイア、ラインハルトは、そう返事する事しか出来なかった。

「分かりました、ヤーツ殿をお願い致します」と気を取り直すジル。

「えぇ、任されました」とリイア。

「なんか知らんけど分かった!」と分かってないラインハルト。

アルと祖父は、風のように走り去った。

「大丈夫…よね」

そのリイアの独白は、誰の耳にも届かなかった。



海の悪魔、クラーケンの出現。

【超害獣】の一体であり、数々の伝説が残っている。

クラーケンが通った路の後は、何も残らない。

家も木々も全て呑み込まれる。

そんな超害獣と相対するヤーツ。


ヤーツは一人でクラーケンを食い止めようとするが、標的が大き過ぎてどうしたら良いか分からない。

「クソ!ワタシは…騎士だ!!」

自身を奮い立たせるため、声を出すヤーツ。

「おい!そんな所で何やってんだ!?」

居住区を走り回って、逃げ遅れがいないか確認していた住人に声を掛けられる。

「早く逃げろ!」

ヤーツに忠告する住人。

「他の住人を連れて先に逃げてください」

「…あんたは?」

「殿で奴を止めます、その間に逃げて下さい」

倒すなどとは口が裂けても言えない。

「あんた、何でそこまで?」

「ワタシが騎士だからですよ、騎士とは護る者、助ける事に理由はいりません」

そう言うとヤーツは、怯えを胸の奥に隠し、薄く笑った。

「…分かった、助かるよ、あんたカッコいいな」

そう言うと住人は走り去って行った。

それを背中に感じながら、ヤーツは剣を抜く。

「さて、どれ程持ち堪えられるか?」

握る剣の柄は汗で湿っていた。


居住区北の海岸から、這い上がるクラーケン。

「落ち着け、足を一本ずつ対処すれば問題ない」

自身に言い聞かせるヤーツ。

ヤーツはクラーケンの間合いに入った。

有無を言わさず、触手がヤーツへと伸びる。

ミスリル製のフランベルジュを、無駄な動きなく、触手一本の先端を切り取る。


「っあ…」

一瞬気を抜いてしまった、それは致命的で。

イカの足が一本では無いなんて子供でも知ってることで。

一本切っただけで、息をつく暇などないのに。

気を抜いてしまった。

1秒にも満たない時間であったが。

次の瞬間、ヤーツは上空に投げ捨てられていた。

「ぁ…」

このまま落下すれば、大怪我は免れない、下手をすれば即死さえある。

そんな致命傷を負う高さまで、放り投げられていた。


「ほいっ!」

「え?」

「間に合ったようじゃな」

「チュルパン…翁?」

「あまりその名を言わんでくれ」

上空に投げ捨てられたヤーツを、アルの祖父が空中で掴み、衝撃なく着地する。

「ほいっ!」

アルの正拳突きで、クラーケンの足一本が弾け飛ぶ。

「アル!」

「よっと」

アルに迫る5本の足を、後ろへ超跳躍する事で避ける事に成功する。

その隙にクラーケンは海へと逃げていく。

「なんの」

追撃しようとするアル。

「アル!一先ず下がれ!」

「はいよ」

祖父の指示に、一瞬の迷いもなく従うアル。

更に超跳躍したアルは音も無く、祖父の元へと着地する。


「助かった…か」

しかし、ゆっくりしている暇はない。

頭はぐるぐる混乱している。

また、いつ襲撃して来るか分からない。

「一度本国に連絡を取った方が良さそうだな…」

そう呟くとヤーツは崩れ落ちた。


ヤーツを家へ連れ帰り、また奥のベッドへと寝かした。

その後のリビングで会話で、今までアルに隠されていた秘密が暴かれてしまった。



「え?」

リイアの言葉に耳を疑うアル。

「だから、まだ存命だって言ったのよ」

白の君主は生きていると。

「150年前の話でしょ?白の君主物語って、白の君主って、え?ヒトじゃないの?エルフとか?」

取り乱すアルの後ろで、同じく取り乱しているチュルパン。

「いえ、人間だし、大崩壊【15年前】だし」

リイアは歴史の常識をアルに教える。


僕の頭は一瞬フリーズする。


「は?」

僕はキッと、じいちゃんを睨みつけた。

じいちゃんは凄い勢いで目を逸らした。

「今の世界って、この島ともう一つの島しかないんだよね?」

「何を言っているの?確かに三度目の大崩壊で世界の形は変わってしまったけど、今現在でもしっかり列島レヴィドアは存在しているのよ」

僕はキッと、もう一度じいちゃんを睨みつけた。

じいちゃんは凄い勢いで目を逸らした。

「私達は本国…【ローレア王国】からやってきたのよ」

「何をしに?」

清々しい程の直球の質問だった。

苦笑するリイアはそれに答える。

「【予言】の7つの力を探しに」

「なるほど、その1つがライさんだと」

予言の事を、さして気にしていないアル。

普通は予言なんて信じない人の方が多いのに、疑う素振りもない。

「そういう事」

「その…旅に、僕もついて行ってもいいかな?」



「お前は何を「じいちゃんは黙ってて!」

僕は酷く久しぶりに、じいちゃんに向かって声を荒げた。

「私としては助かるけど…貴方の目的は、やっぱり白の君主に会うこと?」

「うん」

「正直、簡単な話じゃないわよ、どれだけ時間が掛かるかわからないし」

「それでも!」

いつもは無表情の、アルの真摯な目に気圧されそうになるリイア。

「お爺様は?」

アルから目線を動かし、チュルパンの方を見て質問を投げるリイア。

「じいちゃん!」

僕の願いに、じいちゃんは大きく長い溜息を吐く。

「バレてしまった以上、留めておくことはできんじゃろ…」

遠くを見るじいちゃんは目を細める。

「いつかこういう日が来る事は想像していたが、まさかこんなにも突然くるものなんじゃとは…」

その時、地響きが家を襲った。



再び、クラーケンが海岸から這い上がってきたのだ。

舞台はじいちゃん()の北の海岸。

超害獣狩りの始まりだった。

【武力】

戦う力。


【智力】

考える力。


【護力】

護る力。


【破力】

突破する力。


【速力】

進む力。


【捻力】

曲げる力。


【魔力】

魔法の力。


【夢】

皆が心に抱くもの。


【クラーケン】

超害獣の一体。


【15年前】

三度目の大崩壊を迎えたのが15年前。


【ローレア王国】

列島レヴィドアの南方に位置する大陸にある国。


【予言】

未来を見通す者が告げるもの。

事細かく話してはいけないと言うルールがあるらしい。

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