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裏切り者

 セシルの部屋のソファに4人は座るとリックがゆっくりと今までの経緯を話し出した


「ユリウス様と私達は王都まで行くとワープゲートを使いアレキサンドライト帝国まで行きました

 帝国の王城に入るとジュリアス皇太子とリン皇太子妃に出迎えられました」


「リックちょっとまってリンはもう皇太子になっているの? 」


「はい、私たちがアレキサンドライト帝国に到着したときには既にご成婚されておりました 」


「そうなんだ・・・・ 」

 親友だと思っていたリンに何も聞かせられていないばかりか手紙をおくっても返事がなかった

 セシルにとってはそのことも大きな衝撃的な出来事だった

「セシル・・・リックに話を続けてもらうよ

 いいかい? 」

 セシルの様子を窺うようにルーカスがセシルの肩を抱き尋ねた


「ええ、ごめんなさい リック続けて頂戴 」


「私達4人は二人部屋の客室に通されユリウス様が一人別の離れた部屋を用意されそこに案内されました 」


「いえ、私たちはどんな部屋でもいいのでユリウス様のおそばの部屋を用意してください」


「あなたたちはどんな立場で仰っているのですか 」

 ジュリアス様の側近である黒ヒョウの獣人であるブラウにリックはそういわれると


「リック大丈夫だ 彼らの言う通りにしよう 」


「 そのように ユリウス様に言われましたので私達は彼らの言われるままに従いました

 国王陛下がお時間が取れないという理由でユリウス様も私達も帝都を案内されたり帝都の騎士たちと手合わせ等をして過ごしていたのですが1週間ほどしても中々謁見していただけないので何度もユリウス様はアレキサンドライト帝国側に申し出ていたのです

 何度も何度も・・・・

 しかし、皇太子もリン様ものらりくらりとした返事しかされずしかもセシル様にお手紙を出そうとされていたのですがそれすらも拒否されていたのです 」


「私への手紙もですか・・・・」


「そうです 」

 リックはその時のことを思い出しながら悔しそうに返事をした

「そして28日目にやっと国王が謁見することになったのですが・・・ 」


「何かあったのですか? 」


「謁見のあとディナーをお誘いくださったのですがユリウス様が夜は都合が悪いと断られ部屋に戻られたのです 」

「国王はユリウス様の謝罪の言葉を受け入れられたのですか? 」

「はい、ただディナーをユリウス様が断られたあと心配になりユリウス様の部屋に行くと中からユリウス様とジュリアス皇太子の言い争う声が聞こえてきまして

 部屋に入ろうとしても強い結界が張られていて私達は入ることができなかったのです

 明け方まで二人の声が聞こえていて声が聞こえなくなり扉の方に足音が近づいたので思わず近くの柱の影に隠れていますと部屋からジュリアス皇太子が出てこられました

 ジュリアス皇太子がいなくなった後にユリウス様が部屋から出てこられるので駆け寄ると

「今すぐ帰るぞ 」

 といつも無表情のユリウス様が珍しく焦った表情で私達に指示をだしそのまま馬に乗りアレキサンドライト帝国を後にしたのです 」


「どうしてなのかは何も理由を仰っていなかったのですか? 」


「はい、ただユリウス様があんな表情をされたのはというか表情を変えられたのは初めて見ました 」


「それで帰路でなにがあったんだ 」


「ルーカス様 グリフォンご存じですよね 」


「ああ、もちろん知っている 」


「アレキサンドライト帝国にはグリフォンの特殊部隊があるんですが彼等がユリウス様をとらえようと後を追ってきたんです 」


「グリフォンの部隊って・・・そんなものが作られるなんて・・・恐ろしいな

 それで捕まったユリウスが空中から落とされたとか・・・ 」


「その通りです ルーカス様 ただそれだけではなかった

 アレキサンドライト帝国だけではなくシルワース王国の騎士団までユリウス様を追ってきて我々を攻撃してきたのです 」


「どうして!! 味方ではないのですか・・・

 それでどうやってここまで来られたのですか 」


「リクリーン公爵が率いる王宮騎士団がユリウス様を裏切り者と攻撃してきたのです

 我々は意識のないユリウス様を抱えて馬を走らせていた時、気がつくとこの

 ゴールドウィン伯爵領の近くまで来ていたのでセシル様のお父様ならきっと力になってくださると思い助けを求めたのです 」


「なぜユリウス様を裏切り者だなんて・・・

 イワン様はご存じなのかしら・・・いいえご存じならこんなことにならないはず

 でも・・・リック 窮地の時に私のことを思い浮かべてくださってありがとう 

 お父様も・・・ユリウス様たちのことを助けてくださりありがとうございます 」


「何を言ってるんだ 彼はもう私の息子だと思っているんだ 

 親として当たり前じゃないか 

 今はシャロンが強力な結界で子の領地自体を覆ってくれているから安心しなさい 」

「しかも、外からはこの領地自体が見つからないように魔法陣を張っているから安心しなさい 」

 シャロンはにっこり微笑みながらセシルの頭を優しくなでた

 セシルは穏やかに眠るユリウスの顔をみつめ涙が止まらなかった


「お父様、シャロン様 そしてリック トム・リューシア・ザラム 皆さんユリウス様を守ってくださって本当にありがとうございます 」


 セシルは深々と頭を下げながら自分もまたユリウスを守るため封印していた自分の力を解放するときが来たことを感じていた






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