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ザンダー辺境伯領への帰還

 ユリウスがゴールドウィン伯爵家に来てから29日目になった

 ユリウスの元々の回復力とシャロンの魔法陣そしてセシルの魔力がユリウスとの相性があったからなのか

 普通では考えられないほど体は、回復しており今では魔法陣もいらなくなったほどだ


 ただ、まだ意識はもどらず眠りについたままだった

 いつものように朝ユリウスの顔を拭き彼のマナの流れを感じながら魔力をゆっくり少しずつ送る

 今日も返事をしないユリウスに話しかけながら朝の時間を穏やかに過ごすセシルだが領地が今どのような状態になっているのかも気が気ではない

「ユリウス様、このあと少しシャロンに連絡してきますね 」


 そう話をしているとあわただしくそのシャロンが部屋に入ってきた


「ごめん セシル今すぐ領地に戻る用意をして 」


「今すぐですか? でもユリウス様がまだ・・・ 」


「ああ、大丈夫だ そのままいこう 」

 シャロン言われるがままあわててセシルはベッドに眠るユリウスと共にシリウスの転移魔法で両親にまともな挨拶もできないままザンダー辺境伯領へと帰っていった


「なんだ・・シャロンの奴嵐のような奴だな 」


 セシルの部屋のベッドがなくなりぽかんと空いた空間を見つめながらゴールドウィン伯爵が呟くとドスンとベッドだけが元にあった場所に現れた


 びっくりしながらも「どうやら無事に向こうに帰れたようだな・・・

 さてこっちもこれからの為に本格的に動き出そうとしようか 」

 と夫人のサラに言葉をかけた


「ええ、そうですね 」とサラは柔らかく微笑みながら答えた


「でも、もう交わることのないご縁だと思っていましたけれど

 シャロン様とユリウス様・・・ 

不思議なご縁ですね・・・ 」


「ああ、シャロンにとっては婚約破棄された元婚約者の息子

 彼がどういうわけかセシルの婚約者になり その彼を助けるためにずっと盛りの奥深く隠れ住んでいたシャロンが賢明に動いているなんて少し前には考えもできなかったことだ 」


「シャロン様はやはりずっとあの方のことを思い続けていらしたのでしょうか 」


「まあ・・・そうだろうな・・・・

あんな別れ方をしたのだから・・・

 でももう過去のことだ 

セシルやユリウスには関係ないことだ

 今はあの子たちとこの国のこれからの為に我々も動くときがきたのだろう 」


 セシルの部屋の窓を開け外から入る風を感じながらゴールドウィン伯爵は自分に言い聞かせるようにそうサラに話した


 ザンダー伯爵領ではユリウスとセシルの帰還に使用人達があわただしく動き回っていた

「セシル様お帰りになられたばかりで申し訳ございません

 お目を通していただきたい書類がいくつかございます 」


 スタンがセシルが帰ってくるのを待ち構えるように書類の束を抱えて持ってきた


「スタン セシル様は今お帰りなられたところなのに 」


「サマンサ問題ないわ

帰ってきたといっても一瞬で移動しただから 」

 少し転移酔いをしていたがそんなことをおくびにも出さずセシルは笑顔で山のように積まれていく書類にくまなく目を通していき処理をしていった

 やっとひと段落したときに執務室にシャロンが入ってきた


「セシル・・・ 今晩なんだがユリウスには私がついているから君は自分の部屋で休むがいい 」


「え・・でも 」


「いいから セシルもずっとつきっきりで看病していたんだ

今日ぐらいゆっくりお休み 」

 優しく微笑みながらそう言ってくれるシャロンに

「ありがとうございます・・・・」と違和感を感じながらその夜は夕食を終え自室へと帰っていたセシルだった














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