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新月

 リンは、セシルが唯一何でもお互いに心の内側にある悩みを話ができる友人である

 その夜は、ふたりは泣いたり笑ったりしながらお互いの心の隅にこびりついているような小さな悩みまで話ながら夜をあかした。


 案の定、2人の顔は瞼がパンパンに腫れ上がりリンの侍女のマージを驚かせてしまったのだ


「本当にお嬢様方は…… まあ、想定内でございますけれどね」


「ごめんなさい、マージ」

 そう謝りながら彼女のマッサージを朝から受けていた


「ねえ……リン 昨日の話だけれど… 貴女は大丈夫なの? 」


「ええ、大丈夫 実はお父様達も色々考えてくださってくれているし何があっても私は大丈夫よ

 ジュリアスへの気持ちは何一つ変わることがないもの」


「それならいいけれど……どうか無理だけはしないでね」


「ありがとう セシル……

 あなたこそ自分の事をもっと大切にして……

 お願い 私に約束して」


「ええ、約束するわリン

 また、領地に帰ってからも貴女に手紙を書くから

 貴女も私に手紙をちょうだいね

 あと、結婚式の招待状もね」


「ええ、もちろんよ」

 そう約束してセシルは、ロー伯爵家を後にした


 シトエ王子の軽率な言動が大きな波紋となって広がり

 ユリウスとセシルも巻き込まれることになる事をまだふたりは知らないままにこの翌日にザンダー辺境伯領へと帰っていった

 領地に帰るとセシルは冬支度の準備にユリウスは冬になる前に国境の各砦の整備や魔物の調査にと忙しい日々を送っていた

 それでも二人は毎晩必ずお互いの部屋を行き来しながらセシルはお茶をユリウスはお酒を愉しみながら話をする時間は欠かさず過ごしていた


「ユリウス様、今晩は新月の日ですよ

 よろしければバルコニーでお酒を召し上がりますか?

 でも寒いかしら?」


「いや・・・・今晩は少し部屋でする事があるから・・・

 君との時間はとれない」


「あ、申し訳ございませんわたしったら」


「いや、こちらの都合だからまた違うもっと月の綺麗な夜に場をもうけよう

 ただ・・・・これからも新月の夜だけは一緒にいられない・・・・」


 どうしてですか?とセシルはユリウスに尋ねそうになったがなぜだか今は深くその部分を彼に聞かないほうがいいとなんとなく・・・

 そう本当になんとなくセシルはそう思い言葉を飲み込んだ


 その日の夜

 セシルはあたたかい飲み物を用意して庭園の奥にある東屋で新月を眺めながら願い事を考えていた

 新月に願い事をするとかなうと幼い頃母に聞かされていてから彼女が新月に願い事を託すことが習慣となっていた

「そうね やっぱりアレキサンドライト帝国との関係が修復しますように

 リンには幸せになってほしいもの 

 きっと今までもずっと獣人ということで嫌な思いをしてきたに違いないわ

 きちんと謝罪してくれればいいのだけれど

 あとはやっぱりユリウス様のことかしら・・・・

 ユリウス様が心をゆるしてくださいますように・・・


 セシルがそんな願いをしているころ ユリウスは新月の夜だけに発症する発作に苦しみながら部屋を暗くし布団にくるまりながら夜が過ぎていくのを待っていた


















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