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LAST FLAME〜黒翼を焦がす炎〜  作者: 久遠恵悟
第一章 始まりの火
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第五話 実験の一部

村を襲った魔族と対峙するセイエン一行。この試練を乗り越え村の人たちを救えるのか──

 構えたのも束の間、風の唸る音とともに斬撃が飛んでくる。

キンッ──

 異様に軽い……。まさか……!

ザンッ!

遅れて飛んできた斬撃に対応しきれず胸を斬られた。だが半歩下がっていたおかげで浅い。 

 「所詮はガキ。恐るるに足らんなぁ」うすら笑みを浮かべているのが霧に隠れていてもわかる。

 基本的に本体は遠距離から斬撃を飛ばしてきて、こちらに隙ができたときだけ間合いを詰めて本体が攻撃を仕掛けてくる。このまま真っ向からやれば間違いなくジリ貧だ……

 「セイエン!」かけ声とともに後方へ下がった。

セイエンは深く頷いた。

 「次は僕が相手だ!」時間はかけられない。一瞬でかたをつける!

 「ハハハッ!選手交代か?いいだろう、せいぜい足掻いてみろ」

 十字の斬撃……!さっきのより明らかに重い!

ギンッッ!

 やっぱり……。まともに受けても捌ききれなかっただろうな……

その斬撃をいなしきれず後ろへ体勢を崩した。しかし、その顔には笑みが浮かんでいた。

 「期待外れだな。お前はあの小僧よりも遥かに弱い!」

あまりに大きなその隙を見逃がすはずもなく斬りかかった。それを見たセイエンはさらに口角を上げた。

 「焼却(フレア)

天力を全て消費して放ったその一撃は魔族の隙を作るのに十分だった。

 「チッ!小僧ォォ!!」炎に包まれながらも獣の如く飛びかかった。しかし──

 ザンッ──

その頸は既に薙がれ宙を舞っていた。

 「終わったぞセイエン」地べたで天を仰ぐ僕に笑って手を差し伸べた。それと同時に霧も薄くなっていった。

 「一か八かだったけどうまくいって良かった」

我ながら咄嗟に自爆のような選択肢をとれたのが怖いけど。

 「ふたりとも〜!」エリスが心配そうに声をあげて走ってきた。

 「無事でよかった〜!とりあえず治療するね」

 「村の人たちの治療はもう終わったのか?」

 「まだ意識は戻ってないけどみんな治ってるよ!」

そうか、と安心したようにカイリは腰を下ろした。

はじめて魔族と戦闘したけどやっぱり強かった。まだこれでも弱い方なのかな?この先も厳しい道のりになりそうだな……

 「ひとまず村のみんなが起きるまで待ってよう!」

使い果たした天力も回復しておかないと。


 それから数刻して村の人たちは目を覚まし、みんなの厚意で村で一晩過ごせることになった。

 「いやー、本当に助かりました!みなさんにはなんとお礼をすればいいか」

 「いえ気にしないでください。困っている人がいれば助ける、俺たちは当然のことをしたまでです」

 笑みを交えながらこたえるカイリに、本当にありがとうございます、と住民は返した。そんな中で突然不思議そうな顔をして、しかし──とつづけた。

 「おかしなことに我々の中で天啓(イルミナ)をを使えなくなったという者がおりまして」

そんな話聞いたことがない。天力が回復できていないのだろうか。

 「天力は使えるんですか?」

それは問題ないようです、とエリスにこたえた。

僕たちはしばらく黙って考えていたがやはり結論は出ない。

 「すいません。旅の方々に余計な心配をさせてしまいましたね。プリメソリオへ行かれると聞いております。ゆっくりされていってください」

 それでは、とその人は部屋を出ていった。突然の霧、魔族、使えなくなったイルミナ……。今日は色々起こりすぎてなにがなんだかわからないや。明日からはまた旅の再開だし、しっかり備えておこう。

 

 気をつけてください、という村人たちの声とともに日差しの下、僕たちは歩き出した。

 「しかし、イルミナが使えなくなったというのがどうも引っかかるな。まあ、わからないことを考えていても仕方のないことだけど」

 やはりカイリはまだ納得がいかないようだった。それもそうだ。結局解決はできなかったのだから。

 「とにかく今は進もう。プリメソリオに行けば何かわかるかも」

そうだね、とエリスにいって僕たちは歩き続けた。

 「……」

遠くから黒い影が見ているとも知らずに。


ザンッ

僕たちは度々現れる魔獣を倒して進んでいた。

 「俺たちも魔獣程度なら手ばやく片付けられるようになったな」

 「長旅で戦闘も結構してきたし力がついたのかもね」

僕たちは広い森を会話しながら歩いていた。実際旅に出てから7日間、数多くの魔獣と戦っていた。魔獣も手強いが、知能がない。あの村の魔族と比べれば勝つのも容易だ。けどあの村で魔族と戦ってから奇妙に感じていることがある。明らかにあの村を出てから魔獣の数が少なくなっているんだ。ここら辺は魔獣や魔族が出るのではなかったのか。やはりどうしても気がかりだ。こうして話している間も気が抜けない。それはカイリもエリスも同じく感じているようだった。

 「なあセイエン、やっぱり妙じゃ──」

ドォォォォン……

木々にとまっていた鳥が一斉に飛び立っていく。大きな音とともに背筋の凍るような気配を覚えた。これは──

 


天力は人間全員がもっていますが、天啓(イルミナ)はもっている人とそうでない人がいます。

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